勝手に定めたる適器適所

 私はコーヒーを飲む時は、カップは必ずテーブルの右奥に置く。これは意図的な習慣である。
 自宅でも喫茶店でも、私がコーヒーを飲む時は大抵いつも本を読んでいる。私が読むのはほとんど縦書きの本なので、片手で持って読む場合は左手で持つのが都合が良い。すると当然自由に使えるのは右手のみになる。左手に本、右手にカップ、これが私の喫茶時のパターンだ。
 しかし左手を本で固定してしまうと、コーヒーと一緒に食べられないものが出てくる。それはサンドイッチやハンバーガーなどの「一旦手に持ったら皿に戻せない料理」だ。皿に置くとバラけてしまうため、右手だけでコーヒーとサンドイッチを交互に持つことができない。するとサンドイッチを食べきってからコーヒーを飲むことになるので、あまり喫茶時間を堪能できない。もちろんフォークで食べるケーキであれば問題ない。
 そしてそれが習慣となって、キーボードで文章を打つ時もカップを右奥に置かないと落ち着かない。コーヒーショップのお作法は知らないが、今日も私はトレーを回転させて狭いテーブルの右奥にカップを置いている。


今日の英語:Cup

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