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空の経緯

 雨も上がったので、ジオキャッシング口実に自転車でかけた。

 空気が冷たい時期の雨上がりは格別だ。洗い流された空、それでいて水の粒子が漂う風、そしてそれらを映す水溜まり。

 空は晴れている方が気分も明るくなるが、かといって雲が全く無いのは面白くない。多少の雲は空の遠さを教えてくれる。

 天気図で表現される速回しの雲の移動。あの変移はこの上で、いやここで起きているのだ。

 道があるので適当に進む。これは自転車のメリットだ。徒歩であれば、行先も分からないままこんな何もない直線の道を歩き続けていたら心が折れてしまうだろう。
 しかしこの道はどのような計画に基づいて造られたのだろう。

 20年以上をただ佇む橋。何も誰も渡さずただ防錆の証明だけに立つ。意識もなく朽ちるのを待っている。

 人間がいなくなったら最初に水と空がもっと綺麗になるだろう。野良猫を探しながらそんなことを考えた。


今日の英語:After the rain

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