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ライターになって何を書きたいのか。どんなライターでありたいのか。

少し前から「ライター」という職業についていろいろ考えている。
きっかけになったのは、xuさんのこの記事だった。

私はクラウドワークスなどは使っていないが、それでも最初から最後までこの記事を読ませてもらいながら、うなずきっぱなしだった。逆に、今「ライター」「WEBライター」を名乗っている人や、今ライターを目指している人のうち、どれくらいがxuさんのように「ライターの未来」へと想いを馳せているのだろうかと思う。

ライターに未来はあるのか?
最近になって私もよくそれを考える。
しかし、あまりに書きたいことがありすぎてまとまらないので、今日は考えていることのひとつだけに絞って書いてみたいと思う。

なぜライターになりたいのか(なったのか)?
ライターになって何を書きたいのか?(分野ではない)
どんなライターになりたいのか?(いくら稼げるとかそういうことではない)

それを自問自答したことがあるだろうか。
xuさんの記事の中にこんな文章があった。

ここで視点を少し変えて、じゃあ何だったら書きたいと思えるのか、という点にフォーカスを当ててみる。
わたしが書きたいのは、言わずもがな、「誰かの想いを伝える文章」だ。

xuさんの記事より抜粋

私はこれを読んだ時、こういう答え(同じでなくてよい)がすっと出てくる人というのが、本当のライターなんだと思った。
自分が人の想いを代弁して書いて伝え、それが伝わったと感じて喜んだ実体験。それをまた味わいたくて書き続けたいと思う。そういう具体的な「書きたいもの」があるというのがライターにとって大事だと思う。

ちなみに私はといえば、「働く人の想いや生き様を書きたい」と思ってライターをやっている。もちろん27年もやっていれば、そんな理想通りの案件ばかりではない。だけど、そういう理想や目指すものがなければ、ライターなどやっていても仕方ないとも思う。

覚えてもらうために、キャッチーなプロフィールのほうがいいと思い、自分のことをたまに「日本酒ライター」と紹介することもあるが、実は1㎜も自分を「日本酒ライター」などと思ったことはない。
私は単なる「取材ライター」で、この10年は取材の対象者が「日本酒関係者」が多いというだけのこと。一般人よりははるかに日本酒の知識があるので、これはライターとしての「武器」「強み」でもある。
そういうものを持っておくのは、ライターの未来を考えるうえで必要なことだとも思う。

でも、私はずっと日本酒に関係なく、「働く人たち」を取材してきた。それは企業の社長や役員であることもあれば、店舗で働く一スタッフであることもある。ちょっとしたコメントをとる、というような内容も含めれば、これまで3000~4000人は取材をしただろう。
だから、私はこれからもそういう人たちを取材するライターでありたい。

と言っても、今は長期休業中の身。
治療のスタートと同時に、この3月から取引先には「休業宣言」をさせてもらった。唯一残したのは、取材の必要ないメーカーのWEB記事のみ。日本酒の専門誌「酒蔵萬流」に関して言えば、新規取材は受けないが、取材貯めしているのがあと1本あるので、それは5月中に書く。
WEB記事だけでは月7~8万円程度にしかならないので、今年度の年収は100万円もいかないのではないかと思う。(その分、労働時間も月10~15時間くらいだけど)

そういう状況を考えると、復帰後の不安がないといえば、嘘になる。いっそのこと、もうこうやってライターとしてフェイドアウトしていくのも悪くないっちゃー、悪くない。
ただ休業前にひとつ希望ができた。今もそれを考えるだけでワクワクが止まらない。
それは、自分の公式サイトへ、ある企業からお問合せがあったこと。サイトへの直接の依頼は、だいたい見積もりを出すと断られるか(たぶん先方の予算の2倍以上をつけているから)、自分が興味を持てない案件で、なかなか実働にまではこぎつけない。
でも、今回は違った。報酬の話などはまだしていないが、金額が多少思っているより安くてもやりたい案件だったのだ。それはSC(ショッピングセンター)業界の専門誌(WEB版も含む)だった。
私は10年ほど、全国のSCに出店しているようなチェーン展開している企業の社内報や、SCには欠かせないスーパーマーケットの社内報を4,5年書かせてもらっていた。その流れでSC関連の雑誌の案件も受けたことがある。
SCでチェーン展開するような企業の社長や、実際にSCで働く人たちにたくさん取材をして書いた。
どうすれば客を呼べるのか、どうすれば売り上げ予算を達成できるのか、売場つくりの工夫やキャンペーンの打ち出し方、スタッフ教育など、そういうことを取材する。専門的な知識が必要なことも多々あったが、そのたびに勉強し、のめり込んでいった。「商い」をする人たちの話を聞くのが好きだった。

だから、今回、SCの専門誌だと聞き、俄然興味をもった。しかし、タイミングが悪い。体調がどうなるかわからないなか、無理に新しいことを受けて迷惑をかけてもいけないので、正直に現状をお伝えした。再発がんだとか細かいことは書いていないが、持病の治療のために秋ごろまで休業予定であること。ただ、非常に興味のある案件なので、もし復帰後にこちらから連絡をとらせてもらった時にまだ仕事があるようなら、ぜひお引き受けしたい。そんな内容のメールを送らせてもらった。
すぐに返信があり、想像以上に好感触で、復帰後にぜひ連絡がほしい、秋以降は大阪での仕事が増えるから、というようなことが書かれてあった。

単純にうれしかった。久しぶりに「やりたい仕事」が来たなぁと思った。
このまま治療を続けて、秋頃に復帰できたら、ぜひこの仕事をやってみたい。
今は復帰後にそんな希望ができた。

やっぱり「働く人の想いや生き様を書きたい」という気持ちは変わらないし、それができるライターでありたいと思う。
少なくとも近い将来、AIにとって代わられるような仕事はしたくない。
何よりも「何が書きたいのか」「どんなライターでありたいのか」という問いにいつも答えられるようにしておきたい。
そうでなければ、このライター飽和状態の今を、そして未来を、ライターとして生き抜くことは不可能だと思うから。


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