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淡い粉雪が降った朝の【日記】

戸を開けると雪がちらついていたので、折り畳み傘をさして玄関を出た。駅までの道のりで数人と出会ったが、誰一人として傘をさしていない。
もしかしてこの雪が見えているのは私だけなのか?
そんなことを考えてしまうほど、傘をさしている人を見かけなかった。

今朝は取材で、10時半には米原駅(滋賀県)に到着しておかなければならなかった。天気予報を見たら、米原は氷点下で大雪とのこと。いつもペラペラの薄着の私にしては珍しく、「極暖」を着こんでからのセーター。ダウンにカシミヤのストール。タイツも120デニールのもので、さらに靴下も履いた。
駅まで徒歩12分。やはり到着する頃にはもう体が熱くなっていた。

ホームのベンチに重いバッグや傘を置き、スマホを見ていたら電車が入ってきた。乗り込んでしばらくして気づいた。
「傘がない!」
JILL STUARTの傘だけど、私の年代でも持っていておかしくないような落ち着いた色合いの花柄で、とても気に入っていたのに。

落ち込みながらも京都に到着したので、琵琶湖線に乗り換えるためホームを移動した。新快速を待っていたが、5分ほど遅れるというアナウンスが流れた。大雪だし仕方ないなとスマホを見たら、デザイナーさんとクライアントから着信とメッセージが何回も入っている。
「今日の取材、大雪で中止になりました」
マジか~……

なんとなくそうなりそうな予感はしていたが、とりあえず運行はしていたので大丈夫かなと思っていたのに。
米原に着いてから車で移動だから、それが難しいと判断されたのかもしれない。

気を取り直してお茶でも飲んであったまってから帰ろうかと思ったが、朝早いのでまだどこも開いていない(もちろん探せばあるんだろうが)。
京都駅構内の、ほとんど野外みたいなミスタードーナツの横を通った時、「そうそう、今ヴィタメールとのコラボドーナツやってたよね」と思い出した。あれ、食べたかったんだ。ちょっと寒いけどいいか。
そう思ってレジの方にいったら、こちらも朝早いのでドーナツがまだ何もない!!そんなことってあるんだ。
がっくりしたが、もう他の店を探す気力もなく、とりあえずホットコーヒーを頼んだ。

イスに座って、もう後悔していた。
じっとしていると、思っていたより寒い!
冷たいイスに、お尻から熱を奪われていきながら、コーヒーを飲んだ。
パソコンを取り出し、電車の中で送ろうと思っていたメールを送る。
今日までの原稿で、昨日夜中まで書いていたけど眠気に負け、朝5時起きで仕上げたものだった。家を出る直前までやっていたのだ。

コーヒーがなくなると、いよいよ凍り付きそうだったので、すぐに店を出た。
今日はツイてないな……なんて思いながら電車で引き返してきて、駅に降り立ち、向かいのホームのベンチを見たら、忘れた傘がある!
慌ててホームを移動して傘を回収した。

思いついて、駅前の好きなパン屋でヤケクソみたいに大量にパンを買い込んだ(普段、小麦粉はできるだけ食べないようにしているのだが)。
歩き始めたら、また雪が降ってきた。
傘はバッグにしまったままだ。
なんとなく傘をささずに歩いてみた。
髪や服の上ですぐに消えてしまう淡い粉雪だから、傘をささなくても平気だった。むしろ気持ちがよかった。

帰宅し、おいしいコーヒーを淹れて買ってきたパンに食らいついた。
パンってやっぱりおいしい。幸せだ。

午前中の取材は延期、午後からの取材はリモートになったが、とりあえず今日は余裕ができた。

忘れた傘も戻ってきたし、ヴィタメールドーナツは無理だったけどパンをいっぱい食べられたし、雪の中を歩くのも気持ちよかった。
何より、少しだけ時間ができたから、心が落ち着いた。
ツイてないと思ったことも、結局は全部回収できたんじゃないか?

きっと神様が、少し休ませてくれたんだ。
昨年末からやってきた冊子の原稿もいよいよ追い込み。それなのに来週はまだ取材が5件あって、なんだか気が遠くなりそうだったけど、思いがけずリフレッシュできたような気がする。
あと1週間でなんとか一段落しそうだ。がんばろう。

※今日はとにかく何かnoteを書きたかったから、とりあえず日記を書いてみた。(なんのオチもなくてすみません)

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