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あの震災から10年、再び福島の地で酒造りを始動!!

東日本大震災から10年。
被災された方は当然だが、それ以外の地域でも、日本中の誰もがあの時のことを思い出すたびに苦しくなっていると思う。少なくとも私はそうだ。
そして10年経った今も、肉体や心の傷を負っている人、好きな仕事を失った人、経済的に困っている人、本当にさまざまな想いを抱えていると思っている。

だからこそ、こんな素晴らしい話を皆で共有したい。

福島県浪江町の沿岸部で江戸時代末期から酒造りをしていた鈴木酒造店。
銘柄は「磐城寿(いわきことぶき)」。
それが、あの震災の津波で蔵ごと流された。
これまでの酒造りの資料やデータもすべて失ってしまったという。

しかし、試験場に送っていた酒の中に、自社の家付き酵母があることを知り、これまでの酒の味を引き継げるかもしれないという可能性や、周囲からの応援や縁もあって酒造りを継続することを決意。蔵元は山形で酒造りを続けていた。

そして、10年目の今年、ついに福島県浪江町で酒造りを再開した!!

それがこの酒だ。
磐城寿ランドマーク 「機関始動」おりがらみ純米生酒

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最初に言っておこう。
とても美味しかった。
被災した、蔵が流された、復活した。
そんなストーリーは関係なく、ただただ旨い酒だった。

でも、やっぱり、いろんなことを思うと、飲みながら涙が出た。

穏やかで、乳酸菌飲料のような、ほんのり甘く爽やかな香り。
口に含めば、おりがらみらしい爽やかでフレッシュな酸が広がる。
けれど、主張しすぎない軽やかですっきりした味わいで、料理にも合わせやすい。
開栓後2日目のほうが、まろやかになってさらに美味しかった。

浪江町産のコシヒカリを使用。それを精米(55%)して、水も浪江町のものを山形県の蔵に運び、そこで酒を仕込んでから醪を浪江町の新しい醸造蔵に移動させて、管理して、搾って瓶詰めしたという。
酵母は福島県オリジナル酵母TM-1を使用している。

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以下、酒瓶の裏ラベルより。
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浪江町から町産の米と水を山形県長井市に運び仕込んだもろみを再び浪江の醸造施設に迎え入れ醸造した酒です。この酒と10年ぶりの私どもの町内事業再開に重ね、多くの方に感謝の言葉として「ただいま」を伝えたいこと、そして浪江のひとびとの暮らしに鍛えられてきた私たちの酒は、地域のひとびとの暮らしぶりを表現し伝え続けてゆくこと、この想いと覚悟を以て記念醸造酒「ただいま!」と「機関始動」としました。これからの私たちの酒造りと浪江町への応援をよろしくお願いします!
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一日本酒ファンとして、日本酒ライターの端くれとして、そして、あの大きな震災を経験した日本人として、この素晴らしいお酒を造る鈴木酒造店さんを心から応援している。
皆様、どうぞよろしくお願いします!

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