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酒のない人生なんて。

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日本酒ライターが語る、酒のあれこれ。
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#日本酒好きな人と繋がりたい

3万円のラグジュアリー日本酒が、私の情熱をよみがえらせた

いつもnoteを読んでくださっている方はご存知の通り、私はお酒が好きだ。 お酒好きが高じて利酒師の資格を取り、日本酒の業界誌も書くようになったくらいだ。日本酒だけでなく、ビール、ワイン、ウイスキーと何でも飲む。(焼酎とカクテルはやや苦手) 若い頃から「酒のない人生なんて!」「NO SAKE,NO LIFE」を掲げて生きてきた。 そんな私が昨年から少しずつお酒を飲むのがしんどくなってきて、今年3月に治療が始まってからは、ほぼ飲むことがなくなってしまった。 あんなにお酒が好きだ

お酒だけが私にやさしかったから。

お酒が飲めなくなったら、人生がどれほどつまらなくなるだろう。 ずっとそう考えていて、そんな人生がふいにやってくることが怖くてたまらなかった。 それくらい私の人生は、酒と共にあった。「友」でもあった。 若い頃、夫と出会う前まではいろんなことがうまくいかず、半ばやけっぱちのように生きていた。 社会性ゼロ、情緒不安定、そのうえケンカっぱやい、というどうしようもない女。 夫に出会った頃、主成分「優しさ」の夫にまで「この、誰にでも噛みつく野良犬が~!」と言われたことがある。 でも、

「義侠」という酒のカッコよさ ~『酒蔵萬流』33号振り返り①

7月20日、私がライターとして執筆している日本酒の業界誌『酒蔵萬流』33号が発行された。 ▼酒蔵萬流について詳しくはこちらから▼ 今回も担当した記事の振り返りを書いておこうと思う。 ちょっと長くなるので、1記事1蔵ずつ……。 ★山忠本家酒造(愛知県愛西市)『義侠』醸造元 『義侠(ぎきょう)』という酒がある。 米の旨みたっぷりで厚みがあり、濃醇。けれど、決して雑味はなく、きれいで品格すら感じる。 現在、酒蔵を経営するのは11代目の山田昌弘社長。今年40歳を迎える、まだ若

こんな花見酒はいかが?~日本酒初心者にもおすすめの春のお酒~

この時季になると買いたくなるのが「花見酒」だ。 特に「花見酒」と謳っているわけではないが、桜柄やピンクのラベルが春や花見をイメージさせてくれる。 今年の花見酒は上の4本にした。 お気づきかもしれないが、右2本はペットボトルに入っている。 これは東京の「はせがわ酒店」さんのネット販売で購入したものだが、今年もこのペットボトルを待っていた。なぜなら、ペットボトルの商品を購入すると、他の同梱商品も<送料無料>になるというキャンペーンをやっているからだ。 はせがわ酒店さんは、日本を

寒い日は、燗酒であったまろ♪

寒くなってくると飲みたくなるのが燗酒だ。 私はどちらかといえば冷酒のほうが好きなのだが、和食と本当に合うのは燗酒だろうなと思う。 もちろん上手につけたお燗であることが条件だが。 お燗をつけるには、鍋にお湯を沸かして、日本酒を入れた徳利を湯煎するというのが一般的だし、簡単だと思う。 それで十分なのだが、少し凝りたい人におすすめなのが、美濃焼のこれ。 ここ数年使っているが、すごくいい。 真ん中が徳利になっていて外れるので、外側の容器に沸騰したお湯を入れて、徳利をつけておくだけ

三重の日本酒&食を知るオンラインイベント「GI三重座談会」に参加

去る11月13日(土)に「GI三重座談会」に参加させていただいた。 本来ならすぐに記事を書くべきだったのだが時間がなく、開催から10日も経ってしまった。 「GI三重座談会」は、視聴は誰でもできるオンラインイベントだったのだが、事前に申し込んだ人の中から抽選で150名に「GI認定酒3本とペアリング食材」が送られてくる。 今回、私はその150名に入ったようで、下のようなお酒とおつまみが送られてきた。 まずは、日本酒(すべて300ml瓶)。 左から、瀧自慢酒造の「瀧自慢 純米大

日本酒専門バーのスタッフをやってみたら……

「好きなことを仕事にするほうがいいのか」という話題はいろんな人の間でよく挙がるし、noteでも何度かそんな記事を見かけたことがある。 少なくとも私は、25年もライターの仕事をしているけれど、ただの一度も嫌だと思ったことはないし(自分の才能のなさに打ちのめされることは幾度もあったが)、仕事はずっと楽しい。好きなことを仕事にできてよかったし、幸せだと思っている。 ただ、他の職業も経験してみたかったと、少しだけ欲張ってしまうことはある。学生時代のアルバイトも含めれば、飲食店、ケ

本日、日本酒業界誌『酒蔵萬流』30号が発刊されました!

私がライターとして携わっている日本酒の業界誌『酒蔵萬流』の30号が本日発刊された。 2年前まではライター2人でやっていたので、酒蔵だけでも毎号3~4蔵は書かせていただいていたのだが、ライターが4人になったので今の担当は2蔵くらい。減って寂しいような気もするが、書いていると身を削られるので(難しすぎて)、これくらいがちょうどいいかなとも感じている。 noteを始めた理由として、『酒蔵萬流』の取材の振り返りを書いておきたいということもあったのに、怠惰ゆえ、まだ一度も書けていな

「日本酒の日」は久しぶりの外食。変わらぬ味で迎えてくれてありがとう。

10月1日は「日本酒の日」だった。 ちょうど緊急事態宣言が明け、時短営業ではあるものの、大阪でも飲食店で酒類提供が解禁された日でもある。これは外に飲みに行かねばと、夫と出かけた。 どこに行こうかと相談し、もう何年も前から何度も通っている「蠣鯖人酒 宇久」さんに決定。牡蠣、鯖寿司、まぐろ、その他もろもろ旬の魚介と日本酒がおいしいお店だ。 人気の店なので予約でいっぱいかと思ったが、電話してみると「空いてますよ」とのこと。ホッとして、2名で予約した。 18時半過ぎに着き、店に入

この秋、「ひやおろし」を楽しんでみませんか?

最近、「秋の訪れ」をテーマにいくつかnoteを書いたが、「秋」の風物詩といえば、これを忘れてはいけない。 「ひやおろし」だ。 秋に出荷される日本酒のことだが、実は、ひやおろしについて語るのは結構難しい。 というのは、ひやおろしが生まれたとされる江戸時代と今では、お酒を搾ってからの管理方法が異なっているからだ。 もともと日本酒は、「搾った後」と「瓶詰めする前」の2回火入れ(熱殺菌)をするのが一般的だった。 ひやおろしとは、冬に造って搾ったお酒を1回火入れした状態で貯蔵して

酒瓶の裏ラベルは、CDのライナーノーツと同様だ。

昔は日本酒のラベルといえば、達筆な筆文字で銘柄が縦に書かれているだけのようなものしかなかったが、この10年くらいの間にどんどん変わってきている。 ローマ字で横書きの銘柄、可愛い動物のイラストやモダンなデザイン、紙のラベルを貼るのではなく瓶に直接プリントされたものもある。 たとえば、こんなのとか…… こんなのもある(笑)。かわいいよね。 思わず「ジャケ買い」してしまいそうになるし、日本酒は難しいと思っている人にとってもなんとなく手に取りやすいのではないだろうか。 ただ、「

酒飲みの私が尊敬する、若山牧水という歌人について

お酒を飲みすぎた翌朝、必ず思うことがある。 「今日は絶対に飲まないぞ。休肝日にしよう」 そう誓った時は、いたって本気だ。ものすごく真剣だ。固い固い決意のもと一日を過ごす。 するとどうだろう、夕方になるにつれてだんだん飲みたくなってくる。 気がつくと「酒のアテ」を作っている。 そして、酒のアテをずらりと並べたテーブルの前で言う。 「これはお酒がないとダメやね、うん」 言い終わると、朝の誓いなどなかったように、悪びれることもなく、さも当然という顔をして、冷蔵庫に直行。これか

バニラアイスがおいしくなる?!「アイスクリームにかけるお酒」

日本酒が好きだという人も、「古酒」となると、ちょっとハードルが高いと思っているのではないだろうか。 そもそも「古酒」とは何年以上寝かせたものなのかという疑問もある。私は3年熟成くらいなら「不老泉」や「玉川」を好んでよく飲むが、10年もの、20年ものとなると、何かの機会でもないと口にしない。よほどの古酒好きでなければ、日常的によく飲むお酒でないことは確かだ。 そんな私がこの夏おすすめしたいのが、「アイスクリームにかけるお酒」だ。2種類あって、このライトタイプは平成10年産(

「顔を上げ 少しずつ前へ」というラベルに込められたメッセージ

いま、多くの飲食店、酒販店、そして、酒蔵が大きなダメージを受けている。テレビで取り上げられるのは飲食店ばかりだが、酒蔵も本当に厳しい状況で、多少なりとも日本酒業界に関わらせていただいている身としては胸が痛い。何もできない自分がもどかしい。 先日、京都の伊勢丹のお酒売り場で、こんなお酒を見つけた。 高知県の酔鯨酒造が販売している「酔鯨 純米酒 顔を上げ 少しずつ前へ」 青空に飛行機雲。「酔鯨」にしては珍しいラベルだなと思って手にとって見てみたら、「ラベルに込められたメッセ