語彙力は落として話す。そのために、語彙力をつける。
文章を読み書きする人がそろって口にする言葉。
「あぁ~~、語彙力つけないとなぁぁぁ」
語彙力を付けることの最大のメリットは、世界の解像度が上がるということに尽きます。
私が塾の生徒に解像度という例えを出すときにいつも用いているのが、動画を見るときに気にするであろう画質です。
単純にピクセル数が低いと画質が粗く、高いと画質が良くなります。
旅先で触れた”ヤバい”景色や食べ物が、どうヤバいのか。それを表現できる語彙を身につけることによって世界に輪郭がつき、自分の人生が少しだけ鮮やかになる気がしています。
しかし、語彙力を身につける弊害もあると考えています。
というか、語彙力に関して多くの人が誤解していることがあるのではないでしょうか。
それは、単に難しい言葉を知っていて、それを使えることだけが語彙力ではないということです。
それをありありと実感した経験が、小学校でのボランティアの体験でした。
小学校は言わずもがな1年生から6年生までの幅広い年齢層の児童が在籍しています。
そこでは、6年生に通用する言葉が1年生に通用しないということがよくあるのです。それどころか、普段大学で同級生と話しているときに使うような言葉が6年生に通用しないことすらあったのです。
そこには、自分が意味を知っていて当たり前だと思っている言葉が通用しない世界がありました。
これはこれから知識を蓄えていく小学生はなにも悪くない。むしろ、小学生に対して言葉を使いこなすことのできない自分に非があるのかもしれないと感じ、1年間のボランティアでは、各学年に合わせた言葉選びをするように意識しました。
これはなにも小学生に限った話ではないのです。きっと。
自分はむずかしい語彙を知っているぞ!!
こっちの(マイナーな)表現の方がこの状況を的確に表すことができるぞ!!
と自分の口から飛び出た言葉が結局誰のもとにも届かないのだとしたら、言葉にとってそれほど悲しいことはないでしょう。
だからこそ、誰が聞いてもわかるように、語彙力は落として話すということを大切にしています。
実際、お医者さんや看護師さんの説明は、誰が聞いてもわかりやすいようになっている気がします。
本当はよくわからないカタカナだらけの薬だったり症状だったりするものをこうも簡単に教えてくれるのです!!
小学校の教師を目指している私は、病院でのこのような言葉遣いに感銘を受け、以降人と話すときには意識しています。できているかは別として!!
言葉の持つ繊細なニュアンスの違いや伝わり方を知るために語彙力を身につける。
一方で、どの人にも伝わる言葉を選んで言葉を紡ぐ。
それがいちばん大切なことだと感じています。
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