「つながる」

代々木忠氏の「つながる」
というタイトルの本を読んだ。
新潮文庫から出ている。
代々木忠氏は、AV監督である。
それなりの高齢の方で、
AV業界では、知る人ぞ知る人であるらしい。

大きく分けて、3章の構成。
第1章には、「満たされない女たち」
というタイトルがつけられている。

その中にある、「門限九時半のお嬢様」
という部分が興味深い。
見出しそのまま、
成人しても家の門限は9時半。
それを忠実に守っているという
お嬢様育ちの女性の話。

代々木忠氏は、基本的には、
著作では性について語っている。
AVの撮影現場での出来事も絡ませながら、
感じるセックスを追求しているのだと思う。

出演者に性体験を聞くと、
やはり幸せなことばかりではないという。
親から、性的虐待を受けていた子もいれば、
強姦の被害者もいたという。

お嬢様は、精神的虐待を受けていた。
肉体的、性的虐待を受けていたわけではない。
むしろ、立派な両親に育てられた
お嬢様である。
これは、「毒親」の話につながる。
親の愛という名のもとに、
自由な意思も自己も行動も制限されて、
いずれ心を失う。
親の愛を否定する自分を責め、
親や自分を憎みながらも、
そこからの抜け出し方もわからなくなる。

著者は、緩い地獄のような状態と
表現している。
過保護、過干渉タイプの毒親である。

こういうこと言っても、
何言ってるの、立派なご両親じゃない
と思う人もいるだろう。
このお嬢様のような精神的虐待が
なかなか明るみに出ないのは、
そういう世論がどこかにあるからだろう。

親子関係と男女関係は、
一見、無関係のようでいて、
綿密に関係しあっていることが多い。
突き詰めていくと、
つながっていない事象を探すことの方が
難しかったりする。

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