八重子

東京在住、30代マゾでSMパートナーいます。占星術もかじっています。

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    その日の気分で書く短編小説。 どこまで続くかなぁ😵‍💫 占星術のサビアンシンボルから発想を膨らませています。

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獅子座3度

夫がいなくなってちょうど2年経った。死別ではない。 今もあの男はのうのうと生きているのだろうが、私はもうかつての夫を思い出したくなかった。 離婚を切り出されたのも蝉の声が煩わしい夏の日だった。 他に好きな人ができたからと言っていた。 夫は高校教師をしていた。相手はその教え子だという。おぞましい。 30も過ぎた男が何を言っているのだろう。 たったそれだけで、私の元夫への信頼感も愛情もなくなった。 離婚に応じ、手続きそのものはさほど滞りなく済んだと思う。 慰謝料を支払われ、購入

    • 蟹座16度

      子供の頃、河原の近くの空き地がもっぱらの遊び場だった。 キャッチボールをしたり鬼ごっこをしているうちは可愛げもあったように思うが、ある日を境に、河原近くの空き地であるものを探すようになった。 雨ざらしのボロボロになったポルノ雑誌だ。青年向けの漫画雑誌もあった。裸の女が見たこともない表情をしていた。 大人になったらじぶんもこういうことをするんだと漠然と考えていた。 タバコの煙を見ながら、ませた子供時代を思い出していた。口を丸く開けて、煙を輪っかの形にしてみた。少し歪な形にな

      • 蟹座15度

        長いテーブルには、ビロードのクロスがかけられ豪華な食事が並んでいる。豪華な衣装に身を包んだ男女がテーブルを囲うように座っていた。その中でも最も目を引くのは、テーブルの真ん中に横たわる若い女の姿だった。 美しく化粧を施され、瞳は聡明な青で塗られ、唇には紅が引かれている。頬は桜色に上気している。静かに目を閉じているが、胸が微かに上下するのが見て取れる。絹糸のような髪は艶やな黒で、その黒さが、陶器のような肌を引き立てていた。純白のドレスのスカートはくるぶしまであり、胸元が大きくあ

        • 蟹座14度

          4階の東北の部屋は幽霊が出るともっぱらの噂だった。 幽霊を見るのは決まって若い男で、女や老人や子供は幽霊を見たというものはいない。それも入院患者だけでなく付き添いの人間や、医師や看護士までもが幽霊の話をするのだ。幽霊を見たのは皆若い男であった。 最初に幽霊に出会ったのは、3年ほど前にこの部屋に入院していた、30ほどの女性の弟だった。誰もいない病室に女性がいて、窓辺に立っての外を見ていたという。入院していた姉の方はたまたまトイレに行っていていなかったらしい。窓を見ていた女は

        獅子座3度

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          蟹座13度

          車のルームミラー越しに、タクシーの運転手と目が合う。運転手は平常心を装っているが、後部座席の男女の行為が気にならないわけがなかった。 親指は男と女にとって、最も繋がりを感じる部分だ。2人はマッチングアプリで知り合った。恋人ではなく、やってみたいプレイの為に相手を探した。 タクシーの後部座席で、女に男の親指を舐めさせる。指に舌がまとわりつくように、蛇の後尾みたいに絡み合う。ただそれを誰かに見せつけてやりたかった。 女の真珠のような瞳が潤んだ。吐息にかすかに声が混じる。悦を

          7/3 蟹座12度

          高校2年生の頃に、教育実習でやってきた先生に運命を感じた。今日の占いで出会い運は最高だって言っていた。この人は運命の人に違いないと私の直感が告げていた。教育実習の期間は限られている。だから私はなんとしてでも先生と距離を縮めなければならなかった。 彼女はいない。先生は確かにそう言ったけど、本当のところはわからない。でも、いたっていいんだ。だって、別れて私と一緒になってくれればいいんだもの。 それから数週間。努力虚しく、先生と距離を縮めることはできなかった。でも、運命の人なら

          7/3 蟹座12度

          【5/10】牡牛座20度

          失業保険が振り込まれていた。勤めていた頃の給料には当然見劣りするが、贅沢をしなければ、食べていけない額ではない。とはいえ、生活にかかる家賃やら、光熱費の支払いもある。なるべく早くに次の仕事を探さなければならなかった。 年度末で新卒から8年勤めた会社を辞めた。上司のセクハラに悩んでの退社で、当然、会社都合だ。 実家に帰るという選択肢はない。会社を辞めると実家に連絡したが、あんな大手辞めるなんて…まだ結婚もしていないじゃないの…そんな面倒なことを言われただけだった。退職の理由を

          【5/10】牡牛座20度

          【8/14 】獅子座22度

          待ち合わせ場所の新宿西口交番の前に着いた。相手はまだ来ていないようだ。スマホにはLINEの通知が来ていて、大江戸線の新宿駅に着いたとメッセージが来ていた。大江戸線はここから少し遠いが10分はかからないだろう。 ここはいつも鳩が多い。割と肥えてるやつが多くて、人を怖がる気配がない。ここの鳩はなんだかふてぶてしい気がする。 そうこうするうちの兄がやってきた。 「待たせたな」 「いや、今来たところ」 兄と地下街の目についた適当な喫茶店に入った。兄が壁側の席に座って、自分はその向かい

          【8/14 】獅子座22度

          【8/13】獅子座21度

          首を絞めると膣が締まると聞いたことがある。何でそんなことを知ったのかは忘れてしまったが、そういう性癖の人間が存在することは、なんとなく知っていた。 首を絞めてみたいなどと、強く願ったことはないはずだが、不思議と恐怖心や嫌悪感は抱かなかった。実のところ、自分にもそういう欲望があるからだろう。 女の白く細い首に両手を添えて、親指に力を入れた。あくまでこれは合意の上のプレイなのだ。それでも力を入れすぎないように、慎重に力を込めた。 女の体が一瞬びくんと跳ねて、苦しそうな嗚咽が漏れ

          【8/13】獅子座21度

          【8/13】獅子座20度

          薄手とはいえ長袖のトレンチコートでは、まだ暑すぎる季節。コートの下には縄だけを纏う女が河原に佇んでいた。 西の空にはまだ太陽が残って、景色が赤く染まっていく。 サッカーのユニフォームのまま自転車を漕ぐ子供とすれ違ったが、子供は全く女のことを気にかけることなく通り過ぎた。 買い物袋を両手に下げて子供に何か言っている母親も、塾帰りのような学生も、誰も女に目もくれない。 足元に何やら生き物の気配を感じ、女は振り返った。 気配の主はオレンジのリボンをつけた可愛らしいシーズー犬。女はこ

          【8/13】獅子座20度

          一年ぶりw

          放置プレイもいい加減にしろと言いたくなるこちらのnote tumblrのブログやってたんだけど、 noteにうつそうか迷ってる…

          一年ぶりw

          7/1「Arcアーク」鑑賞

          私は世界に触れる―― 人類初、永遠の命を得た 女性の物語 舞台はそう遠くない未来。 17歳で人生に自由を求め、生まれたばかりの息子と別れて放浪生活を送っていたリナ(芳根京子)は、 19歳で師となるエマ(寺島しのぶ)と出会い、彼女の下で<ボディワークス>を作るという仕事に就く。 それは最愛の存在を亡くした人々のために、遺体を生きていた姿のまま保存できるように施術(プラスティネーション)する仕事であった。エマの弟・天音(岡田将生)はこの技術を発展させ、遂にストップエイジング

          7/1「Arcアーク」鑑賞

          善き人のためのソナタ

          「善き人のためのソナタ」 2006年公開のドイツの映画。 1984年の東ベルリン。国家保安省(シュタージ)の局員ヴィースラー大尉は国家に忠誠を誓っていた。ある日彼は、反体制の疑いのある劇作家ドライマンとその同棲相手の舞台女優クリスタを監視するよう命じられる。さっそくドライマンのアパートには盗聴器が仕掛けられ、ヴィースラーは徹底した監視を開始する。しかし、聴こえてくる彼らの世界にヴィースラーは次第に共鳴していく。そして、ドライマンが弾いたピアノソナタを耳にした時、ヴィース

          善き人のためのソナタ

          擬態

          私は普段はなんの変哲もない 30代の社会人の端くれとして生きている。 裏の顔はマゾだ。どこかのSMクラブに属してるなんてことはない。 同じように社会人の端くれとして生きているご主人様がいる。 どちらが本当の顔かという議論はさほど有意義ではない。 どちらも私であることに変わりはないと思いながら、その狭間に思い悩む自分もいる。 マゾでいてもいい時間はご主人様が与えてくださる。 私の顔をした仮面をつけて、週の大半を労働に費やして日々生活している。 マゾでいる時は、その仮面を外せる

          昔話

          子供の頃、世界の昔話みたいなタイトルのタウンページくらいのサイズの本を持っていました。 実家のどこかにあるかもしれないし、もう処分してしまったかもしれません。 今思うと結構高価な本だったかもしれません。 たくさんの物語が載っていたので、昔話の絵本を1冊づつ買うより、結果的には安い買い物だったかもしれません。 小学生の頃、その本に載っている昔話が面白くて、飽きもせずに読んでいました。 世界の昔話なので、日本のは載っていなかったと思います。 有名どころで、親指姫や人魚姫、オオカ

          父滅の刃

          以前ここで書いた 樺沢紫苑氏の「父親はどこに消えたか」は すでに絶版になっていますが、 この本と同じ内容でさらに加筆された 「父滅の刃」が出版されたので、 読みたい人はこちらがおすすめ。 父滅の刃って大ヒット漫画の 鬼滅の刃からきたタイトルで 鬼滅の刃における父性も書かれています。 鬼滅の刃では、鬼は日輪刀という 特別な刀で首を切ると死ぬんですが、 斬首は心理学では 「去勢に対する不安」と言われているそうです。 そうだとすると 男を打ち負かさなくてはならない恐怖、 男と戦

          父滅の刃