見出し画像

初恋という狂気の日々 第二十五章

第二十五章 身の程知らず 分相応

選挙も終わり 次は合唱コンクールとなった 
絢辻さんは他クラスなので、どんな状況なのかは彼女から聞いた情報くらいしかなかった 
 絢辻さんが様子について喋る
「ウチのクラスはある程度 統制は取れているんだけどねぇ……いかんせん 合唱委員会の担当がアレだから困る はっきりいって……無能 全く何で無能が仕事をやりたがるんだか…… 身の程をわきまえて欲しい
結局 伴奏のわたしが統制取らざる得なくなってる
しかも もう一人の伴奏も大して上手くないから 余計に先が思いやられるわ

やはり絢辻さん ピアノが非常に上手だし、リーダーシップがあるので手厳しい意見である 

 ちなみに私のクラスはというと 担当係はしっかり仕事をこなしているが、クラス全体としてやる気がなく統制は取れていない という雰囲気だった

そんなこんなで本番当日となった

校長先生が開会の言葉を話す   
そのスピーチは
“合唱委員も伴奏も皆 苦労は等しい” といった旨と
“万が一 伴奏者がミスをしても最優秀賞は取れる”
みたいな内容だったはず

そうして 私のクラスが終わり、絢辻さんのクラスの番になった

 合唱コンクールは各クラス2曲ずつなので、最初は絢辻さんではない人が伴奏を行った

そして悲劇が起こる

なんと その人が最後のサビで伴奏をミスってしまったのだ

しかしながら クラスとしてはアカペラで上手く乗り越えたみたいで 何事も無かったかの様に終わる
そして次は 絢辻さんが伴奏をする番だ

聞いていると、私は感動を覚えた やはり天才的な上手さである 素人ながらに素晴らしいと感じざるを得ない もっと絢辻さんの伴奏を聞きたい 私はそう思った そうして無事 絢辻さんはミスもなく曲を終えた

結果は何故か私のクラスが最優秀賞だった

私のクラスが選ばれた時 クラス全員で 「え?」って驚いた後に あんま練習してなかったよ…という微妙な空気が流れたことを未だに覚えている
絢辻さんのクラスは残念ながら 賞は特になかった
私は内心「絢辻さんにだけでも賞を授与してくれ…」と心底願った

数日後 二人で喋る機会があったので、合唱コンの感想をお互いに話した

絢辻さんが呆れた表情で言った「全く 案の定 ミスりやがった だから適任者じゃないってずっと言っていたのよ…… あんなことになるなら私が2曲やった方がよっぽど良かったわね」

私はうなずく 

そして彼女が続ける「大体よ 校長も意味がわからないと思わないかしら? “みんな苦労は等しい”とか綺麗事言っちゃってさぁwww 伴奏の苦労を何だと思ってるわけあの校長?w 伴奏はそんな楽な仕事だと思っているわけ? 全く何も知らないくせに上面ばかりの発言しやがって気分が悪いわ」

私は「そりゃ伴奏が無きゃ 合唱は始まらないからな全ての土台と言っても過言ではない」と彼女に共感する

絢辻さんの愚痴は止まらない

「何も知らない校長。 能力もないのに仕事をしたがる合唱委員会。 やりたがるクセにミスをする伴奏者 世の中には『分相応』という言葉があるわけで、その身の丈をきちんと理解した行動や役職を意識してほしいものだわ」

やはり絢辻さん毒舌がキレキレである しかしながら彼女はきちんと仕事をこなし優秀であるので この毒舌も説得力がある 

私はその発言を聞いて笑いながら「詞(絢辻さん)に言われたら 誰も敵わないだろwww 何たって詞のピアノは学年一位といっても過言ではないレベルやん」

それを聞いて彼女の表情は少し和らぎ
「ありがとうね でも私より温厚ちゃんとか上手い人はいると思うよ」と謙遜しつつも嬉しそうだった

私はやはりここで❨温厚とかいう人よりも絢辻詞の方が凄いってコトをいつか証明してやる 温厚を引きずり下ろしてでも……❩とアンチをムーブメントを心に秘めていた

この記事時点での時系列 中学2年生 秋〜冬 出会って4年以上


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?