初恋という狂気の日々 第三十章〜三十一章
第三十章 衝撃
前章から数日が経ち いよいよ本格的に授業が始まる 頃合いとなった また同時に修学旅行が早めなので、その準備も行うこととなる
その為 初期の席順から一転して、修学旅行の班に沿う形での席替えが班構成の発表と同時に行われた
温厚さんが班長に抜擢され、温厚さんと仲が良い美人さんと私も同じ班になり 席は美人さんの隣となった 美人さんが「よろしくね〜」と笑顔で話しかける
私も「よろしく〜」と笑顔で返す
ここで一旦 班員構成について軽く話す
班員 女子 温厚さん(班長) 美人さん
男子 私(テラバド) 男A 男B 男C
という女子 二人 男子 四人という構成の班員である
私はA B Cとは全員関わりがあるし、温厚さん 美人さんとも前から喋る関係なので 班員 男女間の調整役になる流れとなった
また 私以外の男子はあまり行事等に関心がないタイプであったので、尚更 班長の温厚さんを中心に美人さん 私の3人で取りまとめが出来るので、 より私は二人と話すようになり 班行動を決める人【温厚 美人 私(テラバド)】 と従う人【男A B C】という具合に別れた
最初 私は全く気にしていなかったが、端から見ると女子とばっか喋っていることになるので 時たま茶化されるが、それはそれで話題のネタになるので会話が盛り上がった
そうしていく数週間新しいクラスで過ごす内に私はふと思った ❨今までは絢辻詞様がいないクラスに存在意義は無いと思い込んでいたけど、それは間違いだった 絢辻さんがいなくてもこんなに楽しいクラスがあるじゃないか 温厚さんに対する偏見といい 私は今まで視野が狭すぎた❩
そうしてクラスを楽しむと同時に、私の中で絢辻さんに対する崇拝度合いは薄まりつつあったが、その気持ちはまた掌返しのごとく すぐに変わった
私達3人の席は廊下側だったので生徒会長 温厚さんに用がある人が時たま 窓越しに話しかけてくる
当然 同じ生徒会である 絢辻さんも話しかけてくる時があった その日も三人で話していた時で、絢辻さんは愛嬌さん(後で人物説明します) と一緒に私達のクラスにやってきた
温厚さんの用件が終わると、私が会話の流れで「詞(絢辻さん)も同じクラスにいたら もっと面白かったのになぁ お前が同じ班ならもっと盛り上がったやろうし」と呟いた 温厚さん 美人さんも頷く 愛嬌さんも賛同の表情をする
当の絢辻さんは あはは〜と営業スマイルでどこか他人事
私はその反応が不思議に思いつつ 絢辻さんは自分のクラスに帰っていった
以下 愛嬌さんについての人物説明
・名前の通り 喋り方や振る舞いに愛嬌がある
・絢辻さんと同じクラス ・絢辻さんと仲良し
・温厚さん 美人さんとも仲良し
・私とは共通の友人が近くにいたら話す程度
・可愛い・性格も優しい
一言で紹介するなら 優しくて可愛い癒やし系女子である
そして その出来事から数日が経ち 修学旅行の日程もおおよそ決まりつつあった頃合いで、学年全体の班員構成が発表された
どんな班員構成に他クラスはなっているのだろうと 全体的に眺めていると隣のクラスである 絢辻さんの班も見つかった
見つけた瞬間に思わず 「えっ?」と驚きを隠せなくなった
あろうことか 絢辻さんと仲が良い 愛嬌さんが別の班に組み込まれているのである
しかも その愛嬌さんは絢辻さんと同じ部活のラジオさん(第八章登場)等と一緒の班なのだ
即座にとある考えがよぎった
“絢辻詞様 まさかとは思うけど、部活内とか身近な関わりのある人達からハブられている? ”
その瞬間 私の中で薄れていた絢辻さんに対する気持ちが再熱した ❨とにかく今すぐに絢辻様のとこへ行きたい そして話を聞きたい 状況を知りたい❩
その日はずっと心ここにあらずの状態で過ごしていたが、タイミング良く 帰り際に下駄箱で絢辻さんに出会った
目があった瞬間に私がすかさず話しかけに行こうとすると、向こうが暗い表情で話しかけてきた
絢辻さん「今度の週末 漫画返したいからどうかしら………込み入って話したいこともあるからさ…」
私は「わかった」とうなずき お互いに帰った
本当は今すぐにでも聞きたいところだったが 表情と終わり際の声のトーンからして それはできなかった
第三十一章 葛藤
そうして約束の週末となった
私は絢辻さんのお宅にあがらせていただく、絢辻さんのお母様からはお久しぶりね〜と挨拶を交わし お兄さんとも数分話した
そうして 二人きりになってから雑談が始まる
最初は漫画の感想といった他愛もない話だったが、段々と学校の話になるにつれて 絢辻さんの顔がこわばりつつも何か言いたげだった
私は思い切って修学旅行の班員構成について聞いた
「あの……詞の班員構成って詞的にはどうなん?……本音を話すと、詞的には苦痛な気がして心配してるんだけども…… 余計なお世話だよね」
絢辻さんはその瞬間 「やっと聞いてくれた」 と呟き
続けて「大変な班員構成だよ 女子と男子が仲悪いしさぁ ゴタゴタ揉めて仲介するのは結局 わたし
しかも女子 わたしがあまり関わりない班員だから、やりにくくて……男子も職人くん(後述で説明)は昔から関わりあるんだけどねぇ 職人くんに助け船を求めるわけにもいかないし……そもそも彼をそういうゴタゴタに巻き込みたくない」
以下 職人くんについての人物説明
・手先が器用で職人の用
・イケメン ・イケボ・ギャグセンスが高い
・絢辻さんとは古くから関わりがある(恐らく私より前から関わっている)
・絢辻さんとはよく話す・私とも結構話す
私は同情して心配するしかなかった そうしていると彼女が続けて淡々と話し出す
「あぁそうそう 察しが良いアナタなら気づいたかもしれないけど、私 ハブられているのよ だからラジオが愛嬌ちゃんと同じ班なのに私は別」
私の中でまさかと思っていたことが判明した瞬間だった 思わず「え?……まさかとは思っていたけど…」と驚きを隠せなくなる
絢辻さんは「当たり前だけど部活でも居場所が無くてね〜ラジオと仲悪が一緒にわたしをしれっとハブいてるから、わたしも打つ手なしよw」
私は同情しつつ 内心で考えた❨予想よりも状況は悪そうだ……でも同じ部活の温厚さんはそこに加担する訳ないから…温厚さんに相談するのが良いんじゃ❩
それを言おうとした瞬間 絢辻さんが続けて話し出す
「でも温厚ちゃんも八方美人よねぇ」
私は思わず聞き返す「えっ?どういうこと?」
そうすると諦めた表情で「いや わたしがハブられているのに、特にアクションが無いもの…… いやあの人は完璧で人気者だから、そんな苦労したことないのか そりゃ何も知らないよね」
私は困惑した ❨俺と真逆で今度は君が温厚さんの評価を下げて批判的に見ている……どうすれば良いんだ❩
自分は言葉を濁しつつ「え、あ、まぁ……温厚さんは気づいてない可能性が高そうだね………」と苦笑い
絢辻さんは淡々と喋る「あ、あと温厚ちゃんとか愛嬌ちゃんにはこのコト話さないでおいていいわよ 無駄に心配かけるだけだし 向こうにも立場があるだろうから解決できる問題とは思えないし。ま、部活が終わるまでの辛抱よねw」
私は思わず反論する「それじゃあ ストレス貯めるだけじゃないか 何かしら出来れば良いんだけど…」
彼女が答える「こうして話を聞いてくれるだけで、わたしにとってはありがたいわよ。 こんな話 アナタぐらいにしか話せないもの……… だからこそ会って話す度に少し気が楽になる……」
私は少し気楽になった 「ありがとう これからもまた定期的に会って気楽になれれば嬉しいよ。 とりあえず俺も何かしら出来ないか探してみる」
こうして数時間 お互いに喋り終えると家に戻った
帰宅中 私はずっと葛藤し続けた❨絢辻さん的には温厚さんの評価が下がった。 だけども、私的には温厚さんと仲良くなって評価が上がった。 けれども、私は絢辻さんが好きだから、絢辻さんの意見を尊重しておきたい……けれどもあんな素晴らしい人を批判はしたくない………どうすれば良いんだ……❩
その日はずっと眠るまで悩み続けた
この記事の時点での時系列 中学3年生 春 出会って五年以上
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