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0498 100冊を選ぶとしたら

100冊で耕す、という本を読んでいるのだが、私は読書に偏りがあり、100冊も読めていないので、選びきれない。

確実に選ぶのは、
三浦哲朗、吉村昭、開高健、阿部昭だ。
たまに再読したりもするのだが、三浦哲朗などは、もう一度読みたくなることが多く、本がぼろぼろになっている。

この著者の中で、吉村昭の「冷たい夏、熱い夏」がどうしても読み直せない。
1日で一気に読みこんだ。秋だったか。休みの日で、ゴロゴロしながら昼過ぎに読みだしたはいいものの、怖くて止められなくなり、気が付いたらあたりは暗くなっていた。
この時代、癌になっても本人に告知するかどうかは家族に委ねられており、吉村昭は、自身が結核になった時にも親身に世話をしてくれた年の近い弟に、癌を告げなかった。
最期まで。

吉村昭自身、最期は癌で亡くなるわけだが、自分で死ぬと言い、延命のための装置を自ら外して逝った人だ。これを知っていたから余計に、この弟とのやり取りの凄まじさが、鳥肌の立つほど怖くて、読むのを止められなかった。

読み返したい気持ちがあるのだが、かなり体力と精神力を奪われるので、読み返せないでいる。

先ほど列挙した作家は、死がそこかしこに漂う作品が多く、好きなのだが、この「冷たい夏、熱い夏」はあまりに死が濃厚で、私の後ろに底なしの暗闇があるかのようだった。振り向いたら最期、というような。

…読みたくなってきてしまったな。
でも怖い。

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