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0182 それをして、何をするか

肩書がついたころ、部下に迷惑をかけちゃいけないと思って、自己啓発系の本を読んだ。
職場で受ける研修を素直に受け止めた。

あれもしなければ、これもしなければ、のスタートである。
それはじわじわと、私の首を締め上げて、肩の力を徐々に入れさせて強張らせ、ついにはたった一つの理不尽さによって、気力は遥か遠くに吹き飛ばされてしまった。

復職を目指してはいるものの、仕事のことを考えると胸が苦しくなる。
嫌だ、できない、不安、怖い、どうしよう、しか言葉が出なくなる。
「慌てるな、まだ時期尚早」という主治医は、やはり正しいのかもしれない。
薬を飲み、不眠になっていることを黙っているのだけれど、見透かされている。

結局のところ、自己啓発系の本をどれだけ読んだって、自分がそれを使ってどうしたいかがなければ、どうにもならないのだった。
じゃあ何をしたいのかと、考えているのだが、なかった。
少なくとも仕事上では。

一番満足感のあったころは、肩書もなかったころだ。
徹夜に土日出勤、深夜帰宅はざらにあったけれども、そのことは嫌ではなかったし、創作もできていた。
メンタル的な、公私の切り分けができていたのだろう。
肩書がないから、360度にレーダーを張りめぐらして敵を察知するよう心掛ける必要もない。自分の業務に真摯に向き合っていればよかった。
何より苦手な人間関係の回し、政治的抗争など、一ミリも考えなくてよかった。

やはり肩書返上に限るのだろう。
周囲のことより、自分のこと。
持続的に、仕事なり趣味なりをできる道を探らなければならない。

本能は当たっていたのだ。
私は、肩書は向いていない。
みんな、冗談だと思っている・謙遜だと思っているようだけれども。

伸びすぎたゴムだって、過ぎれば切れる。
その時、他人は何の責任も取れないのだから、自分のことを第一に考え、「期待に応えよう」となんてしなくていいのだ。


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