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0234 新宿の歌声

会社が新宿にある。
ここのところ残業で、駅に着くころには若者が駅前の歩道で歌っている。

自分が立ち止まって聞くことはない。
幾人かが歌う彼らの前で聞いているものの、大半は私と同じように通り過ぎていくか、仲間とのおしゃべりに夢中で聞こえていない。

私は、足早に改札へと向かいながら、それでも背中で歌声を聞いている。
どんな思いで、どれだけ好きで、あそこで彼らは歌うのだろう。
私には、それほどまでに打ち込めて、気持ちを入れて何かをしていることがあるだろうか。

40代というものは、つい後ろを振り返ってしまうようだ。
今を見ないで、過去を見る。
これまで自分は何をしてきたのか、と思い返し、何もない熱にぞっとする。

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