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0134 生きていた人々の影

お盆の話ではない。

江戸とうきょう建物園に行ってきたのだった。
吉祥寺から武蔵小金井まで徒歩、という強行軍である。
東京8000散歩なる本に1万歩コースとあったが、1万5千以上ですね、そして熱い(暑いとかじゃない)
夏にやるかという話だ。

さて、そのコースのゴールだった江戸とうきょう建物園。
興味深い昔の建物の数々が、広い敷地にゆとりのある配置がなされていて楽しい。
小金井公園という公園の中にあるので、園内の散策楽しそう。
ただ夏の盛りはきつい…木陰は涼しいのだか、吉祥寺から歩き、体力を削られていたために魂が半分出ちゃってた。

江戸から昭和初期にかけての建物は、どこか懐かしい。
高橋是清の邸内では、ちょっぴり226事件の軍人のふりをしてみた(心の中で)(だめだろ)
酒屋、乾物屋、お風呂屋、文房具屋……
部屋の奥が薄暗い。その先に庭のような緑が見えたりして、お盆の時に帰省した、父方の祖母の家を思い出した。
居酒屋のカウンターは、今もこういう店あるなぁ、こういうお店が好きだなぁと見入ってしまった。

薄暗がりの中に、かつてこの建物内にいたであろう、そしてここに買い物をしに訪れていたであろう人々の気配があった。
でももう、この建物は飾りになってしまっている。
歴史に、文化財になっていく過程にある。
普通に、生活の中に溶け込んでいたものではなくなっていく、その道中は少し寂しかった。
置いていかれるような。

いや、私は令和を生きている人間なんだけどな。
置いていかれるというより、置いていく側の人間だ。
でも、このスピード感が厳しいと、脳が叫んでいる。

だから、寂しいのだろう、日本の古い家屋を見ると。

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