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アフロディーテのうた|詩と日記

昨夜
うわごとのように
私をむさぼった
その 同じ唇で

あなたはなぜ
そんなにも清らかな
愛の歌を謳うの


あなたがたはなぜいつも
正反対の方向に
引き裂かれ続けているの

はがねの裂け目に真新しい切っ先が覗く

あなたはいつも
なぜか好んで
自分を傷つけようとするけれど

その刃は同時に私をも捕らえる


腕を広げ
ぎゅっと抱きしめて
その手から刃が転げ落ちるまで
動かずに

おとぎ話の娘のように
竜や氷壁や燃える茨
様々な姿に変わって暴れるあなたが

最後の最後に
あなた自身に戻るのを
待っている




 アフロディーテというのは、ギリシャ神話に出てくる「美と愛(と生殖)」の女神です。最後のひとつはセンシティブなので、「美と愛と豊穣」の女神、と、しとやかに言い換えられることもあります。(豊穣は、むしろ穀物神デメテルの権能なので、混乱を招くことになりますが🤔)

 アフロディーテの良人おっと、(というより性状から恋人なのでしょうけど)アレースという神がいます。「戦争の神」です。
 戦争の神なんてもちろん好きじゃないので(私にとってはラスボスみたいなものです💦)、このお方についてはあまり考えたくなかったのですが──一方で、アフロディーテ(ヴィーナス)という、現代まで変わらぬ人気を誇り、ギリシャ・ローマ神話における事実上の最高権威者みたいになってきた女神の、対になる神が、なぜ「戦いの神」なのか常々不思議でした。もちろん、当時は強国・大国になりたかったから、戦いの神は人気だっただろうとは思います。でも、どちらも人気だからひとまとめにされた、というわけでもなさそう。

 神話や民俗学系の本を読んでいると、どうやらこのふたりが表しているのは「生命エネルギーの奔流」で、比喩的に「破壊と創造」を司るカップルのようなのです。アレースが破壊し、アフロディーテが再創造する、ということみたい。美的なものを高く掲げ、愛によって生み出す、ということですね🤔

 さらに悩んだ末に、私が勝手に性格付けしたのが・・・戦争(衝動、暴力)を鎮めることができるのは美で、だから、アレースが暴走したときに止める役割を担っているのがアフロディーテなのではないかということ。それなら、このふたりがセットになっている意義もわかります。
 アフロディーテ様には、ぜひがんばっていただきたいものです。

 ・・・というようなことを描いた詩でした。どう考えても、小説のなかにこれを嵌めるべき場所がないのは明らかなので、派生作としてここに載せてみます。
 はぁ…また因果な詩が出てきたよ…なんて、思いながら・・・


 さて、詩のおはなしはこのくらいにしておきます。

 早いもので、もう6月。相変わらず『アモールとプシュケー』の見直しをしています。そして、ぜひ書いておくべき重要なモチーフやテーマ(数行ほどのボリューム)が、どうしてもちょこちょこと出てくるわけです。「愛とは」「生きるとは」「死とは」から始まり、「花とは」「風とは」みたいなものまで、プシュケーの視点からの描写に、さりげなく(説明臭くならないように)忍び込ませる作業です。
 ですので、逆に言うと、この作業が終わらないうちに掲載しても、ストーリーとしては何の問題もないわけです。

 アニミズム的世界なので(とくにオウィディウスがそうです)、それぞれを神格化した神や女神を通して、改めていろんなことを考え直すのにうってつけの教材なんですね、ギリシャ神話って。

 やはり今月中には仕上げて掲載を始めるつもりです。そして、私は私で、時々また見直して、加筆補筆するほうがよさそうに思います。過去にも、十年くらいかけて補筆したもの、ありますし(^^ゞ たぶん、充分に炯眼なら、短期間で完全に仕上げられるのでしょうけどね🤔
 ひとつのものを延々と育て続けたいのは、性格なのでしょうか。


 6月の目標、もうひとつは、紫陽花の写真を載せること。すでに、ざっくり取捨した写真が140枚くらいあって、いくらなんでも多すぎるので、あと半分くらいになるまで絞り込まねばなりません。一年前も70枚くらいnoteに載せた記憶が…(-_- )


 それと、ついさっき、YouTubeのオススメ動画で、ボードレールの詩の朗読作品を発見してしまい。知らないタイトルだったので逆に気になって、調べてみたら『パリの憂鬱』のほうでした。直球で刺さる、思わず沼る詩でして…。しかも、ツボりそうなnoter様が思い浮かびます...(ちなみに、恋愛詩ではなかったです。)
 7月になったら、拝みつつ是非取りかかりたいです(^∇^) 散文詩の訳し方って、韻文詩と変わるのかどうか…結果的にどうなるのか、楽しみにしつつ。


今回の紫陽花は、どれもお散歩中に見つけた姫です。

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