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星のかがり火|詩

夕暮れが
薔薇色の空を畳んでひろげると
蒼い星降る夜が来る

ふちどり淡く燃え立つ
花のみぎわをたどり
きみの腕に迷いはぐれ


星がひとつ透きとおるのを
待ちながら
城壁にたたずむ

うちへ帰る道の先に
もっと
心を魅く場所がある

それをたどろうとしているのは
私なのか
透きとおる星なのか


きみの指先が
月の下で
レースを編んでいる

ごく細い
銀の鎖に添う光を
器用に引き出す
きみのまなざしの不思議さよ


ふと遠く

星のかがり火が
一面の花園から
一輪を探し当て

花のうてな
明るく灯す

もう星は
なかば透きとおって


夜がしら
雲の切れ端を
暁がひそかに燃え立たせるとき

その星は
消えてしまうけれど

きみの編む光の道をたどって
そこに帰ろう

いずことも知れぬ
星の汀に


タイトル画像は
Enrique@pixabay様です。
一部加工させていただきました。

#詩 #物語詩
#星空 #花 #幻想

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