エッセイ:好きなおかずの話-その壱
地元の郷土料理のひとつに「里芋のころ煮」(地域によっては煮っころがしとも言う)というものがある。秋から冬が旬の里芋を使った煮物料理。
皮をこそげ落とした里芋を醤油や砂糖、みりんなどで煮てつくる。下ゆでをしないことでとろみのある仕上がりとなるらしい。以前、皮を剥いた状態のものをスーパーで買い、自分でも作ってみたが里芋が「ゴソゴソ」した感じになって、イマイチだった。昔は祖母が作ったものをおすそ分けしてもらって食べていたが、高齢のためになかなか難しい。もう一度、チャレンジしたい。煮ている最中は里芋になるべく触れないようにするのもポイントだ。
もともとは精進料理だった
今でこそ、スーパーなどでも手に入るが、もともとは秋から新年にかけて行われ、地元では「ほんこさん」などと呼ばれる浄土真宗各派の年中最大行事「報恩講(ほおんこう)」の法要で振る舞わられていた精進料理だった。
主な産地である奥越地方は県内でも北東部に位置する標高の高い山々に囲まれた屈指の豪雪地帯として知られる。その山々からもたらされる水資源と、肥えた土壌、昼夜の寒暖差など、里芋にとって好条件が多く、きめ細かくもちっとした食感で味の良い里芋がとれる。特に「上庄さといも」が有名だ。
里芋に含まれる栄養
里芋には複数のぬめり成分「ガラクタン」が含まれている。オクラや山芋、モロヘイヤなどと同じく、このぬめり成分には、粘膜を保護し胃を守る、肝臓や腎臓の機能を高めるといった作用がある。
他にもコレステロールを下げる働きや、血圧を下げる効果も期待できるとのこと。このように、高血圧予防や、動脈硬化予防など生活習慣病の予防に効果が期待できる食材なので、ぜひ食べてみて欲しい。
私は大きなものより、小ぶりな里芋で作ったものの方が好きだ。その方が甘じょっぱい煮汁とよく絡むような気がする。ここまで、いろいろと里芋について書いてきたが、結局は煮汁が好きなのかもしれない。たぶんそうだ。
久しぶりに食べたくなってきた。新米と食べる最初のおかずになりそう。
次回へ続く…🥢🍚
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