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北欧体験記① HYUGGE
この数ヶ月、日本の外に出て、北欧という場所から日本を眺めました。
留学をどうしてもしたかったのは、自分の生まれた国をを外から見て、自分の当たり前としている感覚を捉え直したかったから。そして、日本の外に出ることで得られた違和感を、今後の原動力にしたいと思ったからです。
「果たして、ここに来て何を得られたんだろう」
留学が一区切りつくこのタイミングで、自分の気づきをまとめてみました。
余白
デンマークに来て最初の週末、店のある通りを歩いているときのこと。
買い物をしに来たはずが、ほとんどの店が閉まっていました。休日は店を開けないし、平日も夕方には店を閉めることがほとんど。
24時間営業のコンビニや、土日祝日も営業している店に慣れていたので、衝撃でした。
「働きすぎない」
これがデンマーク人の感覚です。
まぁ、たしかに。
引いてみて考えると、日本人って働きすぎだったんだな、デンマーク人くらい、休む時は休んでもいいのかもな、なんて思ったりもします。
深夜も営業してる店、そりゃあれば便利だけど、なくたって社会は回ります。「日曜は店が休みだから、今日のうちに買い溜めをしとこう」みたいな、そんな小さなレベルの習慣さえあれば、長い時間店を開けてなくてもいいんじゃないでしょうか
デンマークの人は仕事に時間を使いすぎない。
余白の時間をしっかりと作って、そこに自分の好きなことに充てていました。
デンマーク人の秘密
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これはもう普遍的というか、国も人種も関係ないと思うんですが、幸福度に重要な要素は、人間関係が充実していることだと思います。
家族、恋人、友人、職場の仲間、先輩後輩..
自分を取り巻く人間関係が充実してればしてるほど幸福度が上がる。実際にアメリカの大学の研究でも断言していたのを思い出しました。
デンマーク人は、それを文化レベルで理解しています。誰かと過ごす時間をいいものにしようとする考え方があり、それが単語としてひとびとの感覚に刻まれているからです。
かつて、一単語もデンマーク語を知らないまま、デンマークに乗り込んだ自分が、唯一覚えた単語、それは、HYUGGE / ヒュッゲ です。
ヒュッゲ(Hygge)とは、デンマーク語で「居心地がいい空間」や「楽しい時間」のことをさす言葉です。「ヒュッゲ」とは物質で満たされるのではなく、人とのふれあいやリラックスした時間で満たされることを大切にした考え方です。
デンマークでは、居心地の良い場所・時間のことを「ヒュッゲ」といいます。
日本語には単語に相当しない考え方ですが、デンマークでは、しっかりと言葉としてひとびとの共通概念になっているのが面白い。それくらい当たり前なものとして、デンマークの人に浸透していました。
そして、このヒュッゲという考え方が、「幸福度の高い国」と呼ばれるデンマークの根底にあります。
ヒュッゲはどこから来たの?
なんで、ヒュッゲがここまで人の感覚に染み付いてるんだろう。
背景のひとつには、北欧の自然環境があります。北欧は冬の日照時間が短いです。明るい時間が減れば、外で活動できる時間は減るので、彼らは冬の大半を家の中で過ごすことになります。
だからこそ、家の中での時間を充実させようとしました。
暖炉に薪を焚べて、暖かいココアを淹れて、お香を焚いたりして、ゆったりとした時間を過ごす。そして、そんなひとときを意識的に作る。だからこそ、家族や友人との結びつきが自然と強くなっていきます。
暗い、寒い、厳しい環境を、このように乗り越えてきたんだと想像すると、ヒュッゲは人々にとって必要な感覚になるのは、当然に思えたりもします。
ヒュッゲ体験談
実際に、ヒュッゲを味わわせていただきました。
デンマークのホストファミリーの宅に訪問させてもらったときのこと。学校がやっているイベントの一環で、現地のお家に訪問して交流をするというものでした。
最初は緊張したものの、ホストのご家族が暖かく迎え入れてくれたので、すぐに馴染むことができました。ローソクを焚いた、やわらかくあたたかい部屋の中で談笑しながら、みんなで卓を囲みました。「好きなだけ食べな」と、はじめて来た日本人にも遠慮をさせない心配りにも感銘を受けました。あれは本当に贅沢な空間だった、、
大切なひとときにしよう、と思いを込めてつくられた空間は、他では感じることのできない安心感と、血の通った人間の暖かみがあります。丹精込めて作られた手料理から、部屋の雰囲気づくりに至るまで、ホストファミリー夫妻の真心をひしひしと感じられました。自分たちのために素晴らしい空間を創ってくれたことへの感謝が、頂いたごはんとお酒をより美味しくさせました。
あの夕飯は生涯忘れられないでしょう。最高のヒュッゲ体験でした。
話を戻すと、デンマークには、このような「ヒュッゲ」文化があります。
大切な人と過ごす時間を充実させて、自分たちの心を満たす という習慣です。
もっとがんばれる
ひととの繋がりに重きを置くのは、最近忘れていた感覚でした。
友達と会ってるときも、LINEで違う連絡をつい取ってしまったり、バイトのシフトのこと、課題のことをつい考えてしまう。目の前の誰かとの時間が大事だと分かっていながら、過去や未来のことで頭をいっぱいにしていたりする。お互いに時間を合わせて作り出した時間なはずが、それを当たり前なものと感じてしまうあまり、その時間をいいものにしようとする努力をサボってました。
こういうところにこだわれる人になりたい。
大事な誰かと過ごす時間をいいものにしようと努力ができて、なおかつ、それを自分が面白がることができれば、自分も、目の前のひとも幸せになれます。この積み重ねが自分と周りを幸福にしていくんだということを教えてもらいました。
忙しくても、目の前の人との時間を大切にする。
ヒュッゲの精神は、日本に持ち帰っても大事にしたい、大事な感覚となりました。
②につづく
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