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【MBTI】S型とN型の違い ①行動特性

 MBTIは 外向(E)or内向(I)、感覚(S)or直観(N)、思考(T)or感情(F)、判断(J)or知覚(P)の4軸2択の選択肢により、人の性格特性を16タイプに分類する類型論である。

その中でも傾向差が特に顕著に出る要素はやはり感覚(S)or直観(N)だろう。今回はMBTIの感覚(S)と直観(N)の違いについて、何回かに分けて見ていきたいと思う。


SとNの違い① 日常生活のスタンス

暮らしに根付いているS型

 S型は暮らし(日常生活)に対する意識のウェイト(優先順位)が高い。そのため衣食住ルックスに対する関心が強い。空腹や臭いに敏感で、異性の顔立ちに厳しく、身だしなみは自身・他人ともに気になるため気を遣う。食事や掃除といった家事一般は手を抜かず、それ自体が好きなので習慣化して常に心がけている。

またST型の場合は仕事やスポーツ、SF型は家族・友人・恋人関係の関心度が高い。彼らの世界はほぼそれらに完結しているといってもいいレベルだ。常に現実に注意を保っているので、電話やメール、Lineをすれば大抵すぐ帰ってくる。

 そのためS型の意識は常に実生活が中心となる。それゆえ日常から離れた趣味とか人間関係にはあまり興味を持たない。権威や規則を好むSTJ型は資格試験などに興味がありそうだが、自分の業務に関係なければ意外にも取らない傾向にある。役に立たなければ無駄だからだ。

S型は良くも悪くも現実的で、生き方(自身の在り方)については通常はあまり考えない。SP型であれば今現在の瞬間をありのままに受け入れ、SJ型であれば求められた役割や型にはまる。日常生活を通して経験的に自分の在り方が決まってくるタイプともいえ、行動を通して生き甲斐を獲得するタイプともいえる。

暮らしから遊離するN型

 一方のN型は、日常生活に対する意識のウェイト(優先順位)が低い。
何か強い目的意識があったり(NJ型)、あるいは好奇心があったりすると(NP型)度々それを追いかけて行ってしまう。心ここに在らずな状態がよく発生するので日常生活がおろそかになりやすい。

たとえばカフェで何かPC作業をしていて遅くまで帰ってこないとか、逆に家にこもりっきりになるとかだ。断食、昼夜逆転、風呂キャンとかも平気でやる。何かに集中しているときは見た目も手抜きになりがちで、髪型やヒゲ(男性)化粧(女性)などは手を抜きがちだ。

仕事や身近な人間関係からしばしば遊離するのもN型の特徴で、日常生活とは切り離された自身の脳内やマインドの中に固有の精神世界を構築していることがある。そしてそれを活かすための別の領域(本業とは異なるフィールド)を持っていることが多い。それらは学問、独自研究、趣味、副業といった形で表現される。このnoteもN型の巣窟だ。

 このようにN型は仕事含む日常生活に対しては基本不真面目だが、資格試験は例外的にマジメにこなす傾向がある。──否、マジメにこなしていない。単に好きでやっているフシがある。ほぼノーストレスなのだ。これはSP型にとっての筋トレみたいな感覚だろうか。

N型にとって資格試験は好奇心を満たせる、ヒマを潰せる、アイデアや話の種になる、評価対象になる、転職のリスクヘッジになる、表の顔として使える…等々何かと都合がいい。この点は数少ないS型よりもリードしやすいポイントだ。

N型は良くも悪くも夢想的で、生き方(自身の在り方)を常に考えまくる。NJ型であればひたむきに理想を追いかけるし、NP型であれば常に好奇心やアイデアが渦巻いている。そのため今現在の在り方を安易に受け入れたり、求められた役割にはまることを良しとせず、常に思考や想像をしながら自分らしい在り方(生き方)を追求しようとする。

SとNの違い② 経験を用いるS型・理論を使うN形

 S型は自身の経験を信頼する。あるいはデータや権威を信奉する。理由はそれが可能性や憶測ではない確定した「事実」だからだ。

前者は主観的事実、後者は客観的事実として、S型にとって信じるに値する情報ソースとなる。S型にとって事実とは「百聞は一見に如かず」であり、自身がある事実を知って・あるいは身体で体験してはじめて根拠足り得る判断材料として認められる。

 この点N型は経験よりも理論を使う。あるいは可能性も判断材料に入れる。いずれも数ある情報ソースのひとつだ。彼らにとって根拠は必ずしも事実には基づいていない。パターンや法則性、妥当性などの一定の根拠性があればそれは仮説として根拠たる情報になりえる。

N型にとって事実とは「ウワサで買って事実で売る」のソレであり、既に織り込み済なら彼らにとって単なる確認事項にすぎず、然程重要な要素にはならない。

 ドイツ帝国の宰相ビスマルクが「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」と言ったが、少々語弊がある。

S型は自身の身体記憶である「経験」を信頼するため根拠性や信頼性を重んじる。そのため実務・実働に強い。N型は想像や仮説を多分に含む「歴史」から学ぶため先見性や可能性を重んじる。そのため企画・導入に強い。

どちらが賢いかではなく単に認知プロセスとスタンスの違いなのだ。

SとNの違い③ とりあえず行動するS型、シミュレーションを行うN型

 そんなわけでS型は実作業に強いので、実働要員としてのポジションを与えるとうまくこなせることが多い。S型(特にST型・SP型)はどうなるのかわからない場合とりあえずアクション(行動)を起こしてみて、どんな反応が起こるのか様子を見るというアプローチを取る。

それでこちらの想定通りにうまくいけばそれで良し、もし想定通りにうまくいかなかったらその時の状況に合わせる、というのがS型のやり方だ。そのため「もしダメだった時は~」という予見可能性はあまり考えない。

N型は実働要員としては微妙な一方で企画や導入に強いので、シミュレーションを行って予見可能性を確保してから行動することが多い。うまくいくかどうかわからない場合、「うまくいく」可能性があれば、その逆に「うまくいかない」可能性も考慮して、そうなった場合どうするのかという選択肢(プランB)もあらかじめ用意するのがN型のやり方といえる。

 これだけを見るとN型の方が利口に見えるが、それゆえN型は意味(パターン・法則性・根拠性など)が見つからないと行動に移せない弱みがある。この弱みは結構致命的で、部活や会社員など「上からの指示・命令」に対する適性の有無や、マルチタスクやアドリブといった即時判断に対する適性の有無に大きく影響する。

この点S型には意味を見出すのは下手だが、見い出せなくともとりあえず行動には移せるという強みがある。そしてそれはそっくりそのまま=社会適応力となる。S型の順応性が高いのはこのためで、だから「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」にはならないのだ。

SとNの違い④ 「不可逆のリスク」に対する向き合い方

 S型とN型の大きな違いは「不可逆のリスク」(もとに戻せないもの・取り返しのつかない要素)に対する姿勢や向き合い方である。S型は「えいや!」の勢いで乗り越えようとする。N型は一線を超える場合は慎重な姿勢を示す。違いは「意味」に対する感度だ。

SP型のフットワークが軽いのは異論がないとして問題はSJ型だ。SJ型は一見慎重な姿勢で腰が重いが、一度組織の決定(同意・許可)があればすんなり実行に移す。組織の大義があれば個人としては免責されるからだ。

交戦許可が与えられたり(STJ)護身完成さえすれば(SFJ)、SJ型は意外とイケイケである。これが極まると「進め一億火の玉」だのノリで戦列を成し、末端から順に特攻や死守、万歳突撃を命じられることとなる。

N型のアプローチは「そもそもがこうならないように」予防策・回避策を講じたがる。NP型は重要な決断をする場合、環境や物事に変化を与える場合には「いい未来」と表裏になる「悪い未来」を用意してそのリスクを比較考量して検討する。

NJ型はさらに慎重で、軽微な変更は気に留めないが重大な変更はしつこく確認する。あまりにも順調すぎる仕事、うますぎる話は裏や見落としがないか勘繰る。「取り返しがつかないリスク」「元に戻せないリスク」をNJ型はかなり嫌うからだ。

S型は「形式」(大儀名分)を重視

 なぜ改革型のNJ型が慎重で、保守型のSJ型がイケイケなのかというと、見ているポイントが違うからだ。SJ型が見ているのはあくまで「形式」だ。手続きやフローが適正なら「意味」(結果)そのものはあまり問わない。

「悪法も法」というか、間違ったやり方であっても正しくやることが重要で、正しい段階やプロセスを踏んだ上での失敗ならそれはしょうがない。といった形で免責または情状酌量されるはずだ。…まともな組織と上司なら。

むしろ間違ったやり方そのものを正そうとすると立場が危うくなる。段階やプロセスを無視して訴えるなど以ての外だ。結果そのものよりも、あくまで決定事項や大義に則りルールを守ることが重要なのだ。

N型は「意味」(結果)を重視

 対してNJ型が見ているのは「意味」だ。手続やフローといった「形式」が適正でも、失敗が明らかなものであればそれは抵抗するし、そしてそれが元に戻せないものなら全力で反対するだろう。組織や上司の意向に逆らったり、手続きやフローに違反することも辞さないかもしれない。

そもそも上や組織の意向に従い、正しい段階やプロセスを踏んで適法に失敗したとしても、上が悪人なら責任を被った上で切り捨てられることも十分にあり得る。N型は当然これを警戒する。だから身の保身も兼ねて予防策や回避策を提案するのだ。

逆に可逆(元に戻せるもの)なら、NJ型は本来の改革志向全開で改善案をドンドン出し、場合によっては独断専行で突っ走ることも多い。このためNJ型の主張は組織や集団の意向としばしば食い違うことが多く、ピーキーで扱いにくい人材である面は否めない。

世渡り上手なのはどっち?

 S型は実行力が高いが失敗も多い。しかし組織や上層部は適法な段階やプロセスを踏んだ上での失敗には意外と寛容で、行動力やチャレンジ精神に免じて許される場合も多い。

なぜなら組織や上層部も多数派を占めるのはS型だからだ。労働者はそれが適法・指示通りに行われれば結果に対する責任を意外と負わない。組織の決定という大義名分を得た状態での失敗なら、それは敢闘であり、予定調和だからである。

それにS型は心のどこかで「本気を出せば何とかなる」「やればできる」と信じているところがある。それは自分の身体機能や記憶といった能力に自信があり、実際にそれで成功してきたという「経験」に裏打ちされた根拠によるものなのだと思う。だから行動を重視する。


 N型の方が不可逆性に対するチェックは働くが、組織や上層部からはあまり評価されない。むしろあれこれ考えて「行動」しないことを批判されやすい。シミュレーションは不可視なので、傍目には積極性の低い人、あまり仕事をしない人だと思われやすい。

N型が慎重なのは「知らない世界がある」「勝てない奴がいる」「力が及ばない領域がある」と想像を巡らすからで、ゆえに例外という「可能性」を常に意識しているからだ。例外が存在する前提でどううまくやるかが関心ごととなりやすく、だから思考を重視する。

経営やトレードなどではこれこそが超大事な発想となるのだが、ヒラの営業職や技能職、現業職はあくまでも手足として動く側なので、長所として発揮しにくく、むしろ欠点として目立ちやすい。元の能力適性もあるが、自身の置かれた立場や与えられた役割に忠実なのはやはりS型といえる。

まとめ

 今回は行動面においてS型とN型に違いについて述べてみた。筆者はINFJゆえに思いっきりN側に偏った人間なのだが、それゆえ世の中的には多数派を占めるS型とのギャップが大きくなかなか苦労をしてきた。

まず自分以外の家族は全員がSP型で、親戚もSJ型とSP型が大多数、一家族だけNP型の一家がいるものの、NJ型は自分1人だけだった。学校や職場もほぼこの通りだった。自身と同じ思考のクセを持つ人、自分の考え方と噛み合う人がどこを探してもまったくいないのだ。

しかし「周りのみんなが普通にできることなのに、自分だけができない」という違和感や劣等感に悩み、そんな普通の子や世間とのギャップの正体が一体何なのかが、なかなか掴めずにいた。また同じような境遇の人が周りにいないことで相談や共感もできなかった。このnoteを見るに、きっと同じようにつらい思いをしてきたN型の人は多かったのではないかと思う。

 他人に触れても自身の疑問に晴らす答えを見つけられず、仕方ないので図書館に通って発達心理学や自己啓発などの分野を独自研究しているうちに出会ったのがMBTIで、中でも「これだ!」とピンと来たのがこの感覚(S)と直観(N)という概念になる。今から15年前くらいの話かな。

先達のWebサイトやイブリース大先生はじめ素晴らしい解説をされている人を何人も見かけたが、やはり自分の言葉で書いてみたいという思いがあり、こうして記事にしたためた次第となる。

2回目の記事としては若干ディープな内容になってしまってすみません。一度では書ききれなくなってしまったのでまずはこの辺で。

リンク

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