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YAMAHA YBB-621 特殊改造完成その2

この文章はこの改造を終えて受け取った直後、実践で使う直前に書いています。

ついに長年の悩みが解決して妄想が現実になった。いま、笑顔が止まらず気持ち悪いだろうな。

現在のような音楽を演奏し始めた30年くらい前から、tubaを吹くにあたってどうしてもうまくいかないことがあった。もしかしたら自分は根本的に間違えているのか、この楽器をやる資格がないのかというくらいに悩んでいた。

楽器とチューニングが合わない。通常のセッティングにすると高すぎて周りと合わないので、チューニング管をギリギリに近いところまで抜かないといけなくなったのは、現在の演奏法になり始めた26,7年前。
どう考えても自分の求める音色でやると音程が高すぎる。そういうものなのか、間違いなのかわからないまま管を抜き結構無理をして合わせてきた。

ある時、ヤマハのリペア専門家の方がライブを観に来られて、なんとなくその旨を話した。
そこで初めてその理由がわかった。

私はとても巨大なマウスピースを使う。口径も奥行きも太さもこれ以上はあまりない位のものばかりで、他のマウスピースを試すと小さすぎて吹きづらいくらいになる。
加えて、息のスピードが速い、かなり速いというか異常に速い。クラシカルなtubaの奏法では禁則と言っていいくらい速い。ハイノート・トランペッターやニューオリンズのバズーカ砲の様なサウンドのトロンボーンをイメージするくらい、速くありたい。

tubaという楽器はそういう目的の楽器ではない。こんな大きなマウスピースで爆速の息を大量に吹き込むと音程は必然的に上がるものらしい。知らなかった。ただ単に自分がバカなだけかもしれない。

チューニングを決定する主管を延長することは出来ないだろうか?という妄想が湧いた。そんな改造は知らないが相談してみると不可能ではないらしい。その形が予想外のものだった。

特注主管

素晴らしく複雑に短く廻って長くなる。これは想像していなかった。色々と相談してほぼ半年の年月をかけて、やっと完成した。

吹いてみると、抵抗感が増し(回っている所と支柱が増えたことによる影響)音が締まった。確実に量感が好みになっている。

装着した図

肝心のチューニングはほんの少し抜くくらいでバッチリになっている。もう抜きすぎて落ちることもない。(普段は紐をつけて落下防止していた)

ついでに我儘を言って、三番管に水抜きバルブをつけてもらった。自分はライブ中たいていずっと吹きっぱなしで、中に溜まった水分を抜く時間がなかったりする。通常なら休みの時間に管を抜いて出すのだが、30分1時間吹き続けている演奏だとそんな暇がない。というわけでつけてもらった。

この角度が絶妙である

悩みの解消と演奏時のストレス改善、そしておまけに音質が以前より自分好みになった。まさかこんなふうになれるとは、思ってもいなかった。

この楽器は愛憎半ばに使い続けている。自分に必要な「コンパクトで汎用性のあるB♭tuba」は色々探し求めてもこれしかなかった、というあまり積極的ではない理由だ。理想の楽器はない、ということに薄々気が付き始めたのは最近の事だ。長年使用してかなりガタもきているし、なんとも言えない気持ちで最近もいたのだが、ついに完成したこの改造で、ある意味で生まれ変わったような気持ちで演奏に臨めそうだ。

予想外の変化は、重くなったこと。
ソフトケースに入れて担いだ途端に「重い…」と思った。何グラム増えたのか知らないけど、たった70mm延長しただけでこの重さ。長年身体の一部のように使い続けてきた楽器なので、ほんの少しの変化でも感じられる。

実際の吹奏感などは前編を参照してください。

これから様々な場所で使うのが楽しみです。

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