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ピンク色と年齢

先日の、結婚式で着るドレスの衣装合わせにて。 

その日は母親が一緒だった。母の衣装レンタルのついでに、ドレス選びも手伝ってもらおうと思って、一緒に来てもらっていた。

母は、昔からわたしの着るものにわりと口出ししてくるタイプだった。それでも一緒に来てもらったのは、母が衣装合わせに同行したがっていたのと、いち早くドレス姿を見せたいという、ちょっとした親孝行のような気持ちからだった。

そして、ドレス選びが始まった。その日は白のウェディングドレスと、お色直し用のカラードレスを試着することになっていた。


担当の方が、「こんなのも可愛いですよね〜」とピンクのドレスを指し示す。
すると母が、
「いやーちょっと、歳も歳だしピンクはちょっとねー」
と言ったのでびっくりしてしまった。

母親は、今までわたしに散々ピンク色を勧めてきた人だった。お呼ばれするときのワンピースをはじめとして、服を買うときも、モノを買うときも、何かとピンク色を勧めてくるのが常だった。


その母親が、わたしが30代になった途端「ピンクは可愛すぎる」と言う。その年齢で区切る掌返しに、ちょっとびっくりしてしまったのだ。
え、あんなにピンク勧めてたのに⁉︎って。



単に自分の趣味嗜好で(年齢は関係なく)「ピンクはちょっとなー」って思うのと、他人が勝手に年齢で区切って否定してくるのは全然違うと思う。

ちなみにわたし自身はもとからそこまでピンク推しではないし、可愛い系でもない。だから母親にピンクを否定されて悲しかったとか、そういうわけではないのだけれど。


勝手に年齢で区切られたこととか、わたしのこと行き遅れだと思ってるんだろうなって感じられたこととか、30歳越えたからって何かをそうやって制限されることとか、いろんなことが頭に浮かんでとてもモヤモヤした。

ドレス選びの前は、母のことだから絶対ピンク推してくるんだろうな、ピンクあんまり似合わないからちょっと嫌なんだよな、なんて考えてたのに、それと真逆の展開になって、少し驚いている。
別に、ピンクのドレスが着たいわけではないのに、なんでこんなに心がざわざわしてるのだろう。


多分わたしは、年齢で勝手に区切らないでほしかったのだと思う。年齢とか関係なく、ニュートラルな視点で、ドレス姿を見てほしかったのだと思う。

わたしは長女気質で、いまだについ親の期待に応えようとしてしまう。だからピンクのドレスを試着して母を喜ばせようと、無意識に思っていた。
そこで母が思いがけずピンクを否定したので、少し混乱した、というのが正直なところだ。


きっと、これは母親自身にかかってる呪いなのだろう。

「ある程度の年齢になったら、可愛い格好をしてはいけない」

そんな呪いが、母の中にあるのかもしれない。

もし今度、また今回のようなことがあったら、「年齢は関係ないよ」って言いたい。

不要な呪いを解くためにも。


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