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未だ遠い、カトルカール

わたしは今、セブンイレブンで買ってきたロールケーキを食べている。

ここに至るまでに、紆余曲折あった。いや別にそこまで大したことではないかもしれないのだけれど、せっかくだから書き残しておこうと思う。

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カトルカールを作ろうと思ったのが、そもそものきっかけ。カトルカールというのは小麦粉・砂糖・バター・たまごを同量ずつ使ってできるパウンドケーキのようなもの、らしい。

本だったかWEB上の記事だったか忘れてしまったけれど、何かでたまたまその名を知ったカトルカール。どんなもんか気になるし簡単そうなので、作ってみることにした。

久しぶりのお菓子作りにわくわくしながら、仕事帰りのスーパーで買い物。必要な材料を買い揃えて自宅に戻り、よし作るぞ!と思った矢先。

無塩バターが、足りない。

あれ?


実は無塩バターだけは、うちにある残りで足りるだろうと踏んで買っていなかったのだ。
結果、見事に足りなかった。全然足りなかった。想像してた量の1/3くらいしか、残ってなかった。


一瞬、今日は諦めよう、そう思った。
けどやっぱりわたしはカトルカールが食べたい。
今日一日の仕事は、それを楽しみにして乗り切ったと言っても過言ではない。

ということで、一度脱いだ外出着に再度袖を通し、わざわざ車で10分弱のコンビニまで出かけていった。くそう、やっぱりバターも一応買ってきておけばよかった。

コンビニまでの道は帰宅時間帯ということもあり渋滞していて、のろのろ進む車の中で前の車の赤いブレーキランプを眺めながら「なんでカトルカールごときのためにこんな渋滞にはまってるんだろう……」とぼんやり思ったりした。

そうしてようやく辿り着いたコンビニ。
冷蔵コーナーの前でバターを探す。

あ、あった!

けど、

有塩バターしかない……。

撃沈。


しかたなく、今日は諦めた。
カトルカールへの道はまだ遠い。

かわりに、せっかくコンビニに来たし、甘いもの食べたいし、スイーツを買って帰ることにした。

四切れ入りのロールケーキを持ってレジに行くと、店員の優しげなおじさんが、スプーンを2つ、つけてくれていた。

ごめんおじさん、それわたしこれからひとりで食べるんだ……。
なんだか、ちょっとだけ申し訳ない気分になった。


かくしてわたしは今、ロールケーキをひとりで黙々と食べている。うん、おいしい。


明日こそ作れるといいな、カトルカール。

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