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映画『Dr.Bala』は、今年のベスト映画かもしれない

去る4/29、ポレポレ東中野で上映を開始したドキュメンタリー映画『Dr.Bala (ドクター・バラー)』を観てきました。

この映画を観た人たちが皆「すごくいい映画だ」と絶賛しているのを見聞きして。
「そんなにすごいなら、試しに観てみようかな」くらいの感じで、茨城から電車で2時間半かけていそいそとポレポレ東中野へ。

結果。とんでもなく圧倒された。
帰りには即座にパンフレットを買い求め、監督たちのサイン会にも参加した。

すごくざっくり言ってしまうと、この映画は東南アジアで医療活動を行うひとりの医師を、12年にわたって追ったドキュメンタリー、ということになる。

けど、単なるドキュメンタリーで終わらない訴求力のようなものが、この映画には溢れていると感じた。

スクリーンに映し出されていた東南アジアの医療現場。それを見て、わたしは本当に何も知らなかったと思い知らされた。正直に言ってしまうと、今の時代でも、これほどまでに貧しく発展していない場所がまだあるのか、と感じたのだ。

今まで、発展途上国のことは何となく知っているつもりでいた。ワクチンの寄付などに募金をしたこともある。けれど、スクリーン越しとはいえ実態をまざまざと見せつけられたのはこれが初めてで、「何となく」知っているだけで全然詳しく知ろうとはしていなかった、と気づかされた。

この映画の中心となる大村先生は、そんな東南アジアの国々を渡り歩き、医療技術を教え伝えていく。自分の7日間の夏休みを使って東南アジアに赴き、現地の医師たちと交流する。
大村先生にとってはその夏休みの活動こそが一年のご褒美だという。先生にとってこの活動がライフワークになっているのだ。

大村先生は、自分の信じた道をブレずにまっすぐ進む人だと感じた。エネルギッシュでパワフルで、裏表がない。現地の人と仲良くなるために、その土地の言葉を覚え、一緒に歌を歌う。
技術があっても偉ぶることなく、現地の人と同じ目線に立とうとする姿勢がとてもいいな、と感じた。

わたしの好きな坂本真綾さんの『ちびっこフォーク』という歌を聴いていてふと思ったのだけれど、

この歌の最後のほうにあるのと同じように、大村先生は「銃を捨てて」戦っているのだ、と。
銃ではなく、自分の得た技術を使って、東南アジアの医療現場を良くしようと戦っているのだな、と感じた。

映画の上映中、ずっと圧倒されていた。こんなにも熱量高く、まっすぐに進み続けられる人がいるんだ、と。
自分がとてもちっぽけな存在に思えた。

けれど。
ちっぽけでも、やれることはある。
たとえば、文章を書くこととか。知らなかった世界をちゃんと知ろうとすることとか。

わたしはわたしのやれることを、全力で取り組みたいと思う。
今まで、知らず知らずのうちにちょっと手を抜いていたかもしれない。もっと、自分にできることに精一杯取り組みたい。
映画を観たあと、切実にそう思った。

『Dr.Bala』はポレポレ東中野にて、6/2(金)まで上映中(5/6時点)。
山口県でも上映予定があります。


海外では数々の賞を受賞しつつも、日本では配給がなかなか決まらないという苦しい状況もあったこの映画。

ほんとうに、すごく力をもらえる作品だった。
「自分にも何かできるはず」という、前向きな野心が甦る感覚、久しぶりに味わった。

早くも、今年観た映画ナンバーワンかもしれない。
お近くのかた、お時間のあるかたはぜひ劇場へ!

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