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焙煎における熱伝達の理解【vol.72】

みなさんこんにちは!
今回は熱の理解です。
さっそくやっていきましょう。


焙煎機は、対流、伝導、および放射によって豆に熱を伝達します。
各焙煎機は、これらのメカニズムによって熱を伝達します。

◼︎対流、伝導、および輻射

ドラムに直接熱を加えるドラムロースターは、主に対流、その次に伝導によって豆を焙煎します。

焙煎機のドラムの高温表面や隣接する豆間の輻射熱も、熱伝達にわずかに寄与します。有名なドイツのメーカーのプロバットの熱伝達は、対流で 70%、伝導で30%です。

半熱風式ドラムは、ドラムを熱源から分離し、焙煎中のドラムを低温に保ちます。対流に関しては他の焙煎機の熱伝達より高い基本性能があります。

流動層焙煎機にはドラムがなく、高速の高温ガスの流れの中で豆を浮かせて焙煎します。

ローリングなどの再循環ロースターは、焙煎プロセスからの排気の一部を使い再利用します。

今紹介したこれらの焙煎機の設計はほぼ完全に対流によって熱を伝達します。

焙煎開始時に、豆を充填すると大量の室温の豆と空気が熱い焙煎機に導入され、焙煎機内の環境温度が急激に低下します。

ドラム内の空気温度が最初の急激な低下から回復すると、対流が熱伝達を支配するようになります。

ドラム式でのバッチ開始時の数分間は、高温のドラムからの熱伝導が豆への熱伝達に重要な役割を果たします。

ドラムが「蓄熱」として機能している事は非常に大切です。

また対流指向のマシンでは、焙煎の初期に適切な熱伝達を提供する為に蓄熱ドラムの不足を補うやり方として、より高いチャージ温度(投入温度)を設定する必要があります。

熱伝達と温度勾配

青色線:外側の豆 /     茶色線:内側の豆

※ΔT はデルタ

焙煎の最初の 3 分の 2 程度は吸熱プロセス
です。(吸熱反応)

つまり、豆が熱エネルギーを吸収し、熱が外側の豆から内側の豆に伝導されます。

豆内の温度の差、温度勾配または「AT」は、熱伝達率を大きく決定します。

焙煎の早い段階で高いATを確立し、焙煎の終わりまでにそれを最小限に抑えることは、良好な内部豆への熱伝達と均一なローストを作るには必要不可欠です

つまりライトローストを作る際、これらが崩れていると、酸味が強すぎる浅煎りが完成されます。

ATが大きいほど、内側の豆が急速に加熱されます。焙煎の初期の AT は推定50°C付近で達します。
焙煎が続くにつれて低下します。両方が熱くなるにつれて、表面温度とゆっくりと重なります。

一般的に、AT は、焙煎が速いほどピークが高くなり、焙煎が長いほど低くなります。

コーヒー豆内の熱と物質移動

コーヒー豆の最外層にある水分は、焙煎中に蒸発し、豆の中心に向かって移動します。

これは「蒸発面」の形成と呼びます。

比較的低温の内部豆のセルロース構造は残り、そのまま豆の芯に水分を閉じ込めます。

この閉じ込められた水を加熱すると水蒸気が生成され、豆内の圧力が上昇し焙煎されます。

※実験でよく使用されるような高速 (2 ~ 3 分) の焙煎では、著しく高い温度勾配が示される場合があります。

焙煎時間とピーク AT は負の相関があります。
一方の値が増加すると、他方の値が減少します。

この圧力は、さまざまな研究者によって
気圧 550 kPaから2533 kPaまでの範囲でピークに達すると推定されていて、ストレスがセルロース構造を破壊するのに十分な大きさになるまで増加し、その時に最初の1ハゼが発生します。

最初の1ハゼで圧力、蒸気、COが放出され
そこから豆の中心温度が急上昇します。

熱伝達と水分

焙煎機周辺の環境の湿度と豆内の水分の両方が、焙煎中の熱伝達に3つの影響を及ぼします。


1. 焙煎空気中の湿度が熱伝達の効率を高め、豆からの水分の損失を早めます。

2. 豆の水分含有量は、豆の焙煎時により複雑な影響を及ぼします。

3. 水分含有量が多いと、水分が豆の熱伝導率を高めるため、熱伝達が増加します。

これは、豆の比熱容量を増加させ、豆がその温度を一定量上昇させるために、より多くの熱エネルギーを必要とすることを意味します。

これにより、豆から蒸発した水分がより多く移動し、内側の豆への熱伝達が抑制されます。

乾燥した豆よりも湿った豆のほうが温度がゆっくりと上昇するということです。

冷たくて乾燥した空気の中で、生豆は保管中に多くの水分を失ってしまいます。
ロースターは焙煎所に加湿器を設置し、温度と湿度を一定に保ち、生豆の水分含有量を安定させる事が大事です。

お疲れ様でした。
最後まで読んで頂きありがとうございます😌
次回は【カッピング】について解説しようと思います。

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