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寝室という空間

 寝室はもともと和室で、床をフローリングに変えただけ。そのため桟木や砂壁がそのまま残り、収納もふすまになっています。
 まだ改善の余地はありますが、とりあえずはきちんと寝る場所を決められて満足でした。
 
 面積の大きいカーテンとベッドカバーをシンプルなものにしたので、和室の名残もあまり気にならなくなりました。夜は小さなテーブルランプで過ごしています。そのため雰囲気もとてもよくなりました。

 寝室はごくごくプライベートな空間です。一日が終わって、ゆっくり過ごす時間はとても大切なものになりました。早くゆっくりしたくて、家事を手早くこなしてしまうこともあります。そしてさっさとお風呂に入って一日を終わらせてしまうのです。
 
 家の外は夜になると真っ暗。そのため寝室の窓からは月や星がよく見えます。こちらに来て、何度満月を眺めたことでしょう。目が慣れてくると、月明かりで庭や山の木々まで照らされて明るく見えるのです。月食の時の銅色の月や、切れそうなうすい三日月、夏の大三角、流れ星。夜空を眺めるのも楽しみの一つになりました。
 月や星だけでなく、たまに宇宙ステーションも見かけます。この前はスターリンクも見えて、銀河鉄道みたいで驚きました。
 雨が降ると雨音、遠く水琴窟の美しい音が響いてくるだけです。カエルの声が聞こえることもあります。 
 自然の景色や音が、沁みるのです。寝室は、私にとってはこのうえなく癒される空間となりました。

 断捨離という言葉があります。お片付けの巨匠やましたひでこさんが提唱されたもので、ものと自分との関係をこれほど表した言葉はないのではと思えます。目に見えるものだけを表すのではなく、人間関係だったり、感情だったり、執着したり依存したりするもののことを言われているのかもしれません。
 手放せば、本当に楽になる。大切だと信じて握りしめているものが、手を使えない原因になっている。自分自身との関係が、他人との関係になる。この家を自分たちの空間にしようといろいろ試行錯誤していくうちに、片付けのこと以外でも、深く思いをめぐらすことが増えていきました。
 そして、夫以外知り合いもいないこの場所で、特に焦りもしなかったのはきっと、自分自身を断捨離したかったのかもしれません。よけいな考え、忖度、背伸び、そんなものから離れたかったのかも。
 もともと一人で過ごすのが苦にならない私は、この寝室がとても心地よく、心を癒し修復できることにとても感謝しています。
 

 


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