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ただ黙って助けてくれた人      ~コンサル時代の話~

昔、外資系のコンサル会社にいたことがあった。
秘書がつき、海外出張も隔月くらい。(私のパスポートは秘書ちゃんが預かっていた)
その職場はブラックではないけど、雰囲気はそこそこ殺伐としていた。
(なにせ個々の売上やゴールが設定されててクリアしないとクビなので)

そんな空間にある日、コンサル経験ナシの私が入社した(しかもアドミンではなくコンサル枠で。たまたま人手不足だったし、学歴としては合格だった)。
もう、そりゃ全力で全集中で頑張ってた。
経験の無さを気合いで泥臭く埋めていた。

でも、(やはり)冷たくあしらう人たちもいた。
(そういうトコなのよね~。お高くとまってる人もいる業界。)

だけど、そんなオフィスで数人、私を助けてくれる人たちもいた。
その人たちの中で、さらに私のちょっとしたミスや抜けているポイントを黙ってフォローしてくれていた人もいた。
そのことに私が気づくのはずっと後だった。
(クライアントさんに後からそれらしい話を聴いてピンときた)

後輩に恩着せることもなくイヤミも言わず、颯爽と軌道を修正。
カッコいいなぁ。と思った。

そのうち数年が経ち、私の職位(ランク)も上がり、なんとなく私が誰かのミスや抜けをフォローする立場になった。
どうしても伝えるべき大ミス(その人に致命的なこと)でなければサラっとクライアントに直接フォローアップしたり、ファイルの誤字や言い回しをササっと書き換えたり。
で、それはそれで手間だった。大したことじゃないんだけど、時間は食うわけ。

ある夜、それを自分がしていてやっと、
「あの人も、自分の時間を(無償で)私に使ってくれていたんだな‥」
と、ひしひしと感謝が募った。

(ちなみに追加説明すると外資コンサルって自分の時間をビジネスに「チャージ」するというシステム。たとえばAという会社やプロジェクトに自分の全時間のうちの何時間を使ったか、という風に記録・申告する。で、自分の1時間がいくら、という”価値”として設定されている。(当然御大みたいな経験長い人やクライアント沢山持ってる人は”時間価値”も高い)
で、私を助けてくれた人は私に使った時間を”チャージせず”、つまり完全なるサービスで動いてくれたってこと。いわばサビ残です)

ちょっとスピ的に言えば、陰徳を積めば積むほど自分(魂の成熟度)にとってはお得だけど、当時その人たちはそこまで考えていなかったと思う。
そこに、助ける対象がいたから、動いたんだろう。
シンプルに、ありがたかった。

だから、
私も誰かのために、できることはしよう、と今も常に思っている。

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