胃痛とウェディング
気づけば、結婚してから半年以上の月日が経つ。私たちはまだ結婚式を挙げていない。
というのも、結婚が決まった時まだ私には結婚式への憧れがなくて、
「え、もう私結婚するんだ??」というテンションだったため、いつかはやりたいという曖昧な言葉でここまで来てしまったのだ。
こんな結婚式がしたい、という憧れが自分の中に出来上がるのを待っていた、というただの言い訳だ。
それが先日、さすがに探し始めなければという焦りが突然生まれ、まずはフェアに参加してみることになった。
夫のほうにはこれといったこだわりはなく、
とにかく一緒に見に行こうというスタイルだったが、ひたすらケータイを握りしめてどの見学に行こうか迷う私を見かねて、
「悩んでる間に一日が終わってしまいそうだから、とにかくどこでもいいから一つ行ってみようか」と声を掛けてくれた。
まったくその通りで、おそらくその言葉をもらっていなければ、また一日が過ぎ去っていただろう・・・。
そしてついに初めての式場見学(1件目)。
完全に初めてだったので、神聖なチャペルの中でバージンロードの意味などを聞いた時は、柄にもなく涙が出そうになった。
それと同時に、やっぱり結婚式をしないと実感ってもてないよなぁ・・・とも思った。
ここ最近、夫と変わらずの関係だったものの、少しずつ大切さを忘れかけていたり、お互いの本音が見えていないような謎の不安に駆られることがあった。
それが式場見学をして、お互いの出会い等を改めて思い出したり、結婚したんだという自覚がお互いに芽生えて、また少し仲良くなれたような気がした。
そして本題の胃痛。
私は数年前から時折、謎の胃痛に苦しめられることがある。
大きな病院でも診てもらったが、内科的な異常は認められず、原因不明のままだ。
ここ最近はその症状が治まっていたのだが、式場見学をしている途中に違和感を覚え、なんとかその場はやり切ったものの、帰りの車内で痛みが増し、家に帰って薬を飲み、倒れるように寝室で横になった。
この状況に過去2回ほど居合わせたことがあった夫には、
「またあれだ・・・ああぁあぁ・・・」
と伝え、
そのあとに背中から腰にかけてマッサージをしてもらった。
私はこの状態になるたび、
痛みなく生きられることへの有難みと、
若いのに健康的ではない自分への不甲斐なさを強く感じてしまう。
症状が出やすいのは、疲労が溜まっていたり、寒かったり、服で体を締め付けている時などだから、この時も見学で疲労が溜まったのかもしれない。だけど、、、
ただ一件見に行っただけでなぜこうなってしまう・・・?
久しぶりに悲しく、虚しくなった。
「ごめん。」
夫への申し訳なさと感謝の気持ちが溢れた。
バージンロードは新婦の人生を意味するって聞いたけど、それなら落とし穴とかないか?
真っ直ぐじゃなく、グニャグニャ歩いたほうがいいんじゃない?そんな事を思った。
そして翌日。
この日は午前中から2件目の式場見学を予約していた。
メイクをして順調に準備を進めていたが、途中でまた胃に違和感を感じた。
昨夜の痛みが再発したのだ。
見学を本当に楽しみにしていたし、キャンセルをすれば式場側にも迷惑が掛かってしまう。
それに、夫もさすがに呆れるのではないかという気持ちもあった。
行きたい気持ちと痛みと、容赦なく進んでいく時計の針。床に横たわりながらひたすら
「どうしよおぉおうぅぅぅうぅぅう」
と言い続けるしかなかった。
急いで準備を続けてもギリギリなのに、
今から体調を整えていくなんて絶対に無理だ。そう思うと悲しさと痛みで涙がこぼれてきた。
そんな私を見て夫は、
「とにかく布団に行くんだ!」
と言ってくれた。
そして、もし行けそうだったら車で行こうと提案してくれた。
その言葉に安心したのか、焦るのをやめて一旦目を閉じて、体調が良くなるのを待つことができた。
20分くらいすると、完全ではないが回復してきた。
今から車で向かえば、ギリギリ間に合う。
水と胃腸薬を持って車に乗り込んで、なんとか会場まで到着することができた。
髪もほとんど整えられないまま家を出たが、無事に見学に来れたことが本当に嬉しかった。。
試食会などもあったため不安はあったが、なんとか最後まで終えることができた。。
いやぁ、それにしても。
どうして自分の人生はいつもこうなのだろう?
世の中の人が当たり前のように、そして楽しんでやっているはずの式場選びすら、胃腸薬を握りしめて命がけのような状態でしかできないなんて。
無事に家に帰ったあと、布団で寝たら?と夫には言われたが、症状は落ち着いていたので、2人でマリオカートをして遊んだ。
その夜、この出来事も書いて残しておこうと思った。
胃痛とウエディング。
どう考えてもミスマッチだ。
この先もしばらく続く式場探し。
果たして無事に(いろいろな意味で)終えることができるのだろうか。。
(続くカッコ仮)
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