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私たちの「文字起こし」はAIに決して負けません

ブラインドライターズの和久井です。

文字起こし(テープ起こし、反訳とも)は、ライターや編集にとっては、最も辛い作業です。音声を起こすためには録音時間の3倍から4倍は時間がかかり、とても根気がいります。
しかし最近はAIを使った自動の文字起こしサービスがいくつも出てきていますね。

こうした技術の発達で、私たちブラインドライターズの仕事も圧迫されていくかもしれません。でもまだまだ負けないな、と思うのです。

なぜなら「AIは計算機であり、ものを考えることができない」からです。例えば「テニスが好き」と「菅田くんが好き」の違いはAIにはわかりません。そのため、適切な漢字に変換したり、臨機応変に読み方を変えることが難しい。また「必要な内容」か「不用か」という判断もできません。日本語は非常に流動性の高い言語であるため、AIにとっては苦手な言語です。

こうしたことに、私たちが生き残る活路があると考えています。
私たちブラインドライターズは、「ただ起こす」ことはしません。ご依頼の目的に合わせて、起こしの原稿を調整しています。

また、弊社では独自に開発されたソフトを使用し、より正確に、速く作業ができるよう取り組んでいます。

ご要望に応じて視覚以外の障害を持つスタッフが校正を行っています。

では私たちスタッフがどのような意識で文字起こしをしているか、ご紹介しますね。ご依頼の参考になりましたら幸いです。

”元祖”ブラインドライター 松田昌美

私は音を集中して聞く能力を活かし、音源にのめり込むようにして現場の空気感、話者の心の揺れ動きを読み取ることを大切にしてきました。
「話者の感情など忠実に再現してほしい」というご依頼を受けた際は「音を集中して聴く力」と「ガッツ」が役に立ちます。クライアント様から「詳細に文字に起こしてもらえて大変助かった」という言葉をいただけたときは「自分の仕事が人の役に立っている!」と大きなやり甲斐を感じました。
この経験が私を確実に成長させ、この仕事を続けていく私の大きな自信になっています。
クライアント様に感謝を伝えたくて、自分が起こしたテキストの文末に、感想やお礼のコメントを書いてお返ししていました。「自分の仕事に同感してもらえて嬉しかった」「依頼して本当に良かった」など温かいコメントをいただけていることもモチベーションにつながっています。今ではこのコメントは、ブラインドライターズの売りのひとつになっています。
文字起こしの仕事に出会えたことは私の一生の誇りです。この先も、人の温かさに触れながら「人の気持ちをすくう繊細な文字起こし」を続けていきます。

丁寧な仕事で信頼度No.1 小林直美

私は、「話の意味を考えながら起こす」ことを心がけています。
そうすることで正しい漢字の変換ができたり、聞き取りにくい単語も推測できたりするので、起こしの精度が上がります。また読点の位置を考えることで、目で見て読んだときに理解しやすい文章になると考えています。
私が最もクライアント様から評価いただくことは、「誤字が少なく精度が高い」「とても丁寧である」ことです。
以前、1時間分の講演会の文字起こしを担当させていただいたときには誤字が1字しかなく、クライアントさまに大変驚かれました。同時に「とても臨場感溢れる文字起こしで、参加できなかった講演会の雰囲気がとてもよく伝わった」とおっしゃっていただいたことがあります。
とても専門的な内容のご依頼をいただいた際には、専門用語や固有名詞もしっかり調べて起こしているので、「あまり手を入れることなく資料作成ができた」と評価いただきました。
この仕事を始めてから5年の間、作業中に調べた単語をメモしたり、意味を調べて記録し続けていることが反映されていると感じています。
そして文末に付けるコメント。ここは、クライアント様と唯一、直接やりとりできる場として、私はとても大切にしています。
お礼の言葉、作業の感想、内容について感じたことなどをお伝えしているのですが、このコメントでも、多くのクライアント様からうれしいメッセージをいただいています。「人が起こすことの意味」の大きさを感じています。

クライアントの要求に叶う成果物を 小林芽以

私たちはパソコンに打ちこんだ文字を自動で読み上げさせて、音声のみを頼りに起こしをしています。意識していることは主に
2
つあります。

1
つ目
は、誤字脱字、特に同音異義語です。分からない単語や耳慣れない言葉は調べて「正確に!」
を気を付けています。

2
つ目は、クライアント様がどのような起こしを必要とされているの
か想像しながら取り組んでいることです。どの程度けば取りをしたらいいのか、逆に
けば取りしないほうがいいのかなどを考えながら起こしています。

クライアント様から「またお願いします」「助かりました」などのお言葉をいただくとと
てもやりがいを感じるとともに、「もっと頑張りたい」「もっと高いクオリティを目指したい」と
思います。



徹底したリサーチで難題に挑戦 藤本昌宏

私が文字起こしをする際に大切にしているのは、専門用語の徹底したリサーチです。自分にとってなじみの薄い話題や、普段なら全く接することのない話題について書き起こすときには、表記の間違いがないようにたくさん調べなければいけません。
この作業は少し手間ではありますが、私にとっての文字起こしの醍醐味はここにあります。文字起こしに携わることがなかったら知ることのできない話題やお話を聞くことができるのです。
ウェブサイトをいくつも見たり、書籍を買ったり、案件を終えたあとも、関連する講演会に参加したりして専門用語のリサーチに努めています。
また聞き取れなかった用語が出てきたときは、インターネットや書籍を使うだけでなく、話の流れから予測したり、何度もその用語が出てくることを期待して聞き取れるまで書き起こし続けたりするなど、諦めない気持ちでいることも心がけています。
正確で読みやすい書き起こし原稿を作ることは、自分が知らなかったことを知る絶好の機会で、自分のためにもなる作業なのです。

”校正のいらない起こし”を目指す 前田愛

私がブラインドライターズでの文字起こし業務で一番大切にしていることは、「校正を付けなくてもいいクオリティのものを提供する」ことです。
そのために必ず常用漢字・常用漢字外をチェックしながら文字を起こし、起こしたものを何度も読み返して話の流れや内容が伝わりやすいように句読点の場所にも気をつけています。
常用漢字表や記者ハンドブックをできるだけ見なくても書き起こせるように、普段からメールやSNSへの書き込み、メンバー間での文字のやり取りなどの際にも仕事と同じように平仮名で書くべきところは平仮名で、漢字で書くべきところは漢字で表記するようにしています。
これにより、校正付きの依頼をいただいた際にも、校正担当から「読みやすい」「間違いがほぼない」と評価をいただいています。
美しい日本語を文字にすること、知らなかった言葉に触れること、語彙力が身につくことなど、私にとって文字起こしは自分にもプラスになる、とてもやりがいのあるお仕事です。

専門知識を活かして研鑽を積む 高橋倫花

私はあん摩マッサージ指圧師と、はり師・きゅう師の資格を持っています。弊社では健康や医療に関連した起こしの依頼が多く、資格取得のために勉強した生理学や衛生学の知識がかなり役立っています。
また、声にも表情があります。ポッドキャストなどの会話や番組をテキスト化する際には、しっかりとケバ取りはしつつ、話している人たちの気持ちやその場の雰囲気が伝わるように心がけています。
日ごろから固有名詞の表記や同音異義語などをPCを使いこなして、速く正確に調べられるような工夫も欠かせません。
記者ハンドブックに合わせた書き方のメモや専門用語の表記についてまとめたファイルも自分で作って追加したり修正したりしており、それらを見ながら注意深く文字に起こしています。

ブラインドライターズ”専用”ソフトを制作 野澤幸男

私は、この道14年のプログラマーです。大学生のとき、ブラインドライターとして活動をしていました。
そして文字起こしをより効率的に、より正確に行えるようにするため、自分で文字起こし用のアプリを開発しました。そのアプリは、自分が使うだけでなく、ブラインドライターズのメンバーにも共有されていて、全員のフィードバックをもとに、改善をしてきたのです。いま、メンバーのほとんどがこの起こしソフトを使ってくれています。
書き起こした原稿をお客様にとって見やすいレイアウトに成形すること。誤字・脱字のない原稿を納品すること。複数の人が話している内容を正確に書き分けること。そして、原稿の質を最大にしながら、効率をアップさせ、より多くのお客様のご依頼に応えられるようにすること。それら全てを考えて、意見を出し合いながら、毎日日本語と、そしてプログラムと全力で向き合っていました。
私はプログラマーであり、エンジニアリングの現場経験もあるので、ICTに関する文字起こしなら、誰にも負けない自信がありました。
このようにブラインドライターズは、特定の分野に深く精通しているメンバーが多く、多様な分野に対応できることを強みとしています。
原稿を納品した後、クライアント様に有効活用していただけることは非常に嬉しく、私たちに大きな達成感を与えてくれます。
しかし私たちが得られるものは、それだけではありません。何万文字という日本語を自らタイプして、その1語1語と向き合い続ける。知らなかった単語と、これまでの自分には存在しなかった価値観、それら全てを蓄積できるのです。
明日はもっと良い原稿を作れる、次の日はもっともっと良い原稿を作れる。さらには、より多くの価値観に触れることにより、人間としても成長できる。ブラインドライターズとは、そんな仕事なのです。

”黒子”になってライターを支える 校正・小川ゆか

私がブラインドライターズで校正のお仕事をする上で最も心がけているのは、「自分の存在を消す」ことです。
あるときは音源の内容をクライアント様のご要望通りに文字化するため、あるときはライターさんの個性を最大限に活かすため(これはライターさんご指名の原稿の際に特に気をつけています)、原稿に自分の見解を交えないことを常に頭の片隅に置いて作業にあたっています。
ベテランのライターさんになると
「このまま納品していいのでは ...... ?」
というクオリティーの原稿が上がってくるので、そのときは大変楽をさせてもらっています(笑)。
また校正のもうひとつのお仕事として、新人ライターさんの原稿チェックと指導があります。こちらは校正付きのご依頼と違い、校正者の署名が入ることはありません。
通常のご依頼と同様、担当されたライターさんの署名とコメントのみが記載されます。
ということは、私のチェックの出来によって新人ライターさんの評価が定まってしまう可能性があるんですよね。
ですからそこは大変気を使いますが、腕の見せ所(見えちゃだめ)でもあると自負しています。
担当したライターさんがクライアント様からお褒めの言葉を頂くと本当にうれしいです。


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