世紀の大失敗

 とうとうやらかした。これはひなちゃんが生まれて以来最大の失敗かもしれない。
これまでなんやかんやでいろんな人に助けられて、大きな問題なくきたのだが・・・。これは完全に自分の準備不足が招いた失敗の反省文である。
 最近ではできるだけ毎日ひなちゃんを外に連れ出すようにしている。太陽に当たると親子そろって生活リズムが整うし、なにより外出した日の方がひなちゃんの機嫌が良い。
とある土曜日の午前中、その日は3人で難波にあるお気に入りのカフェに行こうと考えた。そもそも土曜日に難波に出かけようとする時点で、選択を間違っていたのかもしれない。
最寄り駅までひなちゃんをベビーカーに載せてガラガラ引っ張って行き、難波の駅に着いた時点でベビーカーからだっこひもに切り替えて店を目指そうという作戦だ。
余談だが、最近ではよく知っている道であればだっこひもではなくベビーカーでひなちゃんを連れて行くことができるようになった。もっとも我々の場合ベビーカーを押すのではなく後ろ手で引っ張るのだが。
 土曜日の難波は予想以上の混雑で、カフェも順番待ちだった。少し迷ったが、順番が来たら連絡をもらえるように受付を済ませ、高島屋をうろうろして時間をつぶすことに。
このあたりから徐々に我々のリズムが狂い始める。時間をつぶすというのも意外と簡単ではない。特に目的なくウィンドーショッピングができない我々にとって、外出先での30分ほどの空白の時間というのはなんとも悩ましいものだ。
ひとまず高島屋で寒さをしのぎながら妻が好きなチョコレートのお店で買い物をしているうちに、カフェから電話があった。
 カフェの席についてほっと一息したのもつかの間、ここでひなちゃんがぐずり始める。外出前に授乳とおむつ替えは済ませていたものの、そろそろぐずり出してもおかしくない時間ではあった。
ここまではまだ想定内、ひなちゃんが泣き出した時のために缶の液体ミルクも持ってきている。
プルタブを開け、哺乳瓶の口を専用のアダプターで取り付ける。さあもうすぐひなちゃんミルクだぞ!これでひなちゃんも満足、我々も一安心、となるはずだった・・・。
ひなちゃんの口を手で確認し、そこに缶を逆さにして哺乳瓶の吸い口を入れる。その時だった。一瞬ひなちゃんの泣き声が止まって安心しかけた瞬間、右手で持っていた缶の重さが急に軽くなった…。
ん?一瞬何が起きたかわからなかった。と同時にひなちゃんの大泣きする声。
なんと缶とアダプターがうまく接続できておらず、隙間からミルクがジャバジャバこぼれ出したのだ。
ひなちゃんからすれば、ようやくミルクにありつけると思った途端、顔にミルクを思いっ切り浴びることになったのだからたまったものではない。ただでさえ風呂で少し水が顔にかかるだけでも泣き出すのだ。
ひなちゃんは大泣き、僕は片手にほぼ空になったミルクの缶、そしてひなちゃんも僕も服から体までミルクだらけ。
まずは大泣きしているひなちゃんを落ち着かせようということで、急きょ妻が授乳ケープをまといすぐに授乳。僕はずぶぬれになったひなちゃんの服を肩付け、会計をするべくレジへ。
カフェでゆっくりいただく予定だったケーキは持ち帰りにしてもらい、事情を説明して床にも少しミルクをこぼしてしまったことを謝罪する。
授乳でひとまずは落ち着いたひなちゃんをだっこひもごとコートでくるんで、早々に店を後にした。帰ってすぐに3人で風呂に入ったのは言うまでもない。
 全ては準備不足に他ならない。
まず今回飲ませようとした缶のミルクは、アダプターとの接続も含めてまだ一度もトライしたことがなかった。練習もせずに初めて外で使おうとした安易さが一つ。
そしてもう一つは、その時に限ってタオルやひなちゃんの着替えを持っていなかったということ。ちょっとカフェに行って帰るだけ、という考えが大きな油断を招いた。冷静に考えたら、赤ちゃんを連れての外出準備としてはありえないことだ。
ひなちゃんは大泣きさせるし、なにより店の人には迷惑をかけてしまうし…。久しぶりにかなり落ち込んだ出来事だった。
皮肉にもこの事件が起こったのは、僕がNoteで偉そうに「準備が大切だ!」と書いた翌日だったのだ。
 わかったような気がして本当は理解できていないことはたくさんある。それを身をもって実感した出来事だった。
同じ失敗は二度繰り返さないように対策を考える。それが親として今できることだ。

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