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三浦春馬さんのこと

あれからずっと考え込んでしまっています。

私は一昨年まで三浦春馬さんのコアなファンと言うわけではありませんでした。若い頃松田優作に心酔していた私にとっては、何となくクセのない優等生的な若手スターという漠然とした印象しかなかったのです。

(それでも「ブラッディマンデー」「「大切なことはすべて君が教えてくれた」「私を離さないで」などのドラマは大好きで観ていたし、今でもその中の春馬くんの姿は鮮明に心に残っています。)

そんな印象がコペルニクス的転回と言えるほど激変したのは、一昨年の映画「アイネクライネナハトムジーク」のエキストラとして撮影に参加した時のこと。

愛する映画の現場にボランティアとしてでも参加させていただける…まさに私にとって夢のような出来事!!実際の撮影現場で監督さんやスタッフさんの指示で役者さんと共に通行人や観客になる、信じられないくらい幸せな体験でした😭✨

そして、その時初めて実際に見た三浦春馬さんの姿、たたずまいがあまりにも美しくてこの世のものとは思えないほど……その圧倒的な存在感、美しさは衝撃的でした。

撮影の時の周囲の空気を全て変えてしまうものすごいパワーとオーラ、圧倒的な美しさと同時に、撮影以外の時の穏やかな物腰や笑顔、スタッフの方々と現場のサポートをしたり監督さんと真剣に話し込んだり……という気さくで謙虚な姿や映画に対する真摯な熱い思いなども垣間見ることができました。

エキストラ参加した最終日はゼビオアリーナ仙台でボクシングの試合の撮影があり、夜遅くまでかかってようやく撮影終了。ちょうどその場面でクランクアップだったので、ラッキーなことに最後の三浦春馬さんの挨拶や監督さんへの花束贈呈の場にいることができました。その時の春馬くんの挨拶も感動的で心底魅了されてしまったのです。

その後いろいろ調べて、彼がものすごい努力の人で舞台やミュージカル、様々な難しい役や歌、外国語、様々なチャレンジをしてきた人だということを知り、ますますファンに……。

それまで私はただ漠然とした印象でしか彼を見ていなかったし、知ろうともせず、一面的な印象で決めつけてしまっていたんだなぁとつくづく反省したものです。

シリアスな舞台やミュージカルでも認められながら、コンフィデンスマンのジェシーのようなコメディ方面の才能も花開いて、これから変な役をたくさんしてほしいな!!観たいな!!とワクワクしていました。

だから本当に信じられない、信じたくない…ただただ悲しい。

松田優作や清志郎やプリンスがこの世を去った時、悲しくて悲しくてその喪失感は今も埋められないしこれからも埋められないと思うのだけど

今は全く違う喪失感に苛まれているのです。

それは過去にやっぱり同じように突然この世から去ってしまった若い人たちのことが思い出されてならないから。

明るくて元気でみんなに愛されていて、これからの長い人生が明るく広がっていたはずの若い人がある日突然この世から去ってしまう、こんなに悲しいこと、受け入れられないことがあるでしょうか。

残された者は頭の中でどうして?どうして?どうしたら気づいてあげられたのだろう?どうすれば救えたのだろう、何でもいいから生きていて欲しかったと逡巡するばかり、ただただ自分の無力さに直面するばかり。

過去のそんなことを思い出してしまって…。

でも考えたところで特別な才能も立場もない自分に何ができるのだろう?

そんなことをずっと考えていたら、二十代の頃の迷走していた自分を思い出しました。やりたいことはあるけれど力が足りず、いろいろなことがうまくいかなくて迷走していた自分が今ここまで来られたのは、あの時私を助けてくれたり、あたたかく接してくれた方々がいてくれたから。

もう多くの方々が亡くなってしまってお礼も言えなくなってしまったけれど、久しぶりに思い出したら感謝の気持ちで胸がいっぱいに…。

今私ができることはあの頃の私がしてもらったように、若い人たちを私なりに応援していくことなのかもしれない。

完璧な人間なんていないし、絶対に安心安全なルートもない。社会で生きていくことは目に見えない荒野を歩んでいくようなもの。でも荒野にも美しい花もあたたかい日の光も優しい風もあるはず。

年齢を重ねて、荒野の道もだいぶ歩き慣れた今、微力ではあるけれど道なき道をゆく若い人たちを応援していこうと心に決めました。

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#エッセイ #随想 #アイネクライネナハトムジーク   #三浦春馬さんのこと

#映画








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