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ヨーロッパの歴史あれこれ

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記事一覧

9世紀フランス*ヴァイキングのロロと豊かなノルマンディー

9世紀フランス*ヴァイキングのロロと豊かなノルマンディー

今回の記事は、前回の記事に書いたヴァイキングのロロについてです。
私は捏造はしませんが、妄想モードは入っています(笑)

ロロについてだいぶ前に調べていました。
彼は9世紀にフランスとイングランドを結ぶ重要な役割を果たしました。
おそらく本人は、全くそんなつもりはなかったでしょうけれど。

ロロについてロロ(Rollo)は、洗礼名ロベール(あるいはRobert)で、彼の子孫と区別するためにロベール

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フリースラント王国と北のヴァイキング&ロロ

フリースラント王国と北のヴァイキング&ロロ

以前、フランク王国とヴァイキングの関係を調べていたとき、ヴァイキングには2種類あることに気づきました。

スカンジナヴィア半島を出発し、イングランド、スコットランド、アイルランド、アイスランドへ拡大していった北方ヴァイキング(仮名)と、ヨーロッパの内陸部を侵略し居住地(国)を創ったヴァイキング(ヴァリャーグ)です。

ヴァリャーグについては超長くなるので、ひとまずこの記事ではフランク王国と関わった

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9世紀*フランダースの恋人たち*ボールドウィンとジュディス

9世紀*フランダースの恋人たち*ボールドウィンとジュディス

フランダースと聞くと、すぐに「フランダースの犬」(アニメ)を思い出す昭和テレビっ子世代の佐山みはるです。

このアニメを見ていた頃、フランダースがどこにあるかなんて考えたこともなかったんですが、今でもフランダースと聞くと懐かしさを感じます。

原作者は、19世紀のイギリスの作家ウィーダ(本名は、マリー・ルイーズ・ド・ラ・ラメー (Marie Louise de la Ramée)によって書かれまし

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スコットランド・リンリスゴー宮殿とステュワート朝の始まり

スコットランド・リンリスゴー宮殿とステュワート朝の始まり

子どもの頃の夢は「考古学者になりたい」でした。
女の子らしく「ケーキ屋さん」とか「お花屋さん」とか一度も思ったことがないんです(苦笑)
そういう私なので、歴史をほじくり返す毎日も楽しさしかありません(笑)

Xで見かけた翼を持った鹿の像が苔むしているけれど、とても素敵で忘れがたく、調べてみるとスコットランドのリンリスゴー宮殿の噴水の像でした。

リンリスゴー(Linlithgow)は、古ウェールズ

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ブルグント王国と復讐の王妃クロティルダ

ブルグント王国と復讐の王妃クロティルダ

前回の記事で書ききれなかったブルグント王国のお話です。

フランク王国メロヴィング朝の最初の王クローヴィス1世(在位481年 - 511年)は、最初の妻との間に長男テウデリク1世(485年頃 - 534年)をもうけていました。

511年、クローヴィス1世の死に伴い、領土はテウデリク1世と他の3人の異母兄弟(パリのキルデベルト1世、オルレアンのクロドメール、ソワソンのクロタール1世)とで4分割し、

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歴史は勝者を正とする*アリウス派は悪?西ゴート王国VSメロヴィング朝

歴史は勝者を正とする*アリウス派は悪?西ゴート王国VSメロヴィング朝

今年、私が一番ハマっているのが、平安時代をベースにした「光る君へ」というNHK大河ドラマです。
主人公は紫式部(ドラマ内では「まひろ」という名前)。
昔から平安時代は好きだったので、NHKはほとんど観ない私が数十年ぶりに毎週楽しみに視聴しています。

もちろんドラマなので「そういう脚本ありか?」と思う部分もあるんですが、それさえも面白い。
「光る君へ」では、藤原道長と紫式部が恋人同士だったという設

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ランゴバルト王国の美しき女王とロンバルディアの王冠 part2

ランゴバルト王国の美しき女王とロンバルディアの王冠 part2

ヨーロッパの歴史の中で、フランク王国の存在を無視することは到底出来ないのですが、キリスト教の東西分裂がフランク王国の政治に大きく影響していたことを、強くかみしめている私です。

簡単にいうとメロヴィング朝は、東ローマ教会に動かされ、カロリング朝はラテン教会(西)に動かされていました。
クローヴィスもシャルルマーニュもチェスの駒でした。

さて、前回の続きになりますが、先に補足を入れますね。

ラン

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ゲルマン人移動&ゴート族&キリスト教アリウス派

ゲルマン人移動&ゴート族&キリスト教アリウス派

4世紀、5世紀をメインに起きたゲルマン人大移動と、西洋占星術の区分である「風の時代」はリンクしています。

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ゲルマン人大移動
ゲルマン人は、紀元前2世紀頃にユトランド半島、スカンジナビア半島にいた民族が、中世初期にかけて北西ヨーロッパ、中央ヨーロッパに移住してきたゲルマン語を話す部族集団でした。

西はオランダからライン川下流域、東はポーランド最長の川で

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去ったボイイ族&到着したバイウヴァリ族*バイエルンとアギロルフィング家(フランク)part1

去ったボイイ族&到着したバイウヴァリ族*バイエルンとアギロルフィング家(フランク)part1

下書きが多くなり過ぎて、何をどこまで書いたのかわからなくなっている私(森の夢・佐山みはる)です。
すっかりUPしたつもりだった下書きもあり、オヨヨ~となっております。

*****

ヨーロッパの鉄器時代紀元前1200年頃から1150年にかけて古代近東で青銅器時代が崩壊し(紀元前1200年のカタスロトフ)、鉄器時代が始まりましたが、ヨーロッパの鉄器時代は300年ほど遅れて始まりました。

ヨーロッ

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「水の時代」ローマ教会の政治的役割*教皇権と教皇領

「水の時代」ローマ教会の政治的役割*教皇権と教皇領

5世紀に西ローマ帝国が衰退したあと、西ローマ帝国の領域は東ローマ帝国(ビザンツ帝国)とは違う独自の発展をしました。
キリスト教も、コンスタンティノープルの正教会と分離し、ローマを中心としたカトリック世界が展開していきました。

風の時代から水の時代へ

7世紀から8世紀の約200年は、「水の時代」になります。
以前に「水の時代・大航海時代」について書きましたが、ワンサイクル約800年前も同じく「水

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5世紀*西ローマ帝国と霧のポー渓谷

5世紀*西ローマ帝国と霧のポー渓谷

5世紀に西ローマ帝国が衰退した原因は、皇帝ホノリウス(在位393年 - 423年)が使えないヤツだったから(ヒドイね(^^;)というのが歴史上の定説になっている感じですが、北イタリアのモデナについて気になることがあって調べていたら、ちょっと興味深いことが出て来ました。

モデナModenaは、紀元前183年にはローマ帝国の植民地になり、当時は「ムティナ」(Mutina)と呼ばれていたそうです。

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フランク王国の衰退とカトリック教会

フランク王国の衰退とカトリック教会

西暦800年12月25日、フランク王国の国王カール大帝は、第96代ローマ教皇レオ3世によって「ローマ帝国皇帝」を戴冠しました。
この戴冠は、西ローマ帝国の復活を象徴する出来事でした。

戴冠式の儀式は、カール大帝の権威と地位を象徴するものであり、ローマ教皇自らがカール大帝に帝冠を授けることにより、教会が世俗の権力者を公認するという重要な意味を持っていました。
カール大帝の戴冠は、教皇と皇帝の関係を

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 12世紀*プランタジネット朝が創立されるまで

12世紀*プランタジネット朝が創立されるまで

14世紀~15世紀に起きた百年戦争(1339~1453年)は、プランタジネット家とヴァロワ家のフランス王位をめぐる争いでした。
ぶっちゃけ「お家騒動」だったんですね。

この記事では、その遠因と言われているプランタジネット朝が創立されるまで経緯のあれやこれやを備忘録として書きます。
相変わらず長くマニアックな内容ですが、よかったらお時間あるときにゆっくりお読みください。

プランタジネット家
プラ

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Pirates of the Caribbeanと英・ステュアート朝

Pirates of the Caribbeanと英・ステュアート朝

あることを調べていると、関連した別のことが出てきて、それを調べると、さらにまた気になることが出てきて・・・という感じで、最初に調べていたことから遠く離れてしまったような数年を過ごしていましたが、それらはすべてひとつのことが別の形で現れているのでした。

ところで、海賊といえば、私が子どもの頃に抱いていたイメージは・・・

ピーターパンの宿敵・フック船長。
でも、お若い方は『パイレーツ・オブ・カリビ

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