天使をついに捕まえた。

志賀に新しい友人が出来た。
その名も「天使ちゃん」。
あ、もちろん、本名じゃない。あだ名である。

天使ちゃんと言う名前の通り、彼女は天使みたいにとびきりかわいい女の子だ。

どうして天使ちゃんかと言えば、それは彼女と僕の出会いに遡る。

僕等は昨年同じ対面授業を受講していた。それは大規模な授業で全員で履修者が50人以上を優に超えているような授業だった。
コロナの影響によって、感染防止に努める事を余儀なくされた僕等。
例年以上に大きな教室を使っている僕等はかなりのスペースを空けて授業に臨んでいた。

僕はというと友人達と共にかなり前の方に座っている人間だった。一方で天使ちゃんは教室でも割と後ろの席に座っている人であった。

僕はある授業の日、とびっきりかわいい彼女を見つけた。
まるで天使が着ているようなフリルのかわいい女の子らしい、真っ白なワンピース。
それを見た瞬間、うわ、かわいいなと思ったのだ。
かわいいな、友達になりたいなと思わず思ってしまった。
授業が終わった後、声をかけようと思い、その場は何もしなかった。というか流石に授業中にその場で「かわいいね、友達になろう」なんて何の勧誘で、告白か。大概キチガイと思われてしまう。
そんなわけで僕は授業が終わるのを淡々と待った。
そして、授業後、彼女の元へ行こうと後ろを振り返り、彼女を探す。

が。

彼女はいつの間にか消えてしまっていたのである。

それがしばらく(その授業がある半学期もの)間、僕は彼女に毎回声をかけようとし、毎回いなくなられるという事態に襲われていた。
あまりにも会えないので、友人達に「天使ちゃんが今日もいなくなっちゃった~」と嘆いていたくらいだ。
声もかけられていないので、当然名前も知りようがない。

そんなわけで純白のかわいいワンピースと毎回いつの間にか消えてしまう不思議さを合わせて彼女のあだ名は「天使ちゃん」となったのだ。

こうして文章にしてみるとストーカー日記か?と疑わしい内容になっている。一応言っておくが、極めて健全である。恋愛感情で彼女に近づいてはいない。

こういう言葉にすると身も蓋もないと思うけれど、いわば推しに対して「尊い!!」って言っているのと変わらないスタンスだ。

さて、そんな天使ちゃんと僕は再会するに至る。
今年になって、もう一度授業が被ったのだ。
授業で見つけた僕は今度こそと彼女に声をかけ、彼女とゼミが同じことを確認し、お昼にまで誘って、一緒に食べた。
偉い。僕、とても優秀。

彼女はとてもかわいらしい人で、優しくて、まあ、もうとにかくかわいい。好き。
というか、ワンピースがいつも似合いすぎている。本当に天使ですか、あなた。
語彙力が馬鹿になるくらいにいつもかわいいなと好きを繰り返している。

…なんだこの志賀は。ストーカーか。片思いの男子高校生か(偏見)。
ちょっと引く位には気持ち悪いなと思いつつ、現在の感覚は事実こんなもんである。志賀、やばい奴だな(自明)

オンライン授業から段々と対面授業へと変化を遂げつつある現在、僕等は今までとは違う変化の日々をゆっくりと、楽しく送っている。

というわけで、僕が半年越しに天使を捕まえて、友達になった話でした。おしまい。

貴方に祝福あれ。


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