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【BAクリエイター紹介&インタビュー#02】シナリオライター持田康之に聞く『制作の現場で大事なこと』とは

ゲーム、ドラマ、音声作品……それらのコンテンツの基盤となる「シナリオ」。

シナリオライターにはどのような働き方、考え方の人がいるのか。また、どうすれば業界の中で必要とされ続けられるのか。
技術だけでは専業にしづらい職業なのではないでしょうか。

今回は、プロのシナリオライターであり、経験豊富な持田康之さんをピックアップします。
シナリオライターとして活躍し続けるヒントが得られるかもしれません。

◆持田 康之(もちだやすゆき)さん
BLAST ARTS ミステリ専門シナリオチーム「Studio Unravel」所属
シナリオライター。
ゲーム雑誌の編集兼ライターをしていたが、2001年頃からシナリオライターとして活動を開始。主にゲームシナリオの制作を行い、マンガ・アニメ・ドラマCDの脚本を担当することも。
趣味は映画・読書・ゲーム・アナログゲーム。
特に中学生時代、ゲームブックが流行った際に触れた『ダンジョンズ&ドラゴンズ』は今でもプレイしているそう。


■攻略する側から作る側へ

ーー最初にシナリオ制作に携わったきっかけというのは、どのようなものだったのでしょうか?

持田さん:はじめはゲーム雑誌の編集であったり、ライターをしてまして、そのあと、フリーとして攻略本などの編集をすることになりました。そのときに「ゲームのシナリオ制作をしてみないか」とお誘いが来たので、はじめてみたという感じですね。

ーーシナリオを初めて制作するにあたって、なにか苦労したことはありましたか?

持田さん:特にはなかったですね。今までゲームに関する文章は書いていたので、攻略する側から作る側に回ったような感じです。
創作活動もしていたので、軽い考えではじめてみました。

ーーどのような創作活動をされていたのですか?

持田さん:初めは小学生のとき、同級生と書いたマンガをお互いに見せ合ったりとか、そのあとは「D&D」の同人誌を制作したり、高校では文芸部にも所属してました。
それこそコミケにも参加していましたね。
昔は今よりも抽選率が低くて、「いってやろうぜ!」という学生でも非常に参加しやすい環境だったと思います。

■人のこだわりを大事に

ーー作品を制作する際、持田さんが重視するこだわりのようなものはありますか?

持田さん:難しい質問ですね(笑)。
シナリオライターなのでこだわれないと思います。
というのも、ゲーム制作は多くの人が関わるので、自分よりも周囲の意見を聞いていくことが大事になってきます。
プロデューサーのこだわりやお客さんの好きな物……悪くいえば「お前こういうのが好きなんだろ?みたいな。そういったところからみれば、シナリオ制作は人のこだわりを大事にしていく仕事だと思いますね。どうしても、1人では作れないものなので。

ーー確かに、様々な人が関わる現場ではチームワークが重要ですよね。クリエイターは作品に個性が落とし込まれるものと思っていたので意外でした。

持田さん:やはり、職種によると思います。
例えば、小説だとまた違うのではないかなと思いますね。
また、シナリオ制作などの集団作業でも、他人の意見を翻訳するのにあたっては自分基準での作業にはなるので、個性が出るのはそういった、どうしてもでにじみ出てくるものの類いなのかもしれません。

■誰が読んでも分かる文章を

ーー今後の業界ですが、どのような動きを見せると思いますか?

持田さん:いやぁ、それはちょっと……私が聞きたいですね(笑)
どんな風になっていくんでしょうか?

ーー例えば、近年ですとアマチュアの作家さんが参入しやすくなったように思いますが、いかがでしょうか。

持田さん:入り口が広いことはいいことだと思います。ただ、そこから10年、20年頑張れる人がどれだけ出てくるかというところだと思います。

ーーなるほど。プロとアマチュアの差というのはどういったところで生まれるのでしょうか?

持田さん:大前提としては、誰が読んでも分かる文章が書けることだと思います。これがなかなか難しいことなので……

■しっかりとした文章は大前提!仕事が来るような環境を

ーー現在活動している、もしくは活動予定の「未来のシナリオライター」に必要なもの、大事にして欲しいことを教えてください。

持田さん:普通の話ではありますが、いろいろなところに出て、いろいろな人に出会い、いろいろなところから仕事をもらってこられる、自分だけで手が足りなければ人にも仕事を回せる状態にしてください。しっかりとした文章は大前提として、そこから仕事が取れるところを増やすことが大事です。繰返しにはなりますが、ゲームの仕事には「誰が読んでも分かる文章を書くこと」が大事になってきます。
練習には、国語の勉強のようにはなりますが、新聞を読むといいですよ。
新聞は「誰が読んでも分かる」ようになっている文章ですので。

ーー持田さん、貴重なお話ありがとうございました!


クリエイター全般に言えることですが、一人で完結させる状況は多くない、と実感させられました。特にシナリオは、それだけでは作品として成立しないものです。シナリオライターやそれを志す人は今一度、伝わるものになっているか、自身の文章なりを精査してみてはいかがでしょうか。

▼持田康之さんのTwitterはこちら!
https://twitter.com/ym_higehage

▼BLAST ARTS公式サイト
https://blastarts.jp/

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