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探しもの

「貸し金庫の鍵、どこだっけ?」
大捜索の開始である。
今の家に引っ越してきて丸2年、引越し時の荷ほどきの際に、
「ここにしまうから忘れない様にしなくては」と自分に念を押しながら
綺麗さっぱり忘れてしまった、、、

さして広くはない我が家ではあるが、普通に見つからない。
イライラしなかがら、机の引き出し、クローゼットの棚の上、
探したけれど見つからない。

仕方がないから一度落ち着こうと思い、探しものの定番曲を聴く。

休む事も許されず
笑う事は止められて
はいつくばって はいつくばって
いったい何を探しているのか

探すのをやめた時
見つかる事もよくある話で
踊りましょう 夢の中へ
行ってみたいと思いませんか?

歌詞に倣い探すのをやめながら、この曲の俗説を思い出した。
「探しもの」は大麻で、探しているのは警察官の暗喩であるという。
井上陽水さんは、1977年に大麻所持容疑で逮捕された事があるが、
この曲は1973年発表の曲なので虚偽なのは明確である。

井上陽水さんの歌詞は、いくらでも深読みできるから面白い。

久方ぶりにじっくりと歌詞を読んでみて思う。
自分にとってこの歌は、自分の夢を探す歌であったなと。
はいつくばって、はいつくばって探してみた事があるからこそ
探すのをやめた時、見つかる事がある。
その夢の中へ死ぬまでには行きたいと改めて思った。

そして探すのをやめて、二週間ほど後。
蚊に刺され、痒み止めの薬を探していた時に
薬箱の奥底に探しものの鍵を見つけた。
めでたし、めでたし。

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