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透析患者監視装置/コンソールの仕組み(東レ)

東レの多用途透析用監視装置はTR-7000、 TR-7700、TR-3000、TR-3300、TR-10EXとモデルチェンジされてきました。そのうち型式にSがつくものが個人用、Mが多人数用となります。除水制御はニプロがビスカス方式、東レがダブルチャンバ方式を用いています。下の図はTR-7700のフローチャートです。

TRTR-7700のフローチャート (東レホームページから)

フローチャートでは個人用透析装置にだけ該当する部分が黄色枠で囲まれています。個人用では透析用水の供給を受け、装置内で透析液を作成します。多人数用では黄色枠に該当する部分はなく、緑枠に該当する部分が付属します。セントラルから透析液の供給を受けます。供給液はまず多人数用だけにに該当するPS、プレッシャ(圧力)スイッチに到達します。

圧力スイッチ

セントラルからの給液圧を感知し給液の有無を検出する。圧力調整は他モニターが稼動中、最も圧力の低い時と場所で安定して作動する感度に合わせる。洗浄や準備が電気連動の場合、圧力スイッチは機能していない。個人機にはついていない。圧力スイッチ上部の調整ねじは締め込み方向で感応圧力が上昇する。減圧弁、圧力スイッチは入出口モジュールとして一体化されている。(TR-7000シリーズの写真です)

圧力スイッチ(左)

減圧弁

減圧弁

供給液がPS、圧力スイッチの次に通るのが減圧弁です。マシン内部のチューブ抜けや損傷を防ぎ、圧力、流量を安定させるため、セントラルからの一時圧力を減圧し、急激な圧変動を防止する。ノーマルオープンで減圧の制御は流れの一方向にのみ行われる。圧力は入口遮断弁~キャピラリ間で測定し調整する。下図は減圧弁の構造です。受入完了時の圧力が一定しないときは減圧弁内部の問題、ダイアフラムか弁体のリークが考えられます。個人用コンソールは直接RO装置から強い給液圧を受けるので内部保護のためラインフィルターの前に置かれることもある。チャンバへの透析液、充填時間が遅れ、自己診断に引っかかる場合はまず、減圧弁を閉め流量を上げてみるとよい。注)閉めると流量アップ。イメージと逆です。

減圧弁の構造

入口遮断弁

入口遮断弁

ノーマルクロースの2方電磁弁。offとなるときは以下の4つ。
1) 停止 
2) ECUM
3) 封入(個人機のみ) 
4) 洗浄待機
2方電磁弁にはコイルに通電しない状態で閉状態であるノーマルクロース型と開状態であるノーマルオープン型がある。NC型のonはopenでNO型のonはcloseを意味する。2方電磁弁は通常、圧力の高いほうをin側として使用する。

熱交換器

熱交換器

使用済み透析液がパイプの外、透析用水がパイプ内を流れ熱交換を行う。セントラルからの給水は加温が十分ではなく、マシン内での加温は+10℃が限界のため個人機のみマシン底面に設置されている。

ヒーター

透析液を設定温度まで上昇させるための加温器。炭酸塩の析出を防ぐため加温部が直接透析液に触れない間接型ヒーターが使用されている。ヒーター上部に110℃のサーモスタット、横に130℃のサーモスタットをもち規定温度以上でヒーター電源を遮断する。110℃のものは冷めれば自動復旧するが130℃のものはスイッチがついており手動で復旧させる必要がある。

制御用サーミスタ

制御用サーミスタ

ヒーターの直後に取り付けられた温度計でヒーターの電力供給を制御している。

キャピラリΦ1.5×3 

キャピラリ

フロー図では省略されていますがガラス製、ドーナツ形状で脱気ポンプ前に3個挿入されている。キャピラリとは毛細管の意味でニプロではオリフィス(絞り)と呼ばれるものです。ポンプの抵抗となり陰圧をつくる。割れやすく詰まりやすい。マシン内で使われているキャピラリはΦ1.5とΦ0.8の2種。キャピラリが挿入できるシリコンチューブはΦ5のもの。東レのシリコンチューブは供給用にΦ8、マシン内にΦ5、DLZ前後にΦ6のものが使い分けられている。

バッファ槽

バッファ槽

除水時の陰圧やヒーターによる気泡の発生は密閉回路内の容量バランスをくずし除水誤差の原因となる。また、ダイアライザの有効膜面積を減少させ透析効率に影響を与えるため、脱気ポンプにより陰圧を透析液にかけ溶存ガスを除去している。バッファ槽は陰圧のかかるRO水の体積をかせぎ、脱気効率を高めている。

脱気ポンプ

脱気ポンプ

脱気ポンプはキャピラリによる強い負荷がかかるためポンプヘッドが劣化しやすい。定期交換が必要となります。劣化が進むとダイアライザ内に気泡が流れ漏血センサの誤作動などの症状がでる。劣化時は循環ポンプとポンプヘッドを入れ替えやキャピラリの抜き取り、減圧弁圧力を上げることで一時的に対処できる。

脱気槽

脱気槽

脱気ポンプのアウト側に置かれ溶存ガスを系外に排出する。透析液は脱気層の腹から入り下に流れる。エアアウトのラインはキャピラリが入っており洗浄も十分に行われない。

そのためキャピラリは詰まりやすく、ダイアライザにエアが流れることがあればエアアウトのラインをエアが排出されているかを確認します。脱気ポンプ前のキャピラリが抵抗をつくり、脱気ポンプが陰圧をつくり、バッファ槽が透析液の容積を増やし脱気効率化、脱気層が溶存空気の排出を行っています。

続く→ 透析患者監視装置/コンソールの仕組み(東レ) 2
機械室 / 透析機器・装置の仕組み
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