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Blackmagic Creator's Close Up #2 -  上野 千蔵

上野 千蔵 「うつわのように」

本連載は、映像業界の最先端で活躍するクリエイターの歩んできたストーリーや思考にフォーカスしインタビューをする企画です。

今回は、広告・MV・映画の撮影や演出、近年は芸術祭でインスタレーション作品も手がける撮影監督 上野千蔵氏にお話を伺いました。

上野 千蔵  Senzo Ueno

撮影監督 / 映像作家 / アーティスト
1982年鹿児島県出身。映画、広告、ミュージックビデオを中心に活動。
2011年撮影監督として独立。映像作家、アーティストとしても活動中。

世界三大広告賞等でグランプリ、Gold、撮影賞等多数受賞。プライベートワークとして、水や植物、光など、複雑で有機的な自然の美しさを写しとり、体感してもらう映像やインスタレーション作品を発表している。

また、4人のメンバーによる「新春」と名付けた活動では、ディレクターとして自然との共生、循環型の社会の実現に貢献することを目標に、自然の恵を美しく享受している人々に光を当て、少人数、小規模なローインパクトなスタイルで、主にドキュメンタリー映像を発表。

主な映画
「太陽の塔」関根光才 監督
「宇宙でいちばん明るい屋根」藤井道人 監督
「息をひそめて」中川龍太郎 監督

最近の作品

ユニクロ 

VOICE PROJECT2022

映像業界に入ったきっかけは?

映像業界に入ったきっかけは、両親も兄弟も映像の仕事を鹿児島でしていて、小さな時から映像に興味を持っていました。映像の学校などには行ってなくて、18歳からこの業界に入りました。

師匠である野田直樹さんのところで学ばせてもらったのが大きかったなと感じます。当時も、日本ではDOPという撮影監督のスタイルが珍しくマイノリティだった中で、野田さんはDOPとして活躍されていました。野田さんのスタイルに憧れて、海外にも行ってみたいなと思い、その後、約2年間バックパッカーをして放浪しました。野田さんとの出会いやバックパーカーをしていた時のことを含めて、今の自分を形成したという意味では大きな出来事だったと思います。

バックパッカー時代について

18歳から20歳くらいまでは、撮影の助手としてすごい忙しくしていましたが、自分自身の撮影というのはあまりなくて。21歳くらいの時に日本を出たんですが、最初はオーストラリアに行きました。そこでも、撮影のアシスタントをしてました。そのあと、バックパッカーとしてヨーロッパとアジアを陸路で回りました。

バックパッカーをしている間は沢山写真を撮りましたね。たまに当時の写真を見返してみても、スタイルや趣味は大きく変わっていないと思います。日本に戻ってからも、東京の日常の風景が特別に見えて、写真を撮ってましたね。しばらくすると慣れてきて、撮らない時期もありましたけど。

影響を受けた出来事、作品、経験、人は?

野田さんのアシスタントをする傍ら、海外の撮影チームのアシスタントもしていました。日本人と仕事をしていた時には、状況に応じてやり方(セオリー)が結構しっかりと決まっていて、何年も先輩達からこれはやっちゃいけないとずっと教えてこられると、そのルールが染みついちゃうんですが、海外の撮影チームからから学んだことは、何かテクニックや技術とかそういうことではなくて、「一人一人全員違う」ということですね。それは、自分がいいと思うことを挑戦するスタイルだと思います。

今までご法度とされていたことに対しても、自由に考えて、自分が良いと思ったことはなんでもやってみていいんだと。悩みが減ったように感じますね。そして、今も引き続きそれは僕のスタイルとして残ってます。

撮影において大切にしていることは?

自然から感じる部分を大切にしたいと思っていて、他の映像や写真などのリファレンスを先に見ることはあまりないですね。何か作品を事前に見てしまうと、このライティングいいな、このカメラワークいいなと、型にはめてしまうので。これだって決めて臨むのってちょっと違うと思っていて、撮影するときの空間でいいな、綺麗だなって思うことを積極的に受動的に撮るようにしてます。能動的という事も大切だと思いますが、光や対象に対してうつわの様な受け身の許容力を持つ事が大切だと思っています。

大切にしているのは、自然を綺麗だな・良いなと思う感覚を研ぎ澄ますことです。都会にいても、綺麗だなと感じることへの瞬発力を増やすことが大事だと思っています。駅までの道のりや、ただ近所を散歩してるだけでも、好きだと感じるものがいっぱいあります。

僕の考えで一つ大切にしていることがあって、それは何かを見て綺麗だなとか、好きだなとか、悲しいなとか思えることが大切だと思っています。美しいと感じることは人それぞれ違いますが、ある程度共通している部分があると思っています。それが世界中で共通した感覚だとすると、それは原始的・根本的な部分で繋がってるのではないでしょうか。花が綺麗だとか、夕陽が綺麗だと思う感覚とか。

もう一つは、自分自身がアシスタントだったとき、この作品は本当に素晴らしいものになるだろうと思って、アシスタントながらも作品が良くなるように前向きに頑張った時は、100%良い作品になってたという経験が何度もあって。そこから、今僕が上に立つ立場として、スタッフがなるべく仲良く楽しく仕事をするという方向に向けることが大切だなと思っています。誰か一人でも辛そうなスタッフがいると、もう撮影をやめておこうかなという気持ちになるんですが、反対にスタッフがもっとやりましょうよ!というテンションで挑んでいる時とでは、出来上がる作品が大きく違うので、楽しく仕事をするのは大切な部分だと思っています。

最後に、Blackmagicのカメラシリーズを使った上野氏の作品

Blackmagic URSA Mini Pro 4.6K G2
Hulu ドラマ「息をひそめて」

Blackmagic Pocket Cinema Camera 6K Pro
haruka nakamura 「君のうた」

Blackmagic Pocket Cinema Camera 4K
空師


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