量的緩和、過剰流動性、バブル


 2020年12月11日、NTTは子会社であるNTTファイナンスが総額1兆円に及ぶ社債を発行すると発表した。当初は5000億円程度の社債発行を目指していたが、想定以上の需要のために1兆円に増額した。国内における一度の起債額としては過去最大になる。

 これは市場がNTT債を安全な投資先とみなし、比較的低金利にもかかわらず応募が殺到したというよりは、covid-19は感染拡大の経済不況を防止するために、各国の中央銀行が実施する大規模金融緩和による過剰流動性が原因かもしれない。

 日本格付研究所(JCR)は、NTTFを日本国債とおなじトリプルA(AAA)に格付けしている。しかし、政府債務残高対GDP比が250%を越えようとしている日本の財政をバイアスなしで評価するなら、国債はトリプルB(BBB)が妥当かもしれない。財政健全化への期待をアテにして国債を発行しているのだから、「債務履行の確実性は高いが、将来確実とは言えない」だろう。

 さらにこの過剰流動性は、株式市場の高騰を招いている可能性が高い。日銀はリスクの高い上場投資信託(ETF)を大量に保有しており、連動対象はTOPIX(東証株価指数)、日経225及びJPX400になる。株式のバブル崩壊に巻き込まれた場合、日銀は債務超過に陥るかもしれない。

 日経平均株価とダウ・ジョーンズ工業株価平均は相関している。

 FRB(米連邦準備制度理事会)は、ゼロ金利・量的緩和策(QE)を2023年末まで維持するとしている。


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