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【現地留学生視点】台湾のコロナ封じ込め対応まとめ【無料・時系列完全まとめ】~ピーク(2020年3月末)まで~

※この記事はピークまでの3か月間まとめです。
※記事が長いので、まずこちらをお読みください。
畑南 (2)_editedこの記事は台湾コロナ政策を現地で体験した私が、国内の日本人が持てない目線と情報収集力で書くという趣旨のもと制作しています。
また、世界各国のコロナ政策や関連統計は現在進行形で様々な背景・手法の元、実施・評価されています。台湾は類似ケースが少ないことから、このnoteでは政策を一定の統計尺度に照らすようなデータ的比較評価をしておりません。あくまでマネジメントサイクルや、台湾の体制・文化的理解を補助するものとしてご覧頂ければと思います。
注意)分かりにくい点は"知識補助"というメモを載せています。日時を軸に順に追っているので、まとめのみを読むか、素早く網羅したい方は
 ⅰ太字の部分
 ⅱ知識補助
 ⅲまとめ(先読み推奨)
を中心にご覧ください。(完読の場合推定所要時間:30分以上、約8700字)

0)前提

台湾のコロナ情勢
1月:感知から対応
3月:ピーク
5月:ほぼ決着
政策の根幹となるワードは、対策本部の組織づくりと権限設定、水際対策、自宅検疫の徹底、迅速な情報管理(デジタル)と公開、罰則を含む法整備、マスク政策、個人補償<公共。

1)【考え方】コロナ感染者数とフェーズ

まず台湾のコロナ政策整理の前に、コロナ政策におけるそもそもの理解手法として”感染者数の推移によるフェーズ分け”が重要であることを背景として把握する。

画像2

感染者グラフ

(参考:英ロイターのgraphicscovid-19 global trackerよりそれぞれ抜粋)

注)ここでは主題のブレを防ぐために一応未確認感染者の存在を考慮し、実際的な感染者数ではなく、感染確認者数の増加と表現します。(検査数増加による陽性患者確認数の増加を考慮するとき、検査数増加の要因を測る為の検査理由データが無く、未検査の市中感染者数推移を推定出来ない為)

感染確認者数増加の推移は集団感染のケース、また上記のグラフ形状等から、指数関数的爆発であると表現される。急激な増加は医療体制や経済に対する影響規模が大きく変化することからも、この推移によるフェーズ分けを政策判断の基準・機会としている国家が多い
フェーズ判断は地域や感染ケース毎の陽性確認者数(比率)とその推移予測に基づいて修正しながら行われており、政策はこれに加えて<社会保障・国家経済>と<個人のプライバシーや経済的自由>をバランシングした上で実施されるという考えをまず共通認識としたい。

以上を踏まえ、早期のほぼ完全な封じ込め(第一期ハンマーフェーズ)に成功した台湾のコロナ対応と関連する出来事を順を追って見ていく。

知識補助⓪「報道とSNSのフェイク」
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コロナや感染に関する情報取得に関する現地の前提知識として、フェイクニュースには以下の刑罰が存在する。
<社会秩序維持法>
 3日以下の拘留と3万元(10万円超)
<伝染病防治法>
 300万元以下の罰金
<厳重特殊伝染性肺炎(コロナ肺炎)防治及紓困(救済)振興特別條例>
 3年以下の懲役と300万元以下の罰金
そのため報道やSNSに関しては、比較的正確な情報が得られる雰囲気があり、民衆の信用度も高かったように思われた(筆者感想)
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2)2019年12月31日の出来事

①武漢市衛生健康委員会の感染症に関する公告文
②SARSに類似した感染症発生の検査結果
③肺CTの画像
(②③は李文亮が級友グループに内密に警告・告発した履歴の流出画像)
31日未明、上記内容を掲示板で発見した衛生福利部疾病管制署の医師が、管制署の論議用ライングループにその内容を投稿。確認した上層部(羅一鈞医師:当時の衛生福利部疾病管制署(CDC)報道官、後に副署長)は内容の専門性に対する一定の信用度と、真実であった場合の緊急性の高さから、当日午前、詳細な情報を求めて中国政府とWHOにメールで確認得られた「感染者を隔離している」という返答からヒト対ヒトの感染可能性を読み取ったことを臨時記者会見で発表、当日夜から急遽武漢直行便の検疫を開始した。

3)2020年1月2~20日の出来事

SARSの経験から、通報・集計すべき感染疑いの定義、感染者が出た場合の医療対応の方法を確認を実施。具体的には症状に疑念がある際の医療行為時におけるN95マスクの着用など。

知識補助①「詳細な通報定義設定
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以下を満たす場合、医師は感染症通報システムを利用せねばならない
 A1+Cのいずれか
 A2+C1or2
 A3
 B
A
【臨床条件】
1)発熱≧38.0℃、或いは呼吸器症状
2)嗅・味覚異常、或いは原因不明の下痢
3)医師判断により、市中感染の疑いが強いと考えるもの
B【検査結果条件】
1)臨床検体の鼻・咽喉の粘液を用いた高原検査によるコロナウイルスの確認
2)臨床検体のPCR検査(核酸検査)による陽性反応
C【流行病学条件】
発熱前14日以内に
1)国外滞在歴のある者、或いは発熱・呼吸器症状のある渡航者と接触のある者
2)感染者か極めてその可能性の高い者と濃厚接触が認められる者
3)クラスター感染が認められる状況内にいた者
-=-=-=-=-嚴重特殊傳染性肺炎病例定義暨採檢送驗注意事項より筆者訳)

専門家2名を調査目的で武漢に派遣。帰国後、法定伝染病に指定し、近隣地域への渡航警戒レベルをレベル2に指定し、注意喚起。

知識補助②「渡航警戒レベルについて」「流行地区レベル」

2つは違う指標であることに注意。
-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-
渡航警戒レベル(対外国・地域、国民に影響)
【帰国後14日間の自主健康管理:報告+自主判断で自由生活】
レベル1:注意(Watch)、渡航注意と一般防護の喚起
レベル2:警示(Alert)、現地での防護強化勧告
【帰国後14日間の自宅検疫:自宅隔離】
レベル3:警告(Warning)、不必要な渡航の中止勧告
-=-=-=-=-=-=-=-=台灣衛生福利部疾病管制署HP(以下疾管署)より筆者訳
流行地区レベル(対外国・地区、医療関係者の対処に影響)
【当人・接触者に症状の報告があれば通報・隔離】
レベル1:市中感染が明確に存在する地区
【病院にて検査を行い、自宅で結果待機】
レベル2:市中感染が疑われる地区
隔離はいずれも2回の陰性結果により解除される
-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-

また中国での市中感染拡大を受け、世界最速で疾管署は臨時機構として嚴重特殊傳染性肺炎中央流行疫情指揮中心CECC中央流行性感染症情報コマンドセンター、実質的対策本部)を第三級開設。SARSに関連して2004年に設立された国家衛生指揮中心(NHCC)のノウハウを活用。

知識補助③「CECC第〇級開設について」組織レベル-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-
1月20日(流行レベル)三級開設:CDC署長が指揮官
*中国本土での市中感染が明確に規模拡大
1月24日二級開設:衛生福利部(MHW)部長が指揮官
*海外から台湾への入国者に感染を確認
2月27日一級開設(3月9日に再編):行政院院長が指揮官を指名
*台湾国内で市中感染の発生
-=-=-=-=-=-=-=-=-=因應嚴重特殊傳染性肺炎疫情應變計畫より抜粋・翻訳

4)1月21~31の出来事

21日、武漢からの帰国者に台湾で第1症例となる女性感染者を確認。
武漢市感染拡大の情報も相まり、最速で武漢市への渡航警戒レベルを3に引き上げ、これに伴い、交通部では武漢を含む湖北省全体への観光ツアーの中止勧告、該当地域からの観光ツアー予定客へのビザ失効などの対応を行った。また検疫も中国全体からの渡航者に拡大。

国内での感染者が確認されたことで、台湾のコロナ政策は第1段階から第2段階へと移行

知識補助④「コロナ政策の枠組み」
-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-
台湾政府の打ち出すコロナ政策の枠組みは2段階ある。
【第1段階「整備」】
近隣国家に感染症の出現は確認されるが、市中感染の拡大は認められない。
検疫を中心に進入を防ぐ対策を行う一方、民間を含めた医療物資(マスクや検査・対応の設備など)の把握、各国のデータ収集に努める。
【第2段階「応変」】
感染発生地区の拡大や、国内への流入リスクによって4つの流行レベル(疫情等級)を設定レベルに即した指揮系統を組織し、リスク評価と対策規模判断を行う。
(指揮系統に関しては知識補助③を参照)
-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-(應變整備計畫及持續營運計畫より)

台湾政府は初期感染の爆発的拡大を抑える方法として、マスクと人同士の直接接触の回避を対策の軸に据えた。行政院院長蘇貞昌は国内に4400万の外科マスクと193万のN95マスクがあると発表、また経済部に1.8億元超(約6.7億円)の予算でマスク生産機器の購入・増産を指示(口罩國家隊)。

知識補助⑤「口罩國家隊
画像3↑マスク増産の国家プランに無償協力した企業、公会、財団法人等のリスト
政策発表後、様々な法人から無償協力自主的に申し入れられたと現地報道は伝えている。(公會:工商業団体)
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台湾のマスク需給を確認すると以下の通りになる。
 台湾の元来のマスク生産量188万枚/日(24時間運用で400万枚/日)
 台湾人口2357万人
 最低限確認されている在庫量4500万弱枚
仮に1枚/人・日の消費を想定した場合、国民や企業自身の未確認在庫を除けば、生産ラインをフル稼働させても人口の5/6分を在庫から消費していくことになる計算である。布マスクや各自ストック等を活用しても供給不足は目に見えていたといえる。
口罩國家隊(マスク国家チーム)はこれを踏まえて、国家政策として打ち出されたものであり、技術協力は業界の人員供給労働力はこれに加えて国防部からも国軍が派遣されている。
計画時点で一か月で1000万枚/日を短期目標としスタートしたが、増強の結果4月末に1600万枚、5月中旬に2000万枚を突破。2500万枚の増産目途が立ったところで、余剰分が輸出解禁となり、台湾マスク外交へとつながった。
業界との協力内容は、以下の通り。
 60(最低生産10万枚/日)の新規生産ラインを民間からリース
 500万枚の生産(最低生産の50日間稼働に相当)と政府への販売
  内120万枚は無償、380万枚は2.5元/枚(計950万元=3500万円超)
 上記条件を達成後、民間に返却。
実質60ライン*120=7200万枚のマスク購入+2億2800万枚の買い付け予約のプリペイドアカウント1.8億元の予算計画と捉えられる
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国民には着用者自身の防護目的だけでなく、飛沫拡散による感染拡大の起点にならないことの重要性から、使い捨てマスク不足を布マスクで積極的に埋め合わせ、節約によるマスク非着用時間の減少も推奨した。また十分なマスク供給体制の実現を目指す為、1か月間の濾過度94%以上のマスクに輸出管制(禁止は6月まで延長された)を開始、国内流通に関しては28日より大コンビニエンスストアで1人3枚まで、8元/枚でまとめて販売するなど、本格的なマスク政策を実施した。尚、本人認証やその情報の店舗間共有が無かったため、実際は複数の店舗をまわり買いだめする人が多く、各店舗ではすぐに売り切れや混乱が発生した。

知識補助⑥「台湾のコンビニ事情」
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店舗数が非常に多く、密度は日本を上回る(世界2位、1位は韓国)
セブンを中心に小売りだけでなく、流通や公共料金や種々の納付機能が強化されており、社会インフラを支えるパイプとして人々の生活に不可欠な役割を担っている。
4大コンビニエンスストアは店舗数順に以下の通りである。
 セブンイレブン(統一超商
 ファミリーマート(全家便利商店
 Hi-life(萊爾富
 OKマート(OK超商,未來超商
-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-

22日、総統府は翌日CECCはレベル2開設(知識補助③参照)へと引き上げられた。レベル3開設から4日目である。

1月末には武漢から帰国した第5症例の男性感染者によって家庭内感染が起こり、同居人が8人目の症例となった。自宅隔離が無視されていたことが判明し、政府は即日で自宅検疫者と入国者に対して一律で毎日GPS付端末からの体調報告を義務化自宅隔離の規定違反者には強制隔離等の罰則を設けた。

5)2月の出来事

中国と台湾の流通の連結点である小三通の14日間の自宅隔離を設定後、運送用船舶や航空機も含め、台湾人以外の中国経由の渡航を完全に制限した。

マスク政策に関しては、2点。
価格を6元に下げ販売したが、間もなく先月末実施したコンビニ販売を初週の4日間の実施にとどめ、停止。代わりに6日に健康保険特約薬局(地方では、あるいは衛生所というMHW運営の診療所)での健康保険証を用いた実名販売を開始した。
各販売拠点当たりのマスク入荷量に限界があるため、身分証番号の末尾が偶数→月水金日、奇数→火木土日という時差を設け、過度な密集や行列をさけるよう呼びかけたが、【2枚/週・各5元(13歳以下5枚/週)】という少ない供給だったため、中々購入できず何店舗も訪ね歩く人々が多く報告された。
特に都市部において売り切れによる流通の停滞が発生したことで、2日超商口罩現況回報コンビニマスク販売状況レポート)というアプリサービスが民間でリリース&流行。政務委員唐鳳(オードリー・タン)は6日からの薬局販売に備え、開発チームと連絡をとり、オフィシャルのバックのもと開発を進めた

また、以降の長期休み短縮で調整し小中高大学の授業開始を一律で約1か月延期。子どもの始業延期・冬季長期休暇延長に際して、労働部は12歳以下の児童を持つ家庭のみ、その時期に合わせて保護者内(両親)の1人が【防疫照顧假】を最大2週間まで申請できるよう全企業に指示した。これにより各企業は給料に関しては会社規則に従い給付判断を行えるが、臨時の法定休暇であるため、それにより皆勤や勤務態度等査定に影響させることは出来ず、また勝手に欠勤扱いにしたり、その他の欠勤申請するよう強要した場合は労働基準法の罰則に基づいて処罰される。
始業後は小中高代全ての校門や玄関で入室前の体温測定を全面的に実施し、発熱(37.5℃)が認められた場合、出席扱いにしたまま診療及び自宅療養するよう指示。また閉鎖措置として以下のように発表した。
<学級閉鎖>
 高校以下ではクラスに1名(生徒、教師)の感染者
 (大学ではその1名の感染者の所属する全てのクラスが停止)
<学校閉鎖>
 14日以内に校内に2名以上の感染者
<鄉鎮市區(県、市管轄の下級行政区分)閉鎖>
 該当地域の1/3の学校が学校閉鎖。
事例としては3月に北部の高校の地域閉鎖、後日同地区一部高校の学校再閉鎖、清華大学の学校閉鎖が報告されている。

27日、CECC1級開設(知識補助③参照)。水際政策強化に加え直近の市中感染ケース32件の患者の移動記録などを公開し、接触が予測される者に自主的な自宅隔離を求めた。

6)3月の出来事【ピーク:最大感染者増加数27/日】

感染者推移 台湾

感染経路別感染者数推移グラフ(CECC)縦:感染者数、横:日付
 灰:入国者
 青:中華民國海軍敦睦遠航訓練支隊
   (台湾と国交を持つ国に訪問する訓練部隊)
 国内市中感染
まず、ピークと言いつつも、予測されていたピークはそもそも到来していない。他国に比べて、人口当たりの台湾の感染者総数は極端に少なく、市中感染拡大が抑えられているからである。拡大を抑えた3月の政策を整理していく。

市中感染
入国後発症した自宅検疫者のGPS情報(1月末から強化)や、感染者に対するインタビュー(疫調:虚偽の活動経歴供述で罰金6~30万元)で、感染経路や濃厚接触者・場所を基本的には全て把握している。記者会見では、どの症例がどの症例と関連して引き起こされたかなど、個人情報を考慮しつつも感染者の活動場所と時期を公開することで、感染者増加に対する人々の経験値を増やし、防護意識や政策理解を高めた。
新幹線とMRT(地下鉄)において、各社が体温測定と、1回/2~4時間の消毒を開始。政府も4月から公共交通(バス、タクシーを含む)におけるマスク非着用の乗客への罰金・乗車拒否を開始すると発表。合わせてマスク購入は3枚/週(大人)、5枚/週(子ども)に微増。

水際対策
流行地区レベルと渡航警戒レベル(知識補助②参照)の2つの指標によって対処法を定め実行してきた台湾だが、3月もここには概ね変更がない。対応を簡易に整理する。

入国拒否対象者・地域
1月:武漢市→湖北省、配偶者・就学以外のビザ所持者(→中国籍に対してビザの発行見合わせ開始)
2月:広東省→温州市→中国本土に渡航歴のある非台湾籍、流行地域からの郵便や船舶全般→CECC判断で中華民国(台湾)大陸委員会の出す条件付き配偶者ビザの入国許可も停止
3月:外交・ビジネス目的以外で居留証を持たない外国籍→乗り換え航空機

入国資格者の対応(渡航警戒レベル3のみ自宅隔離:知識補助②参照)
主に渡航警戒
12月:武漢便の空港検疫
1月:入国前3日以内のPCR陰性証明の提示義務、中国本土便の空港検疫
行蹤記錄與健康狀況聲明書行動記録及び健康状況報告書)提出義務
→感染者と濃厚接触者の自宅隔離・報告「電子監控:デジタルコントロール」、GPS情報収集・管理の開始(傳染病防治法、2003
2月:中国本土との連絡入り口である小三通入国者の自宅隔離(後に三通は停止)
3月:住居を持たない外国籍入国者は隔離期間、検疫所に有料で宿泊が可能に
流行レベル3以上の国家から帰国した陽性者は、健康保険の利用不可、検査・隔離の自費負担、実名公開
→入国者の感染者増加に合わせ、入国済みの一部外国人に対して追加検査を追跡実施
→居留資格の切れた外国人に対して、無条件でビザ自動延長。

まとめ(先読み推奨)

ピークまでの政策評価を総評として簡易的に行うと、以下の通り。
キーポイント:早期、公平、数字的成果

組織形成と権限の明確化が世界最速であった。それゆえ情報収集からプランへの転換、実施、修正全てにおいて素早く、早期封じ込めの結果へつながったといえる。
→SARSの教訓、CECC:厳重特殊感染性肺炎中央流行疫情指揮中心
→通報システムや国民番号制などの各行政機関の管轄を跨いだデジタル管理

・企業視点では保障などが少なく業界的に打撃を受けたところも多い、労働者視点でもこの時点での保障はごく一部のみ。しかし政府の短期決戦という戦略が明確に共有されていた上でのプランは、政治的関心が高いという高投票率の裏付けもあってか人選評価も含め、高い支持率(5月時点での政策支持91%、本部長支持94%)を有し、その分浸透率も高く成果を残した。また他国の感染拡大が多かったことも、比較して短中期的国内政策への納得を生む要因の一つとして予測される。
→保障や市中感染根絶に向けた営業制限による政策転換等は4月以降修正しつつ行われる

・市中感染対策であったマスク政策は防護手段確保に欠落していた国民の立場に立った政策手法と考えられ、経済活動ではなく保安という意味での公平性が大部分の国民に歓迎された。また民間サービスを取り込むという早期転換は大きな成功のカギであったと評価できる。
マスク政策

加えて、時系列上の出来事としては扱っていないが、全体を通して、国民に対する政策のアカウンタビリティ(説明責任)は、一部(プライバシー保護等)を除いて、果たされていた。
→CECCが毎日(時に複数回)行う記者会見。(対策本部の代表4人は120日休みなく出動していた記者会見上で奮闘する姿を揶揄してさまざまな愛称がつけられた→CECCの日本語wikipediaページ:国内評価参照)。

SNSやHPを利用してオフィシャル情報を、素早く拡散するもの、細かく伝えるもの、ユーモラスで不安や混乱を解消するものという明確な分類のもと実行していた行政のスタイルもかなり大きい。
オードリータンの功績

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