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ボクが、コンセプトを考えるとき。

最近、ジブンはもちろんなんだけど、他の人がコンセプトを考えているシーンによく立ち会うので、ちょっとボクがやっていることをまとめてみる。

この記事は、30分程度で書かないといけないから、今日は初めの第一手だけ。反応が良かったら、もうちょっと書いてみようとも思っている。(出し惜しみすんなとジブンに突っ込んでおく。)

この想定としては、まだクライアントに会ったことがない。本当に何も知らない状況。そこで何から始めるか、ということで想像しながら読んでもらえたらうれしい。では早速、その初めの第一手。

【初めの第一手】会社の沿革を見にいく。

企業サイトで、どちらかというと地味なこのページをまず見にいく。

わかりやすそうなところで、

株式会社クボタさんを例にあげてみよう。

まずリンク先を見てもらったらわかるように、

1890年 鋳物メーカーとして創業。衡器用鋳物・日用品鋳物の製造開始。

と記されている。

この時点で「え…」が生まれる。クボタと言えば、ボクのイメージは「トラクターなどの農業機械メーカー」だ。「鋳物メーカー」なんてことは、「これっぽっちも知らなかった」という発見から始まる。そもそも「鋳物ってなんだ?」くらいの勢いだ。早速、宿題ができる。(調べる、ググる)

そして「なぜ?」も生まれてくる。このイメージのギャップはなんだと。「鋳物から、どうして農業機械になったんだろう」という疑問が生まれてくる。

そんな疑問を抱えながら沿革を追っていくと、すぐに

1893年 水道用鋳鉄管の製造開始。

という記述がでてくる。

ここで、経験を積んでくるとちょっと匂ってくる。

「水道かぁ。水は農作物に必須だよなぁ。」

みたいな仮説が湧いてくる。

かけはなれていたイメージふたつを、リンクさせていく。


このあたりの勘が養われるのは、ドラマをみんなが見る時の感覚と近いかもしれない(そもそも、ドラマみない?)。第一話には、イケメンと美女が出会い、第三話くらいで恋が盛り上がる。キスをする。キュンとする。第五話くらいになると不穏な空気が漂い、邪魔をするような存在があらわれ、第七話くらいには別れを迎える。切なくなる。だけど、最終話までには「復縁すんでしょ?」くらいで、みんな経験があるから先を読む。それとおなじ感覚だと思う。(この展開を書いて、ジブンは昭和生まれだなぁと、あらためて悟った。)

ずいぶん、ドラマで脱線した。すいません、話を戻します。


そんなこんなで仮説が湧き、もうちょっと沿革を追っていくと

1955年 企業スローガン「国つくりから米つくりまで」制定。

と記載されている。「ビンゴだ(オレ、さえてる!)」となる。

水道という国や社会のインフラづくりを鋳物で始めて、水を必要とする農業(ここでは米づくり)という事業に展開をしていくことになったんだろうなぁ、なんて仮説が、リアルに見えてくる。

企業サイトによって、年表に記載されていたり、載っていなかったりもするが、そこに「時代背景」を重ねあわせることも重要だ。よりリアルに絵が見えてくる。

たとえば、1955年。戦後10年。まだまだ日本は復興段階。生きるか、死ぬかの時代を体験し、これから社会を、日本という国を成長させていこうなんて気運が高まっているとき。前を向こう、発展させていこうという時に資本となるのは「カラダ」だ。それを支える「食」。日本の魂フード「米」が欠かせないものになってくる。それを、安定供給できるような環境を整えようとしたのかなぁ、なんて想像がつく。

その時代に、ボクは生きていないから、あくまで想像だ。でも、今まであまり役に立たないなんて考えていた社会の授業が、こんなところで活躍をしたりもする。ちゃんと勉強をしていた人は、このあたりの解像度がグッとあがるでしょ。(ボクはちゃんと勉強してなかったから、いま頑張ってます)

それくらい歴史観は大切になってくる。時代が流れるとともに、時代は変わる。生活も変わる。人も変わる。もちろん、企業も変わっていく。その変化に対して「なぜ?」の視点で見ていく。

会社の沿革には、その「なぜ?」は詳しく説明されていないことが多い。事実の羅列だ。第三者からしたら無味乾燥なものに近い。じゃあ、コンセプトを考えないといけないボクらが、「無味乾燥」なママ消化すると、「無味乾燥なコンセプト」が世の中にリリースされてしまうことになる。もちろん、よくない。自分の脳内で、その会社に、もっと味を、彩りを加えて興味をもっていく行為が「沿革の行間を読むこと」だと思っている。

今回例にあげさせてもらったクボタさんは、わかりやすい例だ。大手企業ほど、みんなはイメージをもっているから、想像はしやすいと思う。驚きも大きいと思う。でも、中小企業にだって、おなじように歴史、沿革はある。たとえ歴史が短くたって、ドラマは必ずある。そのドラマは、いま第一話なのかもしれないし、第五話くらいなのかもしれない。そのあたりを想像して、楽しんで、行間を読んだらいいと思う。

そして初めましてでお客さんに会うとき、「もう疑問だらけで、あなたのこと、今後の展開イッパイ知りたいです」なんて顔をしていけたら、きっとその空気は伝わって「この人は、うちのこと好いてくれちゅう」って好印象を抱いてもらえると思う(なぜ、方言になった)。

書かれていない事実を、想像してあげることは、その人、法人を理解してあげる努力。自分にも言い聞かすが、その努力を惜しまない人でありたい。

最後までクボタの沿革を追うのをやめたけど、伝わっただろうか。

最後に、伝えたかったこと、一行でまとめます。

行間に、ドキドキできる想像力を。

これがつくと、人生おもしろくなるよ、きっと。

現実的妄想族。

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