桐島柔術辞めるってよ

そろそろ試合出てみたら？試合に出たら絶対楽しいし成長につながるよ！ ブラジリアン柔術を初めて一年たった頃でした。 白帯3本線になった時に茶帯の先輩に言われて試合に出ようと思いました。

試合までは2ヶ月。 週3回だった練習を週5回にしました。 人生初の減量もやりました。今まで格闘技の経験はおろか運動経験もなかったから誰かと全力で戦うなんて初めての経験でした。

試合当日はとても緊張しました。会場まで駅から歩く道のりがとても遠く感じました。相手が来ないといいなとか弱気になりました。 当然、相手はきていました。1人は勝って1人は負ける。 自分の試合まで淡々と大会は進んでいきました。

5分間全力で頑張るぞ！と思って臨んだ試合はあっという間に終わってしまいました。最後に腕十字をきめられた時に、バローの合図で見上げた体育館の天井はとても高く少しボヤけて見えました。

相手の手が上がるのを横目に見ながらトボトボと道場のみんなのいるところに戻る頃には試合なんて出るんじゃなかった。 負けて恥ずかしい気持ちになりました。

「まだ試合は早かったんじゃない？」私の試合を応援もセコンドしていなかった万年紫帯のおっさんが笑いながら話しかけてきました。

青帯の人がセミナーに出たと聞くと「俺は試合は卒業したけど青帯くんの意識は高いなー。でもそのレベルでよそのテクニック学んでも意味ないかもね笑」 とか、白帯、青帯が頑張ってると茶化してくる嫌なやつです。

試合で負けたことより悔しくて泣いてしまいました。
その場にいれなくなり、チームメイトの輪から離れたところに座っていると対戦相手のチームが前にいました。
「楽勝だったね！動画も撮ってるよ。snsで必殺技の腕十字が決まったシーン上げとかないとね笑」
敗者の私には居場所はないなと思いました。

たった2ヶ月されど2ヶ月。 必死で頑張ったつもりの僕は負けました。 試合が終わってからどんどん痛みが増す腕、、。 明日から仕事はどうしよう。

上司にはなんて報告すればいいんだ。 家族にはなんて言おう？趣味ではしゃいで怪我をしたから家事や育児の手伝いができなくなったの知られたらなんて言われるんだろう。

試合に出たんだから怪我はつきものでしょ笑 自己責任だよ笑 万年紫帯のおっさんが言った言葉を思い出しました。 今の僕は正論より労いや慰めてくれる仲間が欲しかった。

試合に誘ってくれた茶帯の先輩は優勝して表彰台の上でチームの旗を掲げて記念撮影してました。 道場のみんなからさすがです！強い！など言われてました。おそらくいつものように、この後はSNSに表彰の姿をアップするでしょう。

そして、賛辞のお言葉はもっとあつまるのでしょう。 確かにあなたは試合に出て楽しそうだな。
なるほどなと思いました。

最後に仲間と記念写真を撮りました。 真ん中には先生と金メダルを首から下げた人。両脇は銀メダルその横には銅メダル。自然とメダルの色で序列は決められていました。 僕は後ろでエキストラのように混じって作り笑いをしていた。 知らない人が見れば 応援かな？としか思わないような記念写真。

怪我で休んでる間に、道場のブログも更新されていました。 〇〇さん茶帯デビュー戦で優勝！ 〇〇さん3回も接戦を制し優勝！ 〇〇さん試合前の追い込みの努力の成果もあり準優勝！ 〇〇さんの中にはもちろん僕の名前はなかった。

そう一回戦で秒殺負けの僕のことなんて道場の仲間からしたら記録はもちろん記憶にもないんです。
結果を出してないから。

試合を勧めてきた茶帯さんは今回の試合の結果で黒帯だってさ。怪我した僕にだいじょうぶの一言はなかったがまた柔術サイコーってSNSでアピールしてました。

明日、怪我が治った1ヶ月ぶりに道場に行きますが道着は持たずに退会届だけ出しに行きます。 その日はあなたの帯昇格式の日ですね。 おめでとうございますって言いますよ。

退会理由の欄 大会に出て大敗して退会