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【日記】頭悪/2023年1月3日(火)

 ※写真は『箱根駅伝』7区の4位争いを観る図。脱落したと見えた青学が追いつき、5人の集団となってデッドヒート。緊張に耐えられず、熱燗を吞み始めたが、青学があっという間に突き放し、わが國大は7位に…。酔う前に酔いが醒めた

 慌てて飛び起きてテレビをつけたら、ちょうどわが國學院が青山学院を抜き去るところだった。「お~、いいぞ!」とひとりはしゃいだのも束の間、その前に早稲田に両校抜かれていたのが判明し、ドサリとソファに倒れ込んだのだった。
『箱根駅伝・往路』は4位でフィニッシュ。さあ、3位を目指そう!と復路をスタートしたはずだったのだが、この時点で早稲田3位、國大4位、青学5位。しかし、まだまだ何が起こるかわからない。
 國大生、OBOGはみんな同じ気持ち(と勝手に決めつける)だと思う。青学は「永遠のライバル」なのだ。先様は何とも思っていない、一方的な“片思い”かもしれないけど。
 ともにキャンパスが渋谷にあり、尾崎豊で有名な「歩道橋」を右に行けば國大、左に行けば青学。まあ、分かれる前から誰がどっちだかだいたいわかるのだが。あか抜けてるのとそうじゃないのと、でね。でもオレたちは「何だよあいつ。どうせ田舎もんの大学デビューだろ」なんて、ぶつぶつ悪口を言って、自分たちを納得させていたものだ。
 青学=渋谷は有名だが、「え、國學院て渋谷にあるの?」なんてのは当たり前。「柔道強いんだよね」って国士館と混同している人も多数。そもそも、オレ自身が渋谷にあるのなんて知らなかったくらい。受験したのはたまプラーザキャンパスだったから。1浪して國學院しか合格しなかったのだが、学校が渋谷にあると後から知って(ウソみたいなホントの話)「それじゃ行かない!」なんてゴネて、結局おふくろに説得された次第。
 とにかく渋谷はオレの中で印象が悪かったのだ。あの街に通ったら「弱くなる」と思ってたから。この「強い、弱い」で物事を考えていた時代の話は、またいずれ別の機会で。

 10月の出雲駅伝、11月の全日本ともに2位。いずれも優勝は駒澤で、青学には勝っている。だけど、箱根で青学を抜いたのは記憶にない。だからどうしてもこのいちばんの晴れ舞台でその瞬間を見たかった。が、青学の9区の選手がものすごい快走を見せ、國大も一時は7位まで落ちたりしながらも、1、2年生の頑張りによって4位に復帰。しかし青学には及ばず、勝手なオレの夢は、またも破れた。
 各校、下級生の奮闘が目立ったが、特に國大は1年生3人、2年生3人とフレッシュなチームだった。戦前から「四本柱」のひとりとして期待されていた4年生キャプテンが、直前に足を痛めて欠場するなど、様々な事情があってのことだったらしい。
 しかし、下級生がこの舞台を経験できたことは大きい。これからが本当に楽しみだ。ボクシングの場合、「1年のときがいちばん強かったよなぁ」なんてことが往々にしてある。ケガ、体の成長に反した階級で戦わされる、いろいろな“遊び”を覚えてしまう等々、理由は様々。だけど、それらすべてをひっくるめての“経験”。そして、強くなるやつは強くなる。

 御子柴礼司シリーズ第3作『恩讐の鎮魂曲(レクイエム)』(中山七里、講談社文庫)読了。渡瀬や倫子ちゃんがチラッと出てきてテンションが上がる。
 知らない漢字や熟語など、相変わらずたくさんで不勉強ぶりを痛感させられてばかりだが、御子柴と誰かの会話のやり取りがいちばんの刺激だ。もちろん創作だし、中山さんが考えに考えての表現だが、「こんなに機知に富んだ会話、オレ、普段できてないよなぁ」という自身のダメさを思い知らされるのだ。数えきれないくらいボクサーや関係者をインタビューしてきたけれど、自分自身を見つめれば、人と話すことは得意ではない。「オレ、頭悪いなぁ」と心底思うことばかりなのである。だから、言外にある意図や意思を、その場で把握できているのかどうか。また、それに対して絶妙な切り返しをできているのかどうか。とても不安だ。
 自分の至らなさを「これでもか!」というくらい思い知らされる中山作品。物語を楽しむと同時にへこむことばかりで、でも、だから中毒性があるのかもしれない。オレってやっぱりM気質なんだろうな。

『ゴッドタン 芸人マジ歌選手権スペシャル』(テレビ東京)を久しぶりに観ることができた。もう20回目なんだね。舌が落っこちるんじゃないかってくらい笑いまくった。くだらないこと、バカバカしいことを真剣にやるって素敵だね。その裏にはものすごい努力があるはずで、でもそれを感じられない、想像できない人種が増えてしまったことで、あえてわかりやすく“表に出す”映像や書籍などが出ているが、本音を言えば、彼らはそんなことを望んじゃいないと思う。「くだらね~!」って腹を抱えて笑い転げる。これでオールOKなんだろうと思う。


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