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【似非エッセイ】麗しのジェニー

※写真=『狼男アメリカン』より

 先日、たまたまつけた洋画専門チャンネル「ザ・シネマ」で『ザ・キープ』を放送していた。1984年公開、マイケル・マン監督作品。

「これ、なんか観に行ったときの同時上映だったよなー」(あの頃はまだ「同時上映」システムが残ってた時代だった)って記憶を辿っても思い出せなかったので調べたら、『13日の金曜日 完結編』だった。小中学生当時のオアシス、池袋にて。埼玉は坂戸の外れの西坂戸に住んでいたわれわれにとって、越生線→東上線、これが東京へ出る唯一のルート。坂戸、川越のグレードアップ・ポイントが“池袋”だったわけだ。

 忘れてたくせに、当時のお目当てはジェイソン。どっちが後だったか先だったか憶えてないんだけど、もちろんどっちも観た。
『ザ・キープ』、正直「なんじゃこりゃ?」って内容(埼玉のド田舎の洟垂れクソ坊主にわかるはずがない)だったが、主役のスコット・グレンが女性を抱くシーンだけはくっきりと憶えていた。放送を録画して“答え合わせ”をしたが100点満点だった。その女優、アルバータ・ワトソンは2015年、60歳の若さですでに他界していたことを知り、ショックを受けた。

 ここから派生した。ジェニー・アガタ―のことを思い出した。『狼男アメリカン』で看護婦を演じ、狼に変身してしまう青年とシャワーを浴びながら抱き合う。肩から上しか映らないんだけど、そのシーンのエロティックさ、アガターの美貌、白い制服に完全にヤラれた。

 中学生当時、フィービー・ケイツが同世代として憧れの女優だったが、ジェニーは憧れの年上のお姉さんで、フィービーと双璧の存在にまで登りつめていたのだった。
 思春期の男はほぼ全員、年上の女性とのあれこれを想像してしまうはずだが、自分はジェニー・アガターが最初だった。日本の女優は浅野ゆう子、石田えり。ここに松田美由紀とか岩下志麻が続いていく。志麻さんがおふくろと同い年と後年知って、けっこうショックだったけど(笑)。

 あの頃はもちろんインターネットなんてなかったから、ガキが海外の女優を知るには映画専門誌『ロードショー』、『スクリーン』しかなかった(『キネマ旬報』は格式が高すぎた)が、ジェニーはそういうところに載るタレントじゃなかったので、本当に“スクリーンの人”でしかなかった。ただただ美しい人、遠い存在。年齢や出身も、いま知ったところだ。

 御年70歳。ご存命。イングランド・サマセット出身。ロンドン在住。アメリカ人だと勝手に思ってたけど、イギリスの方だったんだね。
 3年前、井上尚弥対エマヌエル・ロドリゲスをスコットランド・グラスゴーに見に行ったが、あのときトランジットしたロンドンで降りて、ジェニーを探せばよかったと、ギリギリ歯ぎしり。

 奇跡的に会えたら伝えたかった。

「ハイ、ジェニー! あの頃はお世話になりました!」って。

 近影を見たら今もなお、お美しい。ご主人と息子さんもまじえて、いろいろ話したかったな。英語、ビタ一文しゃべれんけど。米語じゃなく英語は余計わからんけど。

こんな看護婦さんおったらずっと入院しとくやろ

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