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【ボクシング】福永、岩川、山﨑。高知出身3選手が地元リングでタイ選手に快勝

☆2月26日/高知県高知市・セリーズ体育館
スーパーバンタム級8回戦
○福永 宇宙(黒潮)日本10位
●チャノン・ソンカーム(タイ)
TKO3回1分18秒

 ジャブと滑らかなステップで距離を詰めていく福永。チャノンは下がりながら軽いジャブを放ち、いきなり右を振ってくるが、ジャブに対しては小さなステップバック、右はしっかりとしたカバーとヘッドスリップで福永は丁寧にかわす。右を空振りしても決してバランスを崩さずに、その反動を利用しながらウィービング。打ち終わりの意識を常に持ちながら練習を繰り返していることも見てとれた。そして何より1発も貰わないという意識が、「地元凱旋でよいところを見せたい」と思いがちな気持ちをシャットアウトしている。そこに福永の非凡さを感じた。

 ワンツー、あるいはワンワンツーと、シンプルな攻撃を繰り返すが、ツーとなる右はチャノンの左ガードの外目を狙う。これはガードされてもいい、ガードの上を叩いてもいいという意識で打っているように見えた。そして2ラウンド、距離が縮まるとショートの右をガード間に通し、左ボディブロー。ほんのわずか、左ガードを開かせているからこそのコンビネーションだった。

 実力差は明白だった。しかしやはり、強引な攻撃を決して見せない。拳を捻り込んで打つ、ストレートに近いジャブは、左足を入れると同時に打つものと、そこを若干ずらして打つものと変化させる。このタイミングがわからないチャノンは、まともに顔面の真正面に受けた。3ラウンド、ダブルで左を決めるとチャノンはヒザを着く。立ち上がったチャノンに、福永は左アッパーを見せておいてふたたびストレートでしゃがませる。そして最後は、強引に右を振りながら攻め込んできたチャノンに右カウンター。倒れ込んだチャノンを見て、姫野俊道レフェリーが即座にストップを告げた。

☆2月26日/高知県高知市・セリーズ体育館
103ポンド(46.76kg)契約6回戦
○岩川 美花(姫路木下)IBF女子世界アトム級チャンピオン
●プローパイリン・パラッドシーチュアイ(タイ)
TKO3回45秒

 だらりと下げた左腕を、フック軌道で回しながら上体のフェイントも入れてリズムを取る岩川。プローイパイリンが不用意に左を伸ばせばすかさず右クロス。タイ選手はもうすっかり腰が引けてしまった。
 完全にリラックスした状態の岩川は、2ラウンドに入ると右サイドへスッと移動しながら左フックを決めると、もう、いつでも仕留められるという雰囲気で、プローイパイリンにプレスをかけていく。そして右クロスからの連打。ここはゴングに救われたタイ選手だったが3ラウンド、岩川が右ボディフックを決めるとあからさまなダメージ。右ボディから右アッパー、さらに左ボディと連打する岩川から、室矢雅弘レフェリーがプローイパイリンを救った。

☆2月26日/高知県高知市・セリーズ体育館
56.0kg契約8回戦
○山﨑 海斗(六島)日本フェザー級20位
●アピナット・クンチャエトン(タイ)
TKO2回2分50秒

 上体を小刻みに左右に揺する速いテンポ、リズムに乗って、小気味よく攻めた山﨑が、そのままの勢いで圧勝した。アピナットは時折、サウスポーにスイッチしてみせたものの、山﨑にはまったく意味をなさなかった。
 クイックな上に、上下に散らし、連打の“間”も変えて打つ。自分本位な攻めを通していけるのは、相手との力量差があるからなのか、それとも相手が変わろうができる強さがあるのだろうか。そこは今後次第となるのだろう。が、これだけシャープでハイテンポな攻撃は久しぶりに見た気がする。
 相手の右をかわしざまに刺し込む左ショートボディ、そして追撃のワンツー連打でレフェリーストップ。
 バランスを崩した相手に、必ずショートを当てる抜け目のなさも目を瞠った。

《YouTube『黒潮ボクシングChannel』配信視聴》

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