フィリピンの引っ越しみたいですね。

先週、引っ越しをした。引っ越しをしたといっても、まだ生活できる状態ではなく、ほとんど実家で暮らしている。

生活できる状態になれば、人生初のひとり暮らしとなる部屋は、あちこち不具合が多い。すべてを書けないけれど、ひとつ挙げるとするなら、ベランダ床に穴が空いている。10センチか15センチくらいの穴。

穴を見つけたとき、父と母とわたしで絶句した。穴? なぜ? 思考停止した。
点検に来た業者さんに話したら、2センチくらい飛び上がって「え!? ほんとですか!?」とベランダ窓から穴を見つめていた。
そして「フィリピンの引っ越しみたいですね……」と妙なたとえを持ちだしていった。

それからわたしの家族は、わたしのひとり暮らしとなる部屋を「フィリピン」といい、母と一緒に引っ越し先に行くときには、「じゃあ、フィリピンに行こうか」なんていって家を出る。

後で「フィリピンの引っ越し」を検索すると、オンボロの家を一族でかついで運ぶ画像が出てくる。フィリピンのどこの地域のならわしなのかよくわからないけど、そういう伝統的な光景があるらしい。

いや、わたしはフィリピンの部屋を目指していたわけではない。当初は、寒色系のカーテンやシンプルな家具などを揃えて、たとえていうならば、無印良品みたいな簡素でおしゃれなお部屋にしようと(無理だとは承知しつつも)、思っていた。

でも現実は、「フィリピンの引っ越し」。

不具合続きでしかもまだルーターを取り寄せていないので、ひとり暮らしをする(予定の)部屋にはせいぜい3時間しかいない。家賃は発生している。すごくもったいないことだ。

多くは望まないけれど、この部屋でふつうの日常を送れるといいなと思う。


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