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3【在り方】ミッションステートメントが明確である

こちらの続きです。

自分のテーマを知り、余裕のあるセルフマネジメントができるようになると、次は、「自分は何をするために生まれてきたのか」ということを言語化して、ブレない、無駄のない人生を送る宣言をすることになる。

ミッションステートメントといえば、『7つの習慣』が思い出されるが、過去の私もそうだったが、いきなりこの本に書かれていることを取り組もうとすると挫折する。

実際、これは、『7つの習慣』の公式トレーナーの方からお聞きしたことだが、ミッションステートメントは、『7つの習慣』では、「第2の習慣:終わりを思い描くことから始める」ということで、7つのうち2番目なのだが、これが出来ている人は書籍購入者の3割にも満たないとか。

それはおそらく、「第1の習慣:主体的である」がうまくできていないのかとも思える。

先日、あるカリスマ女性経営者のお話をお聞きする機会があったのだが、「ビジョンを描けるのは自己肯定感が高い人だけ」というお話があり、なるほどなーと思った。

パーソナルコーチングの父であるトマス・レナードも、The Portable Coach ということで、成功者の法則のような本を書いているが、その最初の項目は、「信じられないくらいワガママになれ!」だったりする。

主体的である、自己肯定感が高い、ワガママになる─共通しているのが、今、生きている自分の人生は誰か他人のために命を使うものではなく、自分のために使うものなのだ、というメッセージであるように思う。

ということは、ミッションステートメントを言語化する際に邪魔になるのは、いいこと言おうとか、共感してもらおうとか、そういう他人目線を入れた考え方、ということなのかもしれない。

では、そういう視点を入れずに、どのように自分が納得できるミッションステートメントを作るか?

それはドラッカーの言う「強み」から発想した方が良いのではないか、と思う。

ドラッカーは『明日を支配するもの』(原題は、Management Challenges For The 21st Century)の中で、こう言っている。

「誰でも自分の強みを知っていると思う。たいていが間違いである。知っているのは、強みというよりも強みなさざるものである。それでさえ間違いのことが多い。」

「強みを知る方法は一つしかない。フィードバック分析である。何かをすることを決めたならば、何を期待するかを直ちに書きとめておかなければならない。そして九か月後、一年後に、その期待と実際の結果を照合しなければならない。」

ミッションステートメントはあくまでもこれから先の人生をどう生きるか、ということであったが、強みから発想するということは、現状では、過去に自分がやろうと考え、成し遂げたことを振り返るところから発見されるということだ。

ここでやることは、先の「自分の人生のテーマを知っている」で先に書いてしまったが、「自分にしかできないこと」以外で何かやっていること、やらされていることがあれば、それを無くしていく、ということである。それは自分だけの強みに時間を使っていないからであり、結果として低い価値しか生んでいない可能性があるから、である。 

自分の強みが発揮され、他人にはできない結果を出すことが出来ることに、自分のリソースを最大限投入する。そのうえで、余裕のある人生/生活を送る。

個人的には、ドラッカーの考え方にもうひとつ付け加えたと思っている。それは、もしかしたらドラッカーも意識していたことかもしれないけれども、明記はしていなかったことである。

それは、人から感謝されないことはしない。

ということである。言い換えると、感謝しない人のために自分の能力を使うことは辞めるべきである、という意味になる。

もっと違う言い方をすれば、顧客満足を満たすことをゴールにした仕事の仕方を辞め、顧客に予想以上の感動を与えるような仕事の仕方をする、ということになる。

これが、自分の強みが最大限、発揮された仕事の仕方であるから、である。

出来ることを仕事にするのではなく、成果に他人が驚くような、自分にしかできないことを仕事にする。

もちろん、それが何であるか、ということを発見するために、ボランティア活動やら副業やらで、いろいろやってみるというのは大いにアリだと思う。そして自分で振り返るのも良いが、できるだけ、一緒に居る仲間からフィードバックをもらって、自分の強みを発見すると良いと思う。

さて、自分自身は意識して、自分の強みってなんだろうということで、いろいろヒヤリングしてきた。また、自分の過去の仕事を振り返って、どんな成果を出すことができ、どんな成果を出すことができていないかということを考えてみた。

そうしたとき、強みとして挙げられるのは、
・企画力
・実現力
・場作り力
・巻き込み力
・ユーモア(面白がる力)
・物事に動じない
・仕事が早い
・好奇心

弱みとして挙げられるのは、
・ルーティーン、繰り返すことが嫌い
・締め切りを守らない
・指示・命令されるのが嫌い
・自分のことを後回しにする
・組織を作るのが嫌い

ということだろうか。

で、ここでドラッカー教授の言葉を思い出してみよう。

「誰でも自分の強みを知っていると思う。たいていが間違いである。知っているのは、強みというよりも強みなさざるものである。それでさえ間違いのことが多い。」

では、どうすればいいのか。成果から振り返って考えてみることだ。

例えば、「場作り力」や「ユーモア」など、ここに書かれている強みのひとつひとつを見たときに、これは自分以上に得意な人はたくさんいるし、成果を上げている人もたくさんいると思う。これは本当の意味での強みではない。

実際に自分が得意なことは、「人を巻き込んで機能させる仕組みを作ること」だったりする。これは実は、上にあげた「強み」からではなく、「ルーティーン、繰り返すことが嫌い」「組織を作るのが嫌い」という弱みから来ている。

自分はなぜかここのところ10年以上も「コーチング」にこだわり続けてきた。その前は「インターネット」だったし、その前は「本」だった。これらに共通するのは人が自分の考えを発信すること、である。

子どもの頃、福岡で教育を受けた私は、いわゆる平和教育というか、戦争の悲劇というものを叩きこまれている。特に原爆の恐怖はいまでも染みついている。兵士と兵士、軍隊と軍隊の争いであれば、戦う意思を持っているのだからまだ犠牲にも救いがある。

しかし、ただ普通の生活を送っていた市民の上に強力な爆弾を落とし、一瞬にして灰にしたり、後遺症をもたらしたりという大量虐殺を行い、なおかつそれが正義だと信じてやまないような人々が居ることは、これは許せないことである。

大人になるにつれ、それは別に特定の個人が邪悪な思想を持っているわけではなく、人の集まった集団、組織の思考というものに個人が支配された結果、そういうことが起こるのだとわかってきた。

大学で社会学を学び、コーチングを研究しながら、では、どうしたら、いわゆる「野蛮状態」から人は進化できるのだろう、ということを、ずっと考え続けている。ずっと、模索していると言っても良い。

「ルーティーン、繰り返すことが嫌い」「組織を作るのが嫌い」という私の特徴は、この哲学から来ているのだろう。

ここまで思考を巡らせて来ると、まだまだ完璧な表現ではないとはいえ、自分のミッションステートメントのようなものが見えてくる。

今のところの結論はこちら。

私は、人が争ったり他人を傷つけたり支配したりするようなことがない、自分と他人のひとりひとりを大事にできるような関係性で在り続けられ、平和で調和のとれた楽しい世の中を、様々な研究や仕組みを作ることを通して貢献し、同じ思いを持った仲間と協力して、実現させていきます。

初心忘るるべからず、というのが、ミッションステートメント作りに必要な発想なのかもしれない。

続きます。


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