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コーチング業界、ここ10年くらいの変化

ご覧いただき、ありがとうございます。
先日、10年ぶりくらいにオンラインで近況報告した方が居て、その方から、ここ10年くらいでコーチング業界は変化ありましたか?と質問されて、振り返ってみたので、その内容を記録しておきます。一応、ナンバリングしていますが、ランキングではありません。


1.国際コーチング連盟(ICF)の認知度向上

これをお読みの方で知らないよ、って方もいらっしゃるかもしれませんが、プロコーチの非営利団体としてのICFの認知度は、かなり向上したのではないでしょうか?

いろいろいきさつや思惑があって、日本のコーチング業界は長らくガラパゴス化していました。2013年8月に正式なチャプター(支部)として、日本支部が出来て以来、それまで英語でしかアクセスできなかった情報が流通するようになり、また、コア・コンピテンシーや倫理規定の翻訳が正式に本部に認められるなど、世界と日本をつなぐ役割を果たしました。

ICFコア・コンピテンシーの改訂を機に、それまで独自プログラムで活動していたコーチ養成プログラムも、ICFが求める基準に寄ってきたりしていまして、ひとつ、日本のコーチ養成の底上げにはつながっているのではないでしょうか?

2.コーチング産業が投資対象になってきた

これは日本ではなく海外の話ですが、コーチングがテクノロジーと結びつくことによって、投資対象となる産業に進化しました。

詳しくは、下記の記事で紹介しています。

また、こういう流れを受けて、日本でもコーチングサービス提供会社が増えてきました。中にはベンチャーキャピタルの支援を受けているものもありますが、現実的に、普通にやっていては日本のマーケットだけではエクジットは難しいでしょうね。

関連ニュースとしては、コーチ・エイさんが上場した、というのもあります。実際の内容を見ると、もともとコーチ・エイの前身であるコーチ21が日本で最初にコーチ養成プログラムを提供し始めたときに、プログラム提供を受けた、コーチUさんというアメリカの会社を買収して、それで売上を作って上場したようで、実質的には日本のコーチング産業だけで上場したわけではないのですが、ひとつのエポック・メイキングな出来事とは言えるでしょう。

いずれにしても、コーチングが産業として認知されつつある、というのが変化として挙げられます。

3.コーチングテーマの拡大

上に引用した記事でも書きましたが、コロナ禍を経て、コーチングのテーマの対象が拡大した、ということが、ひとつ大きな変化として挙げられます。

テーマが拡大したことと、市場が広がったことは同じことの両面を言っています。

もともとコーチングといえば、何か目標を立てたら、それを倍に、半分の時間でやりとげるんだ!というようなイメージでした。私はこういうコーチングを「イケイケ・ドンドン・コーチング」と呼んでいます。

コロナ禍では、外出制限などもあり、がんばっていけいけと言われましても、現実的には無理って状況でした。そこで、別な切り口、メンタルヘルスとかマインドフルネスのような形でコーチングが着目されるようになります。

特にコロナ禍でテレワークが増えると、退職者が増えるという現象が起きまして、これを防ぐためにコーチングサービスを導入する企業が増えました。

まあ、わかりすく言うと、要は、頑張れ、もっとやれ、とケツを叩かれて喜ぶドSな人達ってのは、全人類でも少数派だった、ということでしょう。それよりは、コーチに優しく応援され、伴走され、承認されたいと思う人の方が多いってことなのかな、と思います。

4.コーチングのエビデンスを求める声

これはまだまだ、だとは思いますが、特に海外を中心として、コーチングの研究者が増えており、論文やレポート、専門書籍が増えています。それに伴い、コーチングのエビデンスについて、知りたいという声も多くなっているような気がします。

それに伴い、特に、下記の書籍が2012年に刊行され、これまで隠されていたコーチングの歴史も表に出てきています。

個人的には、隠さなくてもいいのに…と思っていた話なんですが、現役の方もまだまだいらっしゃる状態ですから、それはその人次第ってことなんだと思います。

5.チームコーチングというクライアント対象の拡大

これは3のテーマとまた違います。下記の記事にも少し触れましたが、ICFが従来のコア・コンピテンシーを拡張し、チームを対象としたチーム・コーチングのコア・コンピテンシーを発表しました。

このプログラムが日本でも普及するのはまだまだこれから先になりそうですが、個人ではなくチーム、ということになりますと、組織などでも導入しやすいプログラムになる可能性もあり、またコーチングというマーケットの拡大が期待されます。

6.まとめ

10年前とまるで違う、と思うのは、コーチングを研修プログラムと思っている人の割合が減少し、コーチングサービスという対話型のサービスなんだ、という認知が増えてきている、ということが言えると思います。

一方で、コーチングを取り扱った書籍の発行点数は減り、良書と言われたものも入手しにくくなり、プロコーチの方は、コミュニケーションやマネジメントのノウハウ本みたいなものを書くようになっています。

とはいえ、カウンセラーがまだまだ普通に普及していない日本では、コーチングを学んだ人すべてが生活できるほど、コーチングサービスも普及してはいない、という現状は昔とあまり変わっていないように思います。これは海外のコーチングサービスの盛り上がりを見ますと、少し寂しい気もしますが、そもそもの人口が減っていますので、仕方がないことでもあるのかもしれません。

また、最近、ちょっと感じるのですが、コーチングサービスの会社が増えるにつれ、「それってコーチングでしかできないこと?」というものも見ることが増えている気もしています。

なんでもコーチング、ではなく、コーチングの本質を捉えた上で、コーチングが目指している人と人類のウィルビーイングの向上に向けて、手段を目的化させないように、そういう業界に携わる方には、考え続けていただきたいと思っています。

現場からは以上です。お読みいただきありがとうございました。この記事が面白かったという方のスキ、何か言いたいという方のコメントもお待ちしております。

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