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マイナンバー制度の図解

マイナンバー制度を図解してみました。
この図解は「政策図解」という形式で書かれています。政策図解は、1枚で政策の基本的な情報をモデル化するものです。

追記:
ついに「政策図解」が本になりました。これまでnoteで書いた記事を大幅加筆して生まれました。社会のしくみがみえてくる、50の政策を図解した本です。よければぜひご覧ください!

この記事では、多くの方に関わりのある(けど案外知られていなかったりする)マイナンバー制度についてどんな目的で、どのように活用されていくのかなどを紹介していきます。それではどうぞ。

マイナンバー制度

便利で住みやすい社会を目指し、日本に住む人に番号を付与する制度

マイナンバー制度の政策図解

すでにマイナンバーカードを申請している人もそうでない人も、「マイナンバー」(正式名称:個人番号)についてどれだけ知っているだろうか。

マイナンバーは、日本で住民票を有する全ての方が持つ1人にひとつの12桁の番号である。なぜこのような番号が必要なのか。
これまでの行政手続きは、例えば、福祉サービスや社会保険料の減免などの対象かどうかを確認するため、国の行政機関や地方公共団体などの間で情報のやりとりがあった。
しかし、それぞれの機関内では、住民票コード・基礎年金番号・健康保険被保険者番号など独自の番号で、個人の情報を管理しているため、機関をまたいだ情報のやりとりでは、氏名、住所などでの個人の特定に時間と労力を費やしていた。

そのため、私たちは役所の窓口をいくつも渡り歩いてたくさんの書類を添付して申請書を作成する必要があった。また、申請を受け付ける行政職員も、複数の書類をもとに確認作業をしなければならず、大変な負担になっていた。さらに、行政機関は所得状況等も一本化して把握できず、社会保障の不正受給などもわかりづらいという問題点もあった。

そこで、社会保障・税・災害対策の3分野での手続きをより簡単にするために「マイナンバー」の導入が考えられたのだ。

ちなみに「マイナンバーカード」とは、個人番号を証明する書類や本人確認の際の公的な本人確認書類として利用でき、また、様々な行政サービスを受けることができるようになるICカードである。また、個人情報の照会ができるサイト「マイナポータル」などの仕組みもつくられた。ここではマイナンバーとこれらの仕組みをまとめて「マイナンバー制度」と呼ぶことにする。

マイナンバー制度は、1970年頃から何度も議論されてきたが、現在の形で決定したのは、2013年の番号制度関連4法案の成立時である。その後、2015年から市区町村による住民へのマイナンバーの付与が始まり、2016年から行政手続きでマイナンバーを利用できるようになった。

では、このマイナンバー制度は実際どのように利用されているのかを知ろう。
まず、マイナンバー自体を利用できるのは社会保障・税・災害対策の3分野のうち、法令で定められた1,221の手続きに限定されている。例えば、国民健康保険から健康保険への切り替えや、介護認定・生活保護などの申請時である。
そのため、マイナンバーの提供を求めることができるのは、国や地方公共団体、勤務先、金融機関、年金・医療保険者など特定の機関のみである。

一方で、マイナンバーカードやマイナポータルは、マイナンバーそのものを利用せず、より広い用途で使うことができる。
具体例をいくつか挙げてみよう。

2020年には年末調整や確定申告に関わる情報の取得・提出をマイナポータル上で実施できるようになった。また、2021年3月からはマイナンバーカードを健康保険証の代わりに使えるようになり、同年6月からは子育て世帯の特別給付金をプッシュ型(住民からの申請は不要で、行政側が対象者に通知し、自動的に給付する仕組み)で実現した。

今後は、マイナンバー制度を活用した取組がさらに増える見込みである。
例えば政府は、行政手続きがさらに便利になることを目指して、戸籍情報との連携や、マイナンバーカードと運転免許証の一体化などを検討している。
また、民間企業でも、完全オンラインで金融機関の口座を開設できるサービスや、オフィスの入退館やパソコンの認証にマイナンバーカードを活用する事例が広まりつつある。

このようにマイナンバー制度は、私たちの暮らしに関わる様々な手続きや情報管理をより便利で簡単なものに変える基盤と言える。

新たな制度やテクノロジーが生まれると、何となく不信感を持つ人も多いと言われている。マイナンバー制度も本来、ここで示したように、国民の利便性のためにつくられたものだが、どのように不安を取り除くかについてはまだ課題も残されているだろう。

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紹介は以上です。
身近な政策の一つの「マイナンバー制度」、生活の中で今後活用する機会が増えていきそうですね。

今回の記事以外にも、様々な事例を図解で紹介しています。「政策図解シリーズ」というマガジンでこれまでの政策図解の記事がまとめられているので、よければ見てみてください。フォローもしていただけると嬉しいです。

以下、今回の記事のクレジットです。

図解&原稿:光武佳寿美
レビュー:沖山誠、近藤哲朗

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