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急速に成長する中国のスマートEV市場で実績のある企業XPENG(NYSE:XPEV)がついにIPO。テスラにも引けを取らない製品力の高さに圧倒される。

1. 主力EVはG3とP7の2つ

Xpengは2015年に設立され、自動運転、スマートコネクティビティ、コア車両システムの革新を通じてスマートEVを中国の消費者に提供する。急速に成長するスマートEV市場で実績のあるリーダーであり、SUV(G3)や4ドアスポーツセダン(P7)など、環境にやさしい人気の高い車を生産している。当社のスマートEVは、安全性と信頼性を備えた魅力的なデザインと高性能が魅力。同社主力のG3は2019年に中国で最も売れた電動SUVのトップ3の1つである。P7は、1回の充電で最大706 km(439マイル)の走行可能。
色は白、黒、グレー、青、赤、の5色で、屋根部分が黒のツートーンカラー(黒青、黒赤)の2色がラインナップされている。

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SUV G3(黒赤)


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セダン P7 

2. 比較的安い価格帯

主に中国の乗用車市場の中高価格帯で、価格は150,000元から30万元程度。中高級車セグメントは、2019年の販売台数で中国の乗用車市場の30.6%を占め、他の価格セグメントよりもEV普及率が高い。G3の購入者の90%以上が自動運転機能付きのバージョンを選択する。顧客の約50%がXPILOT 3.0をサポートできるP7のバージョンを注文することが多いのが特徴。

XPILOT 3.0とは、現在市販されている乗用車で最高レベルの自動運転機能が備わっており、独自のソフトウェア、コアハードウェア、およびデータテクノロジーを通じて、革新的な製品を迅速かつ効率的に開発および展開できるため、中国での競合他社よりも優れている。

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インテリジェンスドライビングシステム

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車間距離の自動設定

3. 生産台数は今後に期待か⁉

2018年11月にG3の生産を開始し、18,741台のG3を納車済み。2020年5月よりP7の納入を開始し、1,796台を納車。2021年に3台目のスマートEV、セダンを発売予定。

4. スマートEVの特徴

➀AI
P7の特徴として、AI音声アシスタントによる、お客様とスマートEVの間のコミュニケーションが自然で継続的な対話で行われ、音声ベースで手間のかからないモビリティエクスペリエンスを提供している。車載AIアシスタントの普及率は、今後数年間で中国で大幅に増加すると予測されている。

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②カーキー
利便性を高めるために、2種類のデジタルカーキーがあり、Xpengのモバイルアプリと、スマートフォンやスマートウォッチなどの近距離無線通信(NFC)機能を備えたXiaomiデバイスの主に2つで、車の操作が可能。また自分のスマートEVへのアクセスを他の人に簡単に許可することもアプリ上でできる。スマートEVは、デジタルカーキーに基づいて、座席の位置やエンターテインメントに関連する設定など、ドライバーの好みに合わせて変更できる。

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➂データの収集
自動運転システムとインテリジェントシステムによるフィールドデータの収集を行う。常にフィールドデータの収集を行いソフトウェアをアップデートしている。具体的なデータとして、XPILOTからはセンサーデータ、Xmart OSからはより良いドライビング体験のための顧客の好みなどの情報インサイトを収集する。

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➃急速充電バッテリー
バッテリーにはリチウムNCMセルを使用。一流サプライヤーと協力して、高いエネルギー密度と低い高さを提供するP7のプリズム型リチウムNCMセルを開発。開発プロセスにおけるバッテリーセルの安全性と寿命にも焦点を当てている。何よりもすごいのが、10分の急速充電で120 kmの航続距離。また、NEDC 706kmの超長距離を1回のフル充電で実現する。

新世代のCATLバッテリーパックは、国家規格よりも厳しい要件を備えた17の厳しいテストを通過。防塵・防水はIP68の最高水準。バッテリーパックは、深さ1メートルの水プールに48時間浸された後も完全に機能する仕様。

CATLとは
中国最大の車載用電池メーカー。中国の電動車普及を背景に、2011年の設立以降、急成長を遂げている。昨今は中国のOEMのみならず日・欧・米メーカーとも供給契約をむすび、Panasonicと世界首位を競っている。2019年に中国工業情報化部が公布した新エネルギー車リスト約4600モデルのうち、約1900モデル(41.5%)が同社のバッテリーを搭載。ちなみにテスラのモデル3もこのCATL製のバッテリーを使用。

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110mmの超薄型バッテリーパックで、エネルギー密度170Wh / kgで80.9kW / hの電力を供給

⑤自動パーキング

超音波とパノラマビジョンシステムを組み合わせたパーキングテクノロジーは、平行駐車スペースと垂直駐車スペース、マークされたスペースとマークされていないスペース等を自動で感知し、最大80%の成功率を達成。(100%ではないらしい、、、、)

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5. サービスセンター、店舗の拡大

2018年末に直営店の開設を開始。実店舗・サービス網の拡大を加速するため、2019年6月よりフランチャイズ店舗の展開を開始し、2019年には79店舗のフランチャイズ店舗を出店。サービスセンターでは顧客が注文したEVを受け取り、アフターサービスにアクセスできる配送およびアフターサービスセンターとして機能している。

6. 中国のEV市場

中国は世界最大のEV市場で、2019年の乗用車の販売台数は2110万台、2025年には2590万台に増加が予想されている。
また、これは世界販売台数の45.1%で、米国市場の3.5倍以上とも言われている。しかも2019年から2025年までのCAGRは29.4%と予想されている。

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中国におけるEV販売台数推移

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2019年から2025年までの中国のレベル2からレベル4までの自動運転システムの普及率

7. 他EVとの比較

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まず驚いたのが、テスラモデル3と比較して、全く劣っておらず、むしろ性能的にいいものを持っている。

テスラモデル3との比較
1.価格帯
Xpeng:安い価格帯 255-372RMB   ➡ 勝
Tesla : 幅広い 292-490 RMB 

2.ホイールベース(室内の広さ等に関係する)
Xpeng: 長い(室内広め)2998㎜ ➡ 勝
Tesla: 長い 2875㎜

3.NEDCレンジ (長ければより優秀)
X peng: 562-706 km ➡ 勝
Tesla : 445-668 km

4.平均エネルギー消費率
x peng: 14.4 kWh/km ➡ 勝
Tesla : 16.3 kWh /km

その他の性能はほぼ同程度で、一見してTeslaよりも技術的に高いものを持っていることが分かる。

8. 財務

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***単位は全て千単位の中国元

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