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日本のDX台所事情❻

(第6回)DX人材に必要とされる能力(前半)

前々回および前回のブログにおいて、DX人材の育成を促進する破壊的創造ワークショップのエッセンスをお話ししてきました。

今回は2回に分けて、DX人材に必要とされる能力について整理していくこととしましょう。

DX人材の役割とスキル

前々回のブログでは、経済産業省によるDX人材の記述をご紹介しました。要約すれば、DX人材とは以下の2つを指すようです。

デジタル技術やデータ活用に精通した人材

業務内容に精通しつつ、デジタルで何ができるかを理解し、DXの取り組みをリードおよび実行を担っていく人材

また、以下の記事では、さらに具体的に、DX人材の6つの役割と必要なスキルを解説しています。

6つの役割とは、ビジネスプロデューサービジネスデザイナーアーキテクトデータサイエンティストUXデザイナーエンジニアです。

ビジネスモデルのデザインを支援している私としては、ここではビジネスプロデューサービジネスデザイナーに必要な能力に注目したいと思います。

これら2つの役割を担う人材(主に非エンジニア領域)に必要な能力は、リーダーシップ能力(コミュニケーション、コーディネーション、ファシリテーション能力などを含む)とデジタル能力に大別することができるでしょう。

リーダーシップ能力に関しては、デジタルであろうとなかろうとあまり変わらないと思うので(もちろん、コミュニケーション、コーディネーション、ファシリテーションに対するデジタルツールの活用は必須ですが)、ここではさらにデジタル能力に絞っていくこととしましょう。

4つのデジタル能力

DX推進部門に属するビジネスプロデューサーとビジネスデザイナーにとって、破壊的創造ワークショップなどを通じて、私は以下の4つのデジタル能力を身に付ける必要があると思っています。

1. デジタルテクノロジーがビジネスモデルに与える影響を理解する能力

2. 複数のデジタルテクノロジーを組合せる能力

3. デジタルテクノロジーを活用してビジネスモデルが上手く機能する仕組みをデザインする能力

4. お金と時間を多くかけずにテスト/検証する能力

1つ1つ簡単にご説明していきましょう。

デジタルテクノロジーがビジネスモデルに与える影響を理解する能力

企業レベル(ミクロ経済レベル)におけるDXとは、「デジタルテクノロジーを活用したビジネスモデルを通じて組織を変革し、業績を改善すること」であり、ビジネスモデルとは「組織が価値を生成、提供、獲得する方法の論理的根拠を説明するもの」と、これまで定義してきました。

1つ目のデジタルテクノロジーがビジネスモデルに与える影響を理解する能力とは、特定のデジタルテクノロジー(例.SMACIT:ソーシャル、モバイル、アナリティクス/人工知能、クラウド、モノのインターネット)が、ビジネスモデルの4つの側面に与える影響を理解する能力を意味します。

4つの側面とは、以下です。

価値(中核となるプロダクトやサービス)

価値の生成(製造、物流、店舗運営などのバックエンドオペレーション領域)

価値の提供(顧客の購買や利用経験)

価値の獲得(収益モデルや収益構造)

図1

例えば、アナリティクス/人工知能(機械学習などを含む)テクノロジーがビジネスモデルに与える影響とは、「手持ちの情報(データ)から、意思決定に役立つ新しい情報(データ)を導出すること」を可能にします。

意思決定には、顧客の意思決定(例.自分に最適な商品は何か?)だったり、組織内部の意思決定(例.どの顧客が解約しそうか?)であったりします。

また、重要な意思決定には何らかのトレードオフが存在します。

トレードオフとは、一方を優先すれば、他方を犠牲にしなければならない状況を意味します(例.リードの量の最大化vsリードの質の最大化)。

人工知能は、トレードオフの解消または軽減に役立つテクノロジーでもあります。

複数のデジタルテクノロジーを組合せる能力

2つ目は、複数のデジタルテクノロジーを組み合わせる能力です。

例えば、センサー(モノのインターネット)から収集されたデータ(例.設備機器の稼働状況)は、他のソース(例.過去の故障/修理履歴)と組み合わせ、アナリティクス/人工知能テクノロジーなどを活用することによって、より価値の高いデータ(例.予防保守)を導出することを可能にします。

また、デジタルネイティブ世代の消費者の多くは、プロダクトやサービスの購買または利用経験に対して、モバイルデバイス上のソーシャルメディアを活用して、自身の経験を知人や友人と共有することもあるでしょう。

ソーシャル、モバイル、アナリティクス/人工知能、モノのインターネットから収集された膨大なデータを交換、蓄積、プロセシングするコンピューティング環境が、すなわちクラウドです。

図2

今回はここまで..

次回は、残りの2つの能力、デジタルテクノロジーを活用してビジネスモデルが上手く機能する仕組みをデザインする能力お金と時間を多くかけずにテスト/検証する能力について触れていきたいと思います。


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